ネノネ

近江八幡のすき焼き店「毛利志満」の森嶋さんが会社のPR誌を発刊されました。

名付けて「ネノネ」。

歴史的な「ルーツ=根」から聴こえる音。もうひとつが、周辺のさまざまな生産業者さんとの「繋がり=根」から発する音。「ネノネ」とはこの二つの音色を意味しているのだそうです。ユニークですね。

タイトルがユニークなら中身もユニークです。私の知る限り、すき焼きのPR誌の中で、こういうのを見たことがないです。

初回から、すき焼き業界の、忘れられた偉人を採り上げます。

その偉人とは、浅草「米久」二代目・竹中久太郎。

なぜ「毛利志満」さんが「米久」さんの店主を採り上げるかは、説明が必要と思いますが、森嶋家と竹中家はご親戚です。親戚の内で森嶋家が近江に残って牛を出荷する側。竹中家は東京に進出して牛を牛鍋にして売る側だったのです。

その「米久」竹中家は初代・久次の時に既に大を成し、東京の食肉業界を代表する人物でしたので、業界関係者なら知っているのですが、二代目・久太郎については、私もまったく知らなかったものですから、事績を知って、かなり驚きました。

関東大震災後の、階級対立が深刻化する世相の中で、久太郎は社会事業を行う決意をして、地元・近江に図書館や公会堂、庭園、娯楽場を建設して一般に開放したのです。

事業の趣旨と決意を語った著書「米久の真生命」(1926年)は、国会図書館に収められていて、デジタル化されているので、ネットで全文読めます。拝読しましたが、社会への問題意識がとても高い方だったようです。

久次ではなく久太郎に注目したところが、今回の着眼点の面白さだと思います。かなりマニアックですけどね。

大変勉強になりました。「ネノネ」発刊お芽出とうございました。

それにしても、あの時代の牛鍋屋って、本当に儲かったんだなあーと思います。私の曾祖父も議員とかをしていました。今では信じられないことです、まったく。

 

追伸1

「ブーストマガジン~人生の楽しさを加速するメディア~」(ネットメデイア)に「適サシ肉」の件を載せていただきました。ありがとうございます。

 

追伸2

拙著は好評(?)販売中です。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

題名:『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』

浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指しています。

東京23区の、全ての区立図書館に収蔵されています。

四六判240頁

価格:本体1600円+税

978-4-7949-6920-0 C0095

2016年2月25日発売

株式会社晶文社 刊行

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.634日連続更新を達成しました。

 

Filed under: すき焼きフル・トーク,飲食業界交遊録 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)