長澤鼎ワイン
長澤鼎ワインをいただきました。
長澤鼎(ながさわ・かなえ)というのは人名です。ワインのラベルを見ますると、日本人男性が写っています。一見して強情そうな人物ですが、この人物が長澤です。
1852年生まれ、1934年没。薩摩藩士出身のワイン醸造家です。強情そうなのは薩摩だからですね。
13歳の時に藩命でイギリスに留学し、後にカリフォルニアに渡り「カリフォルニアのワイン王」「葡萄王」「バロン・ナガサワ」と呼ばれようにまでなった方です。
イギリスからアメリカに渡ったのは、キリスト教系新興宗教「新生兄弟社」に入って、信者らと共同生活を送るためで、ワインを始めたのも教団の経営のためです。薩摩であることに加えて、宗教的信念が強烈なのですから、この顔つきは当然かもしれません。83歳で亡くなるまで生涯独身を貫きました。
そんな長澤ですが商才もありました。
ワインの品質を上げ、米国内のワインコンクールで好成績を納めました。フランスに特約店を設け、イギリスに輸出された最初のカリフォルニアワインも長澤ワインでした。ワイナリーは広大な広さに成長しました。
しかし長澤が亡くなる少し前より、アメリカの世論は排日に傾きます。長澤の財産やワイナリーは排日土地法のため相続できず他人の手に渡り、彼の名もまた、1983年にレーガン大統領が日米交流のシンボルとして演説で採り上げるまで、忘れ去られてしまいました。
現在はワイナリーの一部が「パラダイスリッジ・ワイナリー」として継承され、少量の生産が行われています。
日本へは「布袋ワインズ」社が輸入しており、またレストランで飲みたい!という方は、大手町フィナンシャルシティの中に在る、私の知人の店Orchestra vino で飲むことができます。
品種はシャルドネ。
ほど良い苦みは、日米の歴史の苦みでしょうか。
追伸1
「ブーストマガジン~人生の楽しさを加速するメディア~」(ネットメデイア)に「適サシ肉」の件を載せていただきました。ありがとうございます。
追伸2
拙著は好評(?)販売中です。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
題名:『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』
浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指しています。
東京23区の、全ての区立図書館に収蔵されています。
四六判240頁
価格:本体1600円+税
978-4-7949-6920-0 C0095
2016年2月25日発売
株式会社晶文社 刊行
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.636日連続更新を達成しました。