住吉史彦の29大ニュース 2010-2019 その19

さて弊ブログは10周年までラスト一ヵ月に入りました。
ラスト一ヵ月はこの十年間を振り返る月にしよう、10大ニュース 2010-2019を選ぼうと思って、トライしてみましたら、29個も選んでしまいました(笑)
うーん、困ったな。
でも、これで行かせていただくことにしました。29はニ・クだし、今月はちょうど29日あるし。
と、いうことで、住吉史彦の29大ニュース2010-2019が始まりました。一か月間おつきあいいただいておりまして、本日は、その19です。

<29大ニュースその19>
2017年1月 「適サシ肉」宣言を致しました。

この10年間で私が最も目立ったのは、この件でしょう。
この件はご存じの通り大拡散。結局およそ40回以上各種のメデイアにお採り上げいただきました。

「宣言」の詳細は以下の通りでした。
<表記の仕方>
(従来)「霜降肉」と表記→(今後)「適サシ肉」と表記
<内容>
「適サシ肉」とは言うまでもなく、適度な霜降肉のことで、サシの入り方が過剰でないことを意味する、私の造語(商標出願中)です。具体的には、
*脂肪の量が4等級(5等級は今後不使用)
*脂肪の融け方が良い、つまり脂肪の融点が低い=充分な月齢(30か月)まで肥育した和牛のメス牛の脂。
*「小ザシ」=サシの入り方が細かい。加熱すると、サシと赤身の境界線から「和牛香」が発生しますので、「小ザシ」が良い香りの出る肉です。
これにより、赤身の旨味と脂の甘味がバランスして、胃モタレせず、そして香りも良いすき焼きを実現できます。
内容的には目新しいことは、あまりなく従来から肉の専門家が「旨い肉」だと思ってきた肉の仕様を、あらためて言っただけでした。
また業界の改革とかを志向したわけではなく、「ちんや」のお客様に向けて、一つの御約束をしただけでした。
しかし結果は大拡散。「浅草の老舗がA5をやめました」というのはキャッチ―だったようで、2017年は怒涛の一年となりました。
その後「適サシ肉」は商標として登録致しました。(登録第5980224号、登録日:2017年9月15日)

本日もご愛読賜り、誠に在り難うございました。
すき焼き「ちんや」六代目の住吉史彦でした。

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住吉史彦の29大ニュース 2010-2019 その18

さて弊ブログは10周年までラスト一ヵ月に入りました。
ラスト一ヵ月はこの十年間を振り返る月にしよう、10大ニュース 2010-2019を選ぼうと思って、トライしてみましたら、29個も選んでしまいました(笑)
うーん、困ったな。
でも、これで行かせていただくことにしました。29はニ・クだし、今月はちょうど29日あるし。
と、いうことで、住吉史彦の29大ニュース2010-2019が始まりました。一か月間おつきあいいただいておりまして、本日は、その18です。

<29大ニュースその18>
2016年10月 「ちんや」に革命的に新しい溶き卵2種が登場しました。それは、カレーオイル入り卵とヨーグルト入り卵。

すき焼きの味は完成形で美味しいものであることは、私も賛成ですが、まったく変えてはいけないというものではありません。
美味しくても食べ続けると飽きるものです。特に甘辛旨が強いすきやきの味は飽き易いので、変化(苦・酸)を加えて、五味にしてみることは味の理屈に合致しています。
伝統に反するので一見革命的に見えますが、食の理論に沿ったレシピです。
(カレーオイル入り卵)
・カレー粉と若干のスパイスをオイルに入れて溶き、それを生卵に加えます。
・すき焼きに足りない「苦味」を補い、アクセントを付けます。
・カレー風味のすき焼きは映画監督の小津安二郎(おづ やすじろう、1903年-1963年)が好んで食べました。小津が愛した旅館「茅ヶ崎館」さんで今でも食べることが出来ます。
・ただし小津方式は、カレー粉をそのまま振りかけるところが、「ちんや」方式と違います。オイルに溶かす「ちんや」方式は吉田裕一調理長が平成26年に発案しました。
・シラタキに良く合います。(キンピラに七味をかけると美味しいのと同じ原理です)
・金彩の器に入れてお出しします。
・風水によれば、カレーのウコン色は、運気・パワーが上昇します。目出度い会合、あるいはご商談にピッタリです。(会社の新年会、創業記念日、ご接待)
・使い残したら、ごはんにかけて食べると美味しくいです。どこか懐かしい味がします。
(ヨーグルト入り卵)
・ヨーグルトを生卵に加えます。
・すき焼きに足りない「酸味」を補い、味を中和させます。(「味の抑制効果」と言います。)
・甘辛味と酸味とがバランスして、信じられないくらいサッパリ、マイルドに感じます。(酢の物に醤油を加えると美味しいのと同じ原理です。)
・どの具材もサッパリと食べられます。
・日本料理店「バサラ」さんが開発した「トマトすき焼き」にヒントを得て、「ちんや」六代目住吉史彦が平成27年に発案しました。
・ただし「バサラ」方式では、トマトを鍋の中に入れて、全てを酸っぱくするのに対し、「ちんや」方式では、玉丼の中だけを酸っぱくします。
・酸っぱいヨーグルトが苦手な方でも「抑制効果」で中和することで美味しく食べられる。ヨーグルトの新しい使い方でもあります。
・柿釉(かきゆう、朱色)の器で提供します。ヨーグルトの白色がよく映えます。
・ヨーグルトは乳酸を含むことから、やはり乳酸を含む赤ワインに合います。ワインと生卵は合いにくいですが、この方法で合わせることができます。

本日もご愛読賜り、誠に在り難うございました。
すき焼き「ちんや」六代目の住吉史彦でした。

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住吉史彦の29大ニュース 2010-2019 その17

さて弊ブログは10周年までラスト一ヵ月に入りました。
ラスト一ヵ月はこの十年間を振り返る月にしよう、10大ニュース 2010-2019を選ぼうと思って、トライしてみましたら、29個も選んでしまいました(笑)
うーん、困ったな。
でも、これで行かせていただくことにしました。29はニ・クだし、今月はちょうど29日あるし。
と、いうことで、住吉史彦の29大ニュース2010-2019が始まりました。一か月間おつきあいいただいておりまして、本日は、その17です。

<29大ニュースその17>
2016年10月 すき焼き文化を象徴する古書『安愚楽鍋』を購入しました。

『安愚楽鍋』(あぐらなべ)は明治4年に刊行された古書です。その本物を、古書を扱っている知人が見つけて持って来てくれましたので、購入しました。
これまで私はすき焼きの歴史について、さんざん語ってきましたが、古い文書の現品は持っていませんでした。この時在り難い御縁で購入できました。
正確に書きますと、この本は、
『牛店雑談 安愚楽鍋』の初編(仮名垣魯文著、落合芳幾画)
粋な姐さんやたいこ持ち、西洋かぶれから田舎侍まで、牛鍋店に出入りする客を描き、文明開化期の風俗を風刺した滑稽本です。「開化期風俗文学の筆頭」と言われたりするそうです。
手に取りますと、和綴じの本というのは、厚い本ではないのに温かみがあって良いですね。
でも、とてもとても読みにくいです。特に平仮名が。
一方楽しいのは挿絵。
明治維新からすぐの頃だというのに、バターやチーズを売る店が描かれています。洋風の馬車が走っていて、御者はマントを着込んでいます。牛鍋を食べる客はほとんどが和装ですね。見飽きない楽しさです。
貴重なものに御縁がありましたので、購入して、その後はお座敷の玄関に展示しています。

本日もご愛読賜り、誠に在り難うございました。
すき焼き「ちんや」六代目の住吉史彦でした。

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住吉史彦の29大ニュース 2010-2019 その16

さて弊ブログは10周年までラスト一ヵ月に入りました。
ラスト一ヵ月はこの十年間を振り返る月にしよう、10大ニュース 2010-2019を選ぼうと思って、トライしてみましたら、29個も選んでしまいました(笑)
うーん、困ったな。
でも、これで行かせていただくことにしました。29はニ・クだし、今月はちょうど29日あるし。
と、いうことで、住吉史彦の29大ニュース2010-2019が始まりました。一か月間おつきあいいただいておりまして、本日は、その16です。

<29大ニュースその16>
2016年2月 単行本『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』を刊行しました。

この本は、浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指したものでした。
こんな(↓)感じです。
「何世代にもわたって来てくれるリピーターがいる店、それが老舗である。」
「毎日、国内外から多くの人が集まる、東京・浅草。震災と戦災で2度も焼け野原になった浅草で、130 年にわたってすきやき屋を営んできたちんやの店主が、浅草の重鎮たちに、同じ浅草の商人として「商売の秘訣」を聞き出す。老舗はどのように生まれるのか? 浅草にこだわり、浅草に居続けるのはなぜか? 銀座とはどのように違うのか? 浅草らしい商いとはなんなのか? 浅草ならではの「商人論」を探り出し、江戸っ子の生き方も引き出していく。」
「本書は対談場所をバーにし、旦那が薦める浅草のおとなの「オーセンティックバー案内」としても活用できる。」
<目次>
第一話 世界に唯一の「江戸趣味小玩具」の店
「助六」五代目 木村吉隆さん
(「バーリイ・浅草」にて)
第二話 最大の危機は生鮨が主流となった頃でした
「弁天山美家古寿司」五代目 内田正さん
(「オレンジルーム」にて)
第三話 神さまの御霊を載せて町を守る神輿を作る
「宮本卯之助商店」七代目 宮本卯之助さん
(「スリーウッド」にて)
第四話 江戸の食文化として「どぜう鍋」を守る
「駒形どぜう」六代目 渡辺孝之さん
(「ビー」にて)
第五話 芸どころ浅草の花柳界を支える
割烹家「一直」六代目 江原仁さん
(「フラミンゴ」にて)
第六話 牛のヨダレのごとく商いを続ける
浅草おでん「大多福」四代目 舩大工安行さん
(「オクラ・イズ・バー」にて)
第七話 浅草六区には夢がある
「浅草演芸ホール」二代目会長 松倉久幸さん
(「フィガロ」にて)
第八話 ごはんにも日本酒にも合うのが洋食
「ヨシカミ」二代目 熊澤永行さん
(「フォス」にて)
第九話 「履物の町」浅草で職人がいる履物店
「辻屋本店」四代目 富田里枝さん
(「マーチ」にて)

刊行:㈱晶文社
ISBN10: 4794969201
現在も販売していますので、よろしくお願い申し上げます。

本日もご愛読賜り、誠に在り難うございました。
すき焼き「ちんや」六代目の住吉史彦でした。

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住吉史彦の29大ニュース 2010-2019 その15

さて弊ブログは10周年までラスト一ヵ月に入りました。
ラスト一ヵ月はこの十年間を振り返る月にしよう、10大ニュース 2010-2019を選ぼうと思って、トライしてみましたら、29個も選んでしまいました(笑)
うーん、困ったな。
でも、これで行かせていただくことにしました。29はニ・クだし、今月はちょうど29日あるし。
と、いうことで、住吉史彦の29大ニュース2010-2019が始まりました。一か月間おつきあいいただいておりまして、本日は、その15です。

<29大ニュースその15>
2016年2月 国際観光日本レストラン協会に青年部が設立され、不肖・私が初代代表世話人に就任致しました。

業界の役職はいくつかお引き受けしていますが、なかった組織をゼロから創りあげるという体験は、この時が初めてでした。良い経験をさせていただいたと思っています。
最初のテーマは、お配りした資料にございます通り、
「食べて、学んで、つながって、未来を創ろう! 」
であります。特に後段の「つながって、未来を創ろう! 」に重きを置いて活動して参りたいと思っております。
思いまするに、ただ今の料理飲食業界を取り巻く環境は、「激変」と言っても良い状況だと思います。グルーバル化、IT化、食の安全への意識の変化、ライフスタイルの変化、あるいは人手不足。
しかし、こうした環境の変化の中でも、伝統的な良いものは残していかねばなりません。なかなか難しい状況と思います。
こういう状況の中では、先輩方の体験・お知恵も勿論大切ではありますが、私達若手の発想・思いつきが、ひょっとすると御役に立つ場面があるかもしれません。私達が集い・語る内に、
これいいかも。
こういう方法もあるんだ!
と考え出したことが、協会の発展に資する場面があるかもしれませんし、さらには業界全体の発展に資する場面があるかもしれませんね。
代表世話人として、この年の4月に国際観光日本レストラン協会「第一回 青年後継者の集い」を新橋「今朝」さんで開催。9月には第二回を鎌倉「御代川」さんで開催。その時点で50歳を超えたので退任させていただきました。
その後も青年部は今日まで継続して活動していて、私の時より盛況になっているとか。大変結構と思っています。

本日もご愛読賜り、誠に在り難うございました。
すき焼き「ちんや」六代目の住吉史彦でした。

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住吉史彦の29大ニュース 2010-2019 その14

さて弊ブログは10周年までラスト一ヵ月に入りました。
ラスト一ヵ月はこの十年間を振り返る月にしよう、10大ニュース 2010-2019を選ぼうと思って、トライしてみましたら、29個も選んでしまいました(笑)
うーん、困ったな。
でも、これで行かせていただくことにしました。29はニ・クだし、今月はちょうど29日あるし。
と、いうことで、住吉史彦の29大ニュース2010-2019が始まりました。一か月間おつきあいいただいておりまして、本日は、その14です。

<29大ニュースその14>
2015年12月 「ちんや」創業百三十五年を記念して、『読み継ぎたい すき焼き思い出ストーリーの本』を刊行致しました。

『すき焼き思い出ストーリーの本』を刊行しました。
ここに掲載されているストーリーは、一般の皆様から投稿していただいたものです。創業130年の時に投稿を募り始め、5年間貯めて、135年で本にしました。
思い起こしますと、すき焼きは文明開化の昔から、日本人の思い出の中に生きてきた料理です。料理は他にいくつもありますが、人々の思い出と一番つながっている料理はすき焼きではないかと私は考えます。
でも残念ながら、そうした思い出話しを纏めて保存したことはなかったように思います。そこで私は皆様にストーリーを投稿していただき、それを本に纏めようと思い立った次第です。
ストーリーを読みますと、感動して落涙を禁じ得ないものから、クスっと笑ってしまうものまで、様々なものが集まりました。
時代背景も、激動の昭和を色濃く映したものから、現代の世相を映したものまで。
様々とり揃えることが出来まして、企画者としてこんなに嬉しいことはございません。店の歴史の資料として、すき焼き文化の資料として、末永く保存するべきものと思っています。
<内容は以下の通りです>
(1章)主の六代 客の六代
~お爺ちゃん・お婆ちゃんからお孫さんまで。絆をつないで来たものは?
すき焼きほどご家族で食べるのにふさわしい料理はないと思います。私・住吉史彦は店に出ていて、ご高齢のお客様から「自分も幼い頃爺さんに連れられて、ここへ来たもんだよ!」とたびたび聞かされました。そしてその方の傍らには可愛いお孫さんが。と、いうことは五代に渡ってご利用下さっているのです。味覚が家族の絆と成り、弊店にはとっては、その味覚こそが本当の財産です。
(2章)昭和に生きて
~生き抜いた先に、食べたくなった料理とは?
「激動の時代」というだけでは表現しきれないほど厳しい時代だった「昭和」。あの時代を経験した人達もだいぶ少なくなりました。戦争というとてつもない理不尽が在り、その分人々は成長というとてつもない渇望を抱いて生きていました。一代で何代分も生きた人達が沢山。そして、その人達が成長のシンボルであるかのように食した料理が、すき焼きでした。
(3章)オラがすき焼き
~家庭ごとに違うすき焼き、地方ごとに違うスキヤキ。なんて面白いのか!
すき焼きは「関東」VS「関西」だけではありません。ご家族の数だけ、街の数だけのすき焼きが在って、そのどれもが後世に伝えたいものばかりです。どれが一番美味しい?と問うのは止めて、全部面白い!と言っていただけたら嬉しいです。
(4章)おご馳走
~人は何故その大切な日にすき焼きを食べるのか?
「ご馳走」に「お」を付けてしまう人を咎めてはいけません。それほど嬉しいのですから。そして、その嬉しい日に食べたのは、すき焼き。嬉しい日だけではありません。悲しみを噛みしめて、「きっとまたいつか」と誓う日にも、やっぱりすき焼き。すき焼き鍋は人の人生を映す鍋です。
(5章)浅草じゃなくちゃ!
~出かけるだけで心騒ぐ街。さて腹ぺコになってきた。
浅草にすき焼き屋が多いのは偶然です。牛鍋が世に登場した時、繁華街としての浅草が全盛期だっただけです。しかし、いつの頃からか、すき焼き食うなら浅草じゃなくちゃ!浅草行くならすき焼き食わなきゃ!と成りました。ゆるゆるのように見えて実はキビシいこの街で、すき焼きが変わらず支持されていることが嬉しいです。
(特別対談「浅草小学校同級生が語る、愛すべき浅草とすき焼き」)
琵琶奏者・友吉鶴心 VS ちんや六代目住吉史彦

本日もご愛読賜り、誠に在り難うございました。
すき焼き「ちんや」六代目の住吉史彦でした。

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住吉史彦の29大ニュース 2010-2019 その13

さて弊ブログは10周年までラスト一ヵ月に入りました。
ラスト一ヵ月はこの十年間を振り返る月にしよう、10大ニュース 2010-2019を選ぼうと思って、トライしてみましたら、29個も選んでしまいました(笑)
うーん、困ったな。
でも、これで行かせていただくことにしました。29はニ・クだし、今月はちょうど29日あるし。
と、いうことで、住吉史彦の29大ニュース2010-2019が始まりました。一か月間おつきあいいただいておりまして、本日は、その13です。

<29大ニュースその13>
2015年10月 慶應義塾の広報誌『三田評論』に出演させていただきました。

メデイア掲載を「29大」に入れるのは、これが2件目です。母校の広報誌に載るのが嬉しかったので、入れました。
『三田評論』には毎月「三人閑談」といって、三人の卒業生が対談するコーナーがあるのですが、今月のテーマが「和牛を食す」で、そこに入れていただいた次第です。光栄なことでした。
さて、私以外の二人の先輩は、
まず銀座の洋食店「つばめグリル」の石倉悠吉さん。石倉さんは「料飲三田会」で旧知です。
それから山形県で「蔵王牛」を生産なさっている髙橋勝幸さんでした。
石倉さんが高い視点から食のビジネスを捉えておいでなのにビックリ。
高橋さんからは生産者としての具体的ご苦労の話しをうかがいました。今肉の相場が高くて、本当に関係者は大変なんです。
私はと申しますと、和牛の特徴を挙げて、それが和食という環境の中でどのように出来上がって来たかの話しをさせていただきました。
それから福澤先生の肉食歴を少し紹介。先生の、あまり知られていない著作『肉食之説』(1870年)のことも話させていただきました。

本日もご愛読賜り、誠に在り難うございました。
すき焼き「ちんや」六代目の住吉史彦でした。

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住吉史彦の29大ニュース 2010-2019 その12

さて弊ブログは10周年までラスト一ヵ月に入りました。
ラスト一ヵ月はこの十年間を振り返る月にしよう、10大ニュース 2010-2019を選ぼうと思って、トライしてみましたら、29個も選んでしまいました(笑)
うーん、困ったな。
でも、これで行かせていただくことにしました。29はニ・クだし、今月はちょうど29日あるし。
と、いうことで、住吉史彦の29大ニュース2010-2019が始まりました。一か月間おつきあいいただいておりまして、本日は、その12です。

<29大ニュースその12>
2015年7月 母・綾子が他界しました。

母が逝ったのは2015年(平成二十七年)七月九日、浅草寺で「ほおずき市」が開かれている日。七十六歳と一日でした。
母は十年ほど前からパーキンソン病でした。
パーキンソン病は、脳内のドーパミン不足を原因とする神経変性疾患の一つですが、治療が困難なことから日本では「特定疾患」つまり難病に指定されています。典型的な症状として、手や足のふるえ・動きの鈍化・筋肉のこわばり・体のバランスの偏りが見られます。
発病から十年ほどで亡くなることが多い病気だそうですが、この頃母もそのステージに入って来たのです。病はだんだんに進行し、2014年の冬あたりから転倒することが増えましたが、母を片時も一人に出来なくなったのは最後の2か月間ほどでした。ふらつきながら料理や掃除、洗濯それから趣味の書道をやろうとする母を家族は交代で見守りました。
そんな暮らしがいつまで続くのだろうと思い始めた頃、6月下旬「その日」は突然やって来ました。
全くもって突然でした。その前日には、頭の傷も少し癒えたことだし、そうだ、また洋食を食べに行こうと母を誘っていたところでした。
母も応じて、そうだね、この前は楽しかったね、また行きたいね!と言っていたのですが、その翌朝母は起き上がれませんでした。全く起き上がらない母を不審に思った父が119番、搬送された病院で極度の低血糖と診断されました。
低血糖に誘発されて心肺機能も低下、十二日間の入院生活の後最終的な死因は肺炎でした。
世間には介護で大変な思いをなさっている方が多いですから、それと比べれば中程度の負担で、しかし「あっけない」ということでもなく最後の時間をもてました。

本日もご愛読賜り、誠に在り難うございました。
すき焼き「ちんや」六代目の住吉史彦でした。

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住吉史彦の29大ニュース 2010-2019 その11

さて弊ブログは10周年までラスト一ヵ月に入りました。
ラスト一ヵ月はこの十年間を振り返る月にしよう、10大ニュース 2010-2019を選ぼうと思って、トライしてみましたら、29個も選んでしまいました(笑)
うーん、困ったな。
でも、これで行かせていただくことにしました。29はニ・クだし、今月はちょうど29日あるし。
と、いうことで、住吉史彦の29大ニュース2010-2019が始まりました。一か月間おつきあいいただいておりまして、本日は、その11です。

<29大ニュースその11>
2015年5月 家畜改良技術研究所が設置した「牛肉のおいしさ総合評価指標開発事業」の「推進検討委員」に任命されました。

役所や公的団体が設置する審議会の議員はいくつかお引き受けしていますが、味のことを論じる審議会の議員に任命されたのは、実はこれが初めてでした。光栄に思うと同時に、大いに勉強させていただくべく、お引き受けしました。
この委員会は、家畜改良技術研究所が3年間かけて取り組む「牛肉のおいしさ総合評価指標開発事業」の内容を検討する仕事です。
この「おいしさ総合指標」とは、
「食品のおいしさは、味、香り、食感を総合した評価であるが、理化学分析等の測定値、専門家によるおいしさの評価および消費者の嗜好性調査を行って、おいしさを総合的に評価する指標を開発する。」
というものです。
上手く行けば、ようやくA5とかB4とかから離脱できます。
あれはですね、肉の見栄えの評価なんです。
サシの入り具合とか、傷とか、健康状態とか。そういう話しなのであって、食べて味を判定しているんじゃありません。目視のみで決めています。
牛肉の味を判定する指標はなく、食べて美味しい牛を買うには、A5とかB4とかだけの情報では不足なんです。
今後この「おいしさ総合評価指標」が確立できれば、客観的に評価できるわけで、間違いなく便利になるだろうと思われます。しかも、これまで研究が遅れていた「香り」についても今回中心物質を特定して行きたいということなので、結構な取り組みと思い、お引き受けしました。

本日もご愛読賜り、誠に在り難うございました。
すき焼き「ちんや」六代目の住吉史彦でした。

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住吉史彦の29大ニュース 2010-2019 その10

さて弊ブログは10周年までラスト一ヵ月に入りました。
ラスト一ヵ月はこの十年間を振り返る月にしよう、10大ニュース 2010-2019を選ぼうと思って、トライしてみましたら、29個も選んでしまいました(笑)
うーん、困ったな。
でも、これで行かせていただくことにしました。29はニ・クだし、今月はちょうど29日あるし。
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<29大ニュースその10>
2014年11月 「すき焼き大全」とも申すべき本を刊行しました。タイトルは『日本のごちそう すき焼き』。 

『日本のごちそう すき焼き』は食文化研究家の向笠千恵子先生が、すき焼きという面白き食べ物について語り尽くした7章と、「すきや連」の有志のすき焼き店主31人が、自店のすき焼き自慢を3ページずつ書いた部分の二部で構成された本で、私も勿論執筆に加わっています。
この本は、2008年にスタートした活動「すきや連」の、この時点での集大成とも言える本でした。
そもそも「すきや連」は、新書『すき焼き通』(平凡社)(著:向笠千恵子)の出版を祝う会として、2008年10月15日に「ちんや」で始まりました。以来31回の例会を、北は米沢・南は熊本までの各地で開催してきましたが、2014年の時点では18回を開催したところでした。
すき焼きに特化した本というのは意外と少なく、類書がないと言って良いと思います。有志のすき焼き店主が執筆に参加したのも珍しい点です。私は、嬉しいことに、そういう本の刊行委員会事務局長を務めさせていただきました。大変良い経験が出来たと思っています。
刊行:平凡社
ISBN9784582836752

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すき焼き「ちんや」六代目の住吉史彦でした。

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