去年から、カレーオイル入りの溶き卵を売っております関係で、カレーのことが、どうも気になります。
だいたい、何故こんなにも日本人はカレーライスが好きなのか。
辻調グループによる2013年の調査では、国民の23%がカレーライスを「和食」と認知しているとか。
現在の日本のカレーは、インド人が「何これ、この日本料理ウマすぎィ!!」とビックリするほど独自の進化を遂げています。
しかし!
インド人は、「アナン」のバラッツさんによれば、カレーのことを「カレー」とは言わないそうです。
そして、日本人にカレーを伝えたのは、インド人ではないそうです。びっくりですね。
では、誰が伝えたのか?
弊ブログの2/3号に書きました通り、カレーは福沢諭吉先生によって日本に紹介されました。
先生最初の単行本である『増訂華英通語』(1860年、万延元年)に「Curry コルリ」という表記があるそうです。アメリカに渡って買ってきた単語短文集に簡単な意味や片仮名の発音を付記した本だとか。
もっとも先生がアメリカ滞在中にカレーを召し上がった証拠は無いらしく、単に色々な料理名を紹介しただけかもしれません。しかし、少なくともこの本でカレーという語が紹介されていることは事実です。
もう少し本格的にカレーを紹介したのは、牛鍋を紹介した本『安愚楽鍋』を書いた仮名垣魯文による『西洋料理通』(1872年)です。
そう、カレーは西洋料理として日本に伝わったのです。そしてカレーを西洋に伝えたのは、もちろんインドを支配していたイギリスです。
イギリス人の船乗りは航海中にシチューを食べたかったが、当時は牛乳が長持ちしないとの理由で諦めるしかなく、牛乳のかわりに日持ちのする香辛料を使って、カレー味のシチューを考案したのが起源と言われているそうです。
カレーを「カレー」と名付けたのもイギリス人です。
その、イギリス式のカレーが日本に伝わった所までが第一段階。
そして、次の第二段階にはハッキリしない点が多いです。
ライスカレーが、明治20年代に登場したのです。
どこが発祥か分かりませんが、白米にカレーをぶっかける、丼ぶりのような食べ物が登場したのです。
これは急速に普及しましたが、どこが発祥か分かりません。
それまでは別々に器に盛るスタイルだったのが、一つの皿になったわけですから、想像しまするに、
調理時間を短縮したい、
洗い物の時間を短縮したい、
食べるスペースを小さくしたい、
という事情があって成立した食べ方だと思われます。
で、推測されるのは、
まず軍艦の食堂
つづいて洋食屋の賄い場
なんとなく海軍説を支持したい感じはします。
先日テレビで、カレーライスを発明したのは、かの東郷平八郎だと言っていて、その決め込みには驚きましたが、流石に証拠はないようで、下に小さくテロップで「諸説あります」と表示していました。
ともあれ、明治20年代にカレーライスが登場。瞬く間に国民食となりました。
こんなに以前から国民食なので、すき焼き用の溶き卵にカレーを入れた場合も、なんだか懐かしい感じがするのです。
どうぞ、お召し上がりくださいませ。
追伸
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2016年2月25日発売
株式会社晶文社 刊行
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.625日連続更新を達成しました。