2020年8月26日
鰹節商い始末
100年経営研究機構の月例オンライン研究会に、旧知の「にんべん」高津社長が出られたので、拝聴しました。「にんべん」320年の歴史を分かり易くまとめてあって、素晴らしいプレゼンでした。
その研究会の最後に100年機構理事長の後藤俊夫先生が、少し変わった推薦本を紹介して下さいました。経営研究の研究会ですから、経営や経済史の本かと思いきや、小説でした。
荒俣宏の、
『男に生まれて 江戸鰹節商い始末』(2004年)です。
私は不勉強でこれまで読んでおりませんでしたが、幕末維新期の日本橋の商人たちを描いた小説です。「にんべん」さんだけでなく、「榮太樓」さん、「山本海苔店」さんなども出ます。
維新は、江戸の商人にとって、迷惑この上ない事件でした。それまでのお得意様が江戸からいなくなってしまったからです。藩の御用で江戸住まいしていた武士たちが皆国に帰ってしまい、経済はドン底になります。人口減少即経済縮小ですから。
殿様が売掛金を踏み倒したこともあったようです。
江戸にいるのは新政府に仕官した薩長の田舎侍だけ。粋なことは何も分からない連中です。
都心に人がいないという点では、コロナ緊急事態の東京に近い感じかもしれません。
そんな時代に、鰹節のみならず甘納豆や味付け海苔といったイノベーションで、江戸商人は生き抜いていきます。
出版当時は、幕末と平成不況の比較が話題になったようですが、私にはコロナがちらついて仕方ありませんでした。
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Filed under: 飲食業界交遊録 — F.Sumiyoshi 12:00 AM Comments (0)