住吉史彦の29大ニュース 2010-2019 その27

さて弊ブログは10周年まで、もう少しとなりました。
ラスト一ヵ月はこの十年間を振り返る月にしよう、10大ニュース 2010-2019を選ぼうと思って、トライしてみましたら、29個も選んでしまいました(笑)
うーん、困ったな。
でも、これで行かせていただくことにしました。29はニ・クだし、今月はちょうど29日あるし。
と、いうことで、住吉史彦の29大ニュース2010-2019が始まりました。一か月間おつきあいいただいておりまして、本日は、その27です。

<29大ニュースその27>
2019年3月 令和時代の肉の仕入れ方針を明確にするため「肉のフォーティエイト宣言」をしました。

「ちんや」は、平成最後の月=平成31年(2019年)4月より、仕入れる牛さん一頭の重量(枝肉重量)を480キログラム以内に制限することにしました。
令和の新しい時代を迎えるに当たり、「適サシ肉宣言」(2017年1月)の3項目に、さらに1項目を加えた次第です。
「ちんや」は日頃より仕入れの際に牛さん一頭を単位に仕入れる「一頭買い」を行っておりますが、その際大き過ぎる牛さんは、美味しくない可能性があるので仕入れないことが宣言の内容です。
仕入れの選択の範囲をあえて好き好んで狭めると思っていただいても結構です。どのくらい狭めるのかと申しますと、出荷される黒毛和牛の頭数全体の20%程度を、まず重量により選択の範囲と決め、その狭い範囲の中だけから、さらに「適サシ肉宣言」により「ちんや」に向いた牛さんを選んで行く、ということでございます。中には600キロを超えるような牛さんもいますが、それは除外します。
重量制限を設けるということは、
「小ぶり」の個体が美味しい、
大きい個体は美味しくないことがある、
という、魚の業界でも良く知られた経験則を具体化、明確化するということです。
実は私は2017年の「適サシ肉宣言」の時にも、この重量制限の件を言いたいと思っていました。
その時は諸般の事情により見送りましたが、
あれから2年、平成時代の終わりを迎えるに当たり、今回「どうしても平成の内に言ってしまいたい!」という気持ちに駆られて、ここに宣言致しました。
思えば、牛さんの味より重量の大きさを追い求めることは平成の畜産業界の弊風でした。その傾向が次の時代にまで続かぬよう、一人の買い手として姿勢を明確に致します。
畜産業界には、売り手として牛さんの重量を制限している団体として、唯一「神戸肉流通推進協議会」さんがあります。「神戸牛」ブランドを管理している団体です。
大きくなりすぎると「神戸牛」らしいキメの細かい肉質が損なわれる、つまりサシの形状が「小ザシ」ではなくて「粗ザシ」になってしまうと考え、「神戸牛」の定義に重量制限の項目を入れておられます。したがって重量が大きすぎると兵庫県産であっても「神戸牛」とは名乗れません。
一方、買い手として重量制限を公言している団体や会社を私は寡聞にして知りません。「ちんや」が本邦初かもしれません。
それはさて置き、「ちんや」でも美味しいお肉、つまり「小ザシ」のお肉を追い求めるため、平成31年(2019年)4月より仕入れる牛さんの一頭の重量を480キログラム以内に制限します。
「美味しい肉はフォーティエイト!」と覚えていただければと思います。

本日もご愛読賜り、誠に在り難うございました。
すき焼き「ちんや」六代目の住吉史彦でした。

Filed under: すき焼きフル・トーク — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)