ぼっち席
1980年代のこと、学生だった私は、一人ぼっちで昼食を摂ることが結構ありました。
携帯電話は既に開発されていましたが、非常に大きく高額なもので、学生が持ち歩くことはまずありませんでした。
コンピューターはマークシートを読ませて計算させる時代で、スマホは勿論メールもありませんから、友人と簡単に連絡がとれません。
慶應三田キャンパスの場合、食堂は複数あり、外へ出ればすぐに商店街で食べられる店はいくらでも在りましたから、同時刻に友人がどこに居るのか分かりません。
それに、一人で遠征、をしばしば試みていました。
当時から食に関心がありましたから、新橋や銀座の美味しい店まで出かけていました。
3時限目(13:00~14:30)の講義を選択していない日は、2時間半も待ち時間がありますから、そこを利用して遠征します。講義を選択する時に、わざと3時限目を空かせておくのです。
家庭教師のバイト代は、みなここに投入していた記憶があります。
最初の頃は友人を誘っていましたが、次第にそれがメンド臭くなり、結局一人で遠征、に成りました。なにしろ携帯もメールもないんですから。
あれから30年。
最近、学生食堂に「ぼっち席」が普及してきた、と新聞が報じていました。
机の中央が板で仕切られていて、向かいの学生からの視線が遮られた席で、そう、牛丼チェーンやコーヒーチェーンによく在る、お一人様用の席です。
今時はスマホも携帯も在りますから、友人と簡単に連絡がとれます。一人でいることは本当に独りなことを示してしまいます。可愛そうですね。
今や、神戸大学の食堂では全座席の1割を「ぼっち席」が占めている、とか。
うーん。
頑張れ、学生諸君。
必ずキミがモテる日が来る。
それから大学当局の先生方に申します、食堂のメニューに「強制すき焼き」を導入してはどうでしょう?
値段は格安で、スペシャルに美味いのだけれど、しかしそれを注文したら最後、別の「ぼっち」の学生と必ず一緒に食べないといけないとか、どうでしょう?
協力しますよ。
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毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。