おもてなし2.0
いやな話題ですが、料理屋の会合で「クレーマー」という単語を聞かない日はありません。
「週刊文春」が1999年に登場させた、この言葉は今や一般的に成りました。
消費者の意見はとにかく最大限尊重されるべきだという当時の風潮の中で「週刊文春」1999.8.26号は、
「ホームページ事件真相スクープ―東芝に謝罪させた男は名うての「苦情屋」(クレーマー)だった!」と書いて、おかしな消費者が存在することを広く報せました。
クレーマーの被害を蒙るのは、最初はメーカー・小売・料理屋という業種でしたが、今や学校や病院などの公共的な施設においても、クレーマーは頻繁にみられるようになってきています。教員をしている知人も、そういう親がクラスにいると、勤務時間が格段に延びるとボヤいていました。
問題は、その背景です。
背景には「他人を許せない」人たちが明らかに増えてきているという状況があるようです。
他人を許せないのは、自分自身に満足出来ていないからです。
自らの現実に不満足な人が、不寛容な心持ちで他人のアラ探しに精を出しては、いっときのウサを晴らしているようです。ネットの「炎上」も同根でしょう。
そして、そのまた背景には、近代化を突き進んで来た日本が、行き着く所まで行ってしまったことがあると思います。
経済性を追って来て、それをかなりの程度達成したのに、ちっとも幸福に成っていない、その現実に多くの人が気づいてしまったのかもしれません。働くことの目的が不鮮明に成ってきたとも言えるかもしれません。
アメリカでも最近ゲイリー・ハメルなる先生が、
株主利益を最大化する
その目的の為に経営陣が従業員を強度にコントロールする
・・・という経営手法のことを「マネジメント1.0」と名づけて、そこから脱却することを勧めはじめたそうです。
そしてさらに最近、この発想を観光業に導入するレポートが日本でも出ました。
『おもてなし2.0指標による新しい時代へ向けた企業経営』というEY総合研究所さんのレポートです。
詳しくはWEBでも見られますので、ここでは概略のみ書きますが、要するに、
顧客、従業員、地域の視点を観光業に導入することで、2.0経営を実現しよう!というものです。
このレポートを作成するに当たり、弊社も、在り難いことに「先進事例」として取材していただきました。
経営者の皆さん、どうぞ参考になさって下さい。
追伸
『日本のごちそう すき焼き』は、平凡社より刊行されました。
この本は、
食文化研究家の向笠千恵子先生が、すき焼きという面白き食べ物について語り尽くした7章と、
全国の、有志のすき焼き店主31人が、自店のすき焼き自慢を3ページずつ書いた部分の二部で構成された本で、
この十年の「すきや連」活動の集大成とも言える本です。私も勿論執筆に加わっています。
是非是非お求めください。
弊店の店頭でも販売しますし、こちらからネットでも購入できます。
是非。
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