危険なポスト
日本郵便九州支社の「危険な郵便ポスト」の問題に注目なさっていますか?
総務省九州管区行政評価局が行った調査で、利用者の安全性や利便性への配慮を欠いたポストが多数見つかった問題のことです。
日本郵便って、もう民間会社なのに、なんで行政評価されるんだろうって思いますが、今日の本題は「危険なポスト」ですから、民営化の話しはさて置きまして、どのように危険かと申しますと・・・
鹿児島市のとある住宅街では、歩道の植樹帯に在る郵便ポストが、なぜか車道側を向いていて、投函するためには車道に出て手紙を差し入れるしかない(!)のだとか。貴顕です、いや危険です。
またポストと電柱との間が20~70センチしかなく、投函口が電柱の方を向いているので体格の良い人や車椅子では入り込めない事例がいくつもあるとか。
なんでまた、こんなポストが出来たのか?
設置業者が向きを間違えたのではありません。
集配しやすいように、集配口を便利な方向に向けた結果、自然の結果として投函口が不便な方向を向いたのです。
け、けしからん!!!
これだから役人という人種はダメなんだ!!!
徹底的にバッシングすべきだ!!!
と言うのは当然です。
しかし、こういうことをしてしまう人って、色んな職場にいますよ。「ちんや」にも普通にいます。
こういうことをしてしまう人って極悪人なのではなく、実は良い人だったりします。能率的な仕事が好きで、仲間想いの人だったりします。
集配の能率を上げようと思案した結果、車道側を向いたポストが出来たのでしょう。
そして、その人の後任の人も、利用者重視に方針を変えれば、前任者の仕事を否定することになるから出来なかったのでしょう。
「ちんや」の事例も恥じを忍んでご紹介しますね。
「ちんや亭」には、お客様に氷を提供してはいけない、というルールが実は在りました。地下1階のカジュアルレストラン「ちんや亭」には製氷機が無かったのです。
2階にまで行けば大きな製氷機が在るのですが、催事日とか忙しい日は上がり下がりが大変です。
ヒマな日のお客様には氷を出し、忙しい日のお客様には出さない、ということでは、断った担当者がイヤな思いをしますから、結局、全面的に提供してはいけない、というルールが出来上がったのです。迂闊にも私はそれを知りませんでした。
では実際問題として、氷は必需品でしょうか。
冷蔵庫はあるので、水も酒もお茶も冷たくお出しできていました。氷そのものが欲しい、という小数の方だけが問題なのです。
だから、氷がもたらす利益と、能率・コストを天秤にかけた場合、氷を出さない、というルールは合理的と申せましょう。だいたい、氷はタダですからね。
その方法で永年トラブルは起きず、トラブルがないのだから社長に知らせることもあるまい、ということで、私はこのルールのことを知らずに来ました。しかし、ある日突然事件は起こりました。
ある御客様が、ある特別な御要望を出されて⇒それをお断わりして、その次の御要望が、運悪く「氷水!」だったのです。
後の経過は御想像におまかせして、さて、ここで製氷機を入れるかどうかを再度経営者として検討してみましょう。
私は結局小さい製氷機を入れました。
使用頻度については前述の通りです。実際の状況としては、氷抜きの水を欲しがる方の方が多数派でしょう。
しかし、能率の問題ではなく、「ちんや」が氷を断って良いのか、という判断をしないといけません。
私は能率家ではなく、「ちんや」は能率を重視する店ではありません。
結論は導入でした。
このように、良い人=能率的な人・仲間想いの人の考えが、外から見ると大間違いに成ってしまうことがあります。
それをことさらには責めず、しかし、やはり利用者重視に導くのが経営者の仕事だと思います。
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.573日連続更新を達成しました。
毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。