「なんちゃって」着物
「なんちゃって」と「本物」の境目はどこに在るのか?
最近分からなくなることがあります。
まず気になるのは浅草を闊歩する和装の外国人の姿。
顔が良く見えない位遠目からでも外国人と判別できます。
着物が「なんちゃって」だからです。
いや、訂正。私には「なんちゃって」に見えるということです。
素材がケミカルなのは遠目でも分かるんです。それに柄が季節外れ。
その着物を貸しているレンタル・ショップはごく最近出来た店です。その店が出来た時私は、
レンタル着物って、成人式とか卒業式とか花火大会とか、ごく限られた日にしか利用されないのに採算が合うんだろうか・・・
と不審に思いましたが、外人さんに貸すという作戦があったのですねえ。思いつきませんでした。
その作戦が当たっているのは明らかです。それ位闊歩しているのです。先日はテレビにも採り上げられていました。
タイから見えたという若い女性がインタビューに答えて、
Geisha-girlの格好をしてみたかったの!
と言っていました。
あのですね、芸者さんはそういう格好をしませんよ。客は安からぬ金を払うのに、そんな着物で座敷に出たら怒られます。
でも外人さん達は皆楽しそう。日本人の修学旅行生と一緒に記念写真を撮っている様は微笑ましいものです。
伝統に固執して和装文化が滅びてしまうよりは良いかもしれません。
だいたい浅草は「なんちゃって」を受け入れてきた街です。
「ちんや」も狆屋をやめて料理屋に成った当初は、なんちゃって料理屋だったことでしょう。
とりあえず、外人向け着物レンタル業のようなビジネスを私が褒めたり、人に紹介したりすることはないですが、こき下ろすのは止めておくことにします。
「なんちゃって」と「本物」の境目はどこに在るのか?
考え甲斐のあるテーマです。
追伸
『日本のごちそう すき焼き』は、平凡社より刊行されました。
この本は、
食文化研究家の向笠千恵子先生が、すき焼きという面白き食べ物について語り尽くした7章と、
全国の、有志のすき焼き店主31人が、自店のすき焼き自慢を3ページずつ書いた部分の二部で構成された本で、
この十年の「すきや連」活動の集大成とも言える本です。私も勿論執筆に加わっています。
是非是非お求めください。
弊店の店頭でも販売しますし、こちらからネットでも購入できます。
是非。
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