ニオサク

「浅草うまいもの会」の新年会が「ちんや」でありました。

こういう場合はいつものことながら実験台に成って貰います。

今回は秋田のニオサクという山菜が「変わりザク」として使えるか、浅草の人々を使って人体実験しました。

ニオサクあるいはニョウサクは、北海道、本州北部・中部に分布する、セリ科の植物で、「エゾニュウ」が正式な学名のようです。

クマがこの草を好んで食べるそうです。

秋田の人は、そのニオサクの、株の真ん中の若い茎を切り取り、皮をむいて塩蔵します。塩蔵するのは非常にアクが強いからで、いったん塩をしてから、食べる前に塩抜きします。夏場に塩蔵して、冬の食べ物が乏しい時期に食べる習慣になっているようです。

何故か秋田県人が特に好んで食べるようで、水煮にされたものが通販アイテムに成っていたりします。他の県でもけっこう生えているのに、秋田ほど利用はされていないようです。

煮物、油炒め、煮付け、天ぷら、汁の実などに良い、とされていて、秋田ではおでん種にもするとか。煮込んでも煮崩れないので、鍋ものに向くと思えます。

これまでウドやフキは「変わりザク」として使って来ましたから、おそらく美味しく食べられましょう。

で、使ってみた次第です。

ほろ苦さと適度な食感が良く上々と思います。調理によってはウドやフキよりもおいしいと、年々、人気が高まっているとも聞きます。

今年の冬は、もうすぐ終わってしまいますから、今年に関してはチト時期を逸しましたが、結構、行けそうと思った次第です。

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ラッキーフード

Dr.コパさんって、すき焼きがお好きなんでしょうか。

そう、あの「風水といえばぼくでしょ。日本一陽気な幸運オヤジ、歩く縁起者」という、あの方です。

別に直に存じ上げているわけではなく、ツイッターを視ているだけなのですが、コパさんは毎日ツイートなさっていて、その中に頻繁にすき焼きが出てくるのです。2月のある日のツイートは、

「ピリッとしよう」

11日は建国記念の日。

今年の夢や希望を神様にお願いする

最後の日。

ピリッとして、今年の事を考えてみよう。

ランチはすき焼きにするぞ!

すき焼き、白、キャメル色、

貯金箱で開運の水曜日。」でした。

あまりに頻繁にすき焼きが出て来るので、気になって調べてみましたら、

「東京都出身。日本大学第三高等学校を経て日本大学理工学部建築学科卒業。祥設計株式会社社長。三宅の宮(観相・家相)を主宰。茶懐石料理教室校長。中央競馬の馬主としても活動している。」

「祖父の代より三代続けて日本の伝統建築・風習・伝統行事・縁起・由来の開運法を研究しており、温泉を使った伝統的な開運法など、中国、アジア、西洋諸国の伝統開運法を吸収しつつオリジナルの開運術を考案。」

「Dr.コパの風水とは、周囲の環境によって運を開花させようという環境開運学のこと。身のまわりのすべての環境、つまり住まいはもちろん、洋服や食べ物、遊びやギャンブル、また人間関係や考え方を 整え、運気をより良く変えていこうというものです。」

うーん、特にすき焼きに結びつく話しは無いですねえ。

でも、自然の気のエネルギーを獲り入れるのに、すき焼きを食べる、というのは、なんとなくですが、分からないでもないです。

そう言えば、先日の台東区若手経営者サポートセミナーで二条彪先生が、自分の「パワーフード」は鰻で、鰻を食べるとやる気がパワーUPする、と言っておいででした。「パワー」が出れば運気が上昇して「ラッキー」にもなりましょう。

「美味しい」「楽しい」ばかりではなく、「パワー」や「ラッキー」も食べ物の効能と言えるのかもしれません。

コパさんに戻りますが、

「自然から受ける幸運を、自分の知っている範囲の理屈に合わないからといって受け入れないのでは幸運はやってきません。楽しんで実行して、みなさん幸せになりましょう。」

はい、幸せになりましょう。

 

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もやしすき焼き

最近「温泉もやし」が注目を集めています。

「ちんや」では「大鰐温泉もやし」を毎年11月から12月にかけて「変わりザク」としてお出ししていて、弊ブログでも何度かご紹介してきましたから、ご記憶の方も多いと思います。

その「大鰐温泉もやし」が先日読売新聞の「辛味主義」という連載に登場していて嬉しくなりました。

読売には、お菓子の世界を伝える「甘味主義」と、酒肴の名品を紹介する「辛味主義」が交互に掲載されていますが、その「辛味主義」の方で、著者は萬眞智子さんです。

「すきや連」で私たちがお世話になっている、向笠千恵子先生も雑誌『味覚春秋』の「おいしい色々」という連載の第23回で「大鰐温泉もやし」のことと、やはり温泉を使ってもやしを育てている、米沢市の「小野川豆もやし」のことを書かれていました。

もやし栽培はテレビCMでお馴染の通り、現代では工場での大量水耕栽培が主流で、人間がつきっきりにならないといけない、温泉もやしは絶滅寸前でしたが、この二箇所の有志がブランド化を図ることで、なんとか存続。だんだんに注目を集めるようになって来ました。目出度いことです。

大鰐は土室方式で、小野川は、流れる温泉の上に砂を敷きつめる方式と違いはあるものの、土耕栽培で温泉のミネラルを利用する点は同じです。工場ものとは比較にならない位立派な姿に成長します。

さて、そのもやしの食べ方ですが、向笠先生は、まずもやしの味噌汁の採り上げた後、

「極めつきはすき焼きの具にすること。牛肉のうま味と合わさって、もやしとは思えないほどの存在感を発揮する。」

と書いて下さっています。

温泉もやしは、食べごたえ・食感が素晴らしいですが、うまみに乏しいという限界があるので、そこを補う必要がありましょう。

もやしが注目され、ついでに、その食べ方としてすき焼きも注目されたら、在り難いことです。

追伸、2月の「変わりザク」は「下仁田葱」をお出ししています。こちらも素晴らしいですから、是非お召し上がり下さい。

 

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イグノーベル賞

我が義塾の雑誌『三田評論』を読んでいて、快哉を叫びたくなる文章に遭遇することは、正直申しますと、頻繁にはありません。でも12月号にはありました。

筆者の方を個人的に存じ上げている、というわけではないのですが、読んで愉快だったので、ここにご紹介します。

さて、その文は「イグノーベル賞、縁と運の賜」という題で、2013年のイグノーベル賞「医学賞」を受賞した新見正則先生の一文です。

「心臓移植をしたマウスにオペラの『椿姫』を聴かせたところ、モーツァルトなどの音楽を聴かせたマウスよりも拒絶反応が抑えられ生存期間が延びた」という研究で、メデイアでもだいぶ紹介されていましたから、ご存知の方も多いと思います。

この研究をした新見先生はレッキとした、義塾医学部卒の外科医で、心臓移植後の拒絶反応を研究する内「環境因子がなにか免疫に影響を与えている」さらには「病は気から」と信じるに至った、というのです。

そもそも、違う環境に置かれたマウスを比較することができたのは偶然だったそうです。研究室が狭かったから、同一条件のマウスのケージを別の場所に置くしかなかったという偶然が第一。

次なる偶然は、最初の実験用の音楽として最高の演奏の『椿姫』を選んでしまった、という偶然です。

先生が使った『椿姫』は、巨匠ショルティ指揮のロイヤル・コヴェントガーデン・オペラ、ヴィオレッタ役はゲオルギューという伝説の名演です。この最初に使ったCDが結局一番心臓に効いたのだそうです。

そうそう、だから私は肥育中の牛さんにも音楽とか潮騒の音とかを聴かせるべきだと、以前から言っているんです。

『椿姫』を聴かせた牛とモーツァルトを聴かせた牛の肉質を比較したら、それこそイグノーベル畜産学賞ものだと思うんですけど、それはまあ、さて置きまして、

何かを探しているときに、探しているものとは別の価値あるものを見つける能力・才能が先生にはおありだったわけで、それを先生は、

「まあ、運と縁を自分にいかす能力ということだ」と言い換えています。

「確かに僕は今まで運と縁に恵まれて生きてきている。いつも誰かが助けてくれる。いつも誰かにお世話になっている。悪いことがあっても、それがいつの間にか良いことになっている。本当に人の縁に恵まれた人生だ。」

「本当に素晴らしい章をいただいた。皆さんに感謝だ。この栄光は僕だけのものではなく、僕と関わってき皆さんのものだ。」

他人の受賞などというものは、たいていは妬ましいだけのものですが、この受賞は、人事ながら愉快でした。

ユーモアがあって、運と縁を大事にする方が表彰されるのは嬉しいものです。

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沖縄のスキヤキ

その情報もツイッターで見つけました。@yuka_mildさんの、

「沖縄で「スキヤキ」というとこれです、食堂で皿にもられて出てくる一品料理」という画像がツイッターに出ていました。

へえ、知りませんでした!

で、これを機会に色々調べておりましたら、実に面白いです、沖縄のすき焼き。

順をおって御説明申しますが、

第一に、沖縄の「スキヤキ」は鍋料理ではないらしいのです。

調理されて皿に盛られて出て来るそうで、卵は、その皿の中心に半熟の状態で乗って来るようです。

次に提供される場所ですが、すき焼き屋ではなく食堂です。その食堂の名物メニューに成っているケースも多いとか。

ただし表記は「すき焼き」でなく「スキヤキ」もしくは「すきやき」

具材の特徴は、シラタキでなく春雨が入っていることと、キャベツやレタスが入る場合もあるとか。なんとも緩い感じですねえ。

沖縄では味噌汁定食にもレタスが入りますから、すき焼きに入るのも平気なのでしょう。

さらに面白いことに、この「スキヤキ」がよく売れるのは、夏なのだそうです。むしろ、沖縄の人は暑くなると「スキヤキ」を食べたくなる、と申します。

へええ!

これは、すき焼きの一大特徴である「融通性」が顕れた見本と申せましょう。

まだまだ、全国に面白いすき焼きが在るんですねえ。

ちなみに、「スキヤキ」が有名な食堂は、那覇市の「お食事処三笠」さん。

なんでも沖縄の一般的な家庭料理を味わえる食堂で、創業30年以上なのだとか。

み、三笠ですって?

戦艦「三笠」と言えば東郷平八郎提督の旗艦じゃないですか。

随分と内地っぽい名前ですねえ・・

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愚直経営

いやあ、そんな大変な時期があったとは存じませんでした。

断片的には聞いておりましたけどね。債務超過で倒産寸前だったとは。

本にハッキリ書いてあることなので、ここに書いてもOKと思うのですが、倒産寸前だったのは私の知人の会社・足立市場丸勤食販企業組合さんのことです。

で、その大変だった頃のことが書かれているのは『「愚直経営」で勝つ!』という御本です。9人の社長さん達の愚直経営ストーリーが綴られていて、丸勤食販さんの件は、その中の1篇です。

さて以前の丸勤食販さんは、足立市場の近くの工場や職場に食材を納めることを仕事にしていました。今では賄い飯というと飲食店の賄いしか思い浮かべませんが、以前は工場に煮炊きする設備が在って、従業員に食事を出している所がありました。そういう所に納めていたのです。

しかし時代の流れで、そういう職場は減っていき⇒丸勤食販さんの仕事は減り⇒経営も苦しくなって行ったようです。

私の知人・渡井さんは、その経営を再建すべく、御父上から会社を引き継ぎました。と、申しますか、倒産寸前だ!ということで、他の仕事をなさっていたのに呼び戻されたというのが実態のようです。

渡井さんは、その後結局経営再建を果たしますが、最初の内は体調が悪くなる位の苦闘の日々だったようです。

財務だけでなく社内も荒れていて、10年間に50人の社員が辞めていったとか。

そんな中、渡井さんは二条彪先生の講演で聞いた、

「同業他社が面倒くさがってやらないことを、閾値(いきち)を超えるまでとことんやり尽くすと世界が変わる」という教えを実行に移すことを決意します。

20種類だけだった商品の規格をフリーにして、100g単位で顧客の必要量だけ、カット形式も好きに注文できるようにしたそうです。

わずかな量でも洗浄・殺菌・脱水し、真空パックする、という作業を大真面目にやり続ける=愚直経営を続けることで、経営再建を果たしたのです。

市場の選び方も成功しました。こうした真面目な取り組みが重要な、病院向け食材・福祉施設向け食材の市場に進出したのです。

この市場は高齢化社会で成長が期待できる市場ではありましたが、丁寧な仕事が要求され、そして何より、患者さん達のライフラインを担う仕事で責任重大です。その事業に進出する本気さを見て、次第に社風も変わっていったそうです。

思いまするに、こうした愚直さこそがブランドです。

著者の三村邦久さんが後書きに書いておいでですが、

「ブランドとは単に高級品を指すのではなく、商品・サービス、そして企業そのものに対する信頼感を指しています」

この部分が多くの人に読まれたら良いと思います。

ブランド=認知度・知名度と思っている人が多すぎます。

特に、食べ物の世界で信頼感より認知度を追っている人が、実に多いんですよね、愚痴ですが。

この御本に学んで、愚直に信頼されようとする姿勢が評価される社会にしたいものです。

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news every.

1月29日放送のテレビ番組『news every.』に出演させていただきました。

「穴場探険!浅草の裏の裏」という題で、「ちんや亭」についてでした。

地元のラーメン店「与ろゐ屋」の御主人・松本光昭さんが案内人になって、あまり有名でない店を回る、という趣向です。

ええ? 浅草のメイン道路に面しているのに「穴場」はおかしいぞ!

とお思いの方は以下↓をお読みください。さて、

「ちんや」の地下に「ちんや亭」という、カウンターだけ16席の小さい店を経営しています。「一人すき焼き」もできますし、ハンバーグ、ロールビーフなどの軽いメニューもやっています。

その店について今回のご取材で質問されましたことは・・・

<「ちんや亭」を1975年にオープンさせたきっかけは?>

・気軽に靴を脱がずに入って「ちんや」の味を楽しんでいただきたかった。

・通常すき焼きなど鍋料理の店は御一人様では入りにくいので、お一人様でも入りやすい店を創りたかった。

・焼き物(=ハンバーグ、ステーキなど)の調理工程を御客様に目の前でご覧いただき、出来上がったら即座に(=3秒以内に)アツアツの状態で御提供申し上げたかった。

<夜は営業せず昼限定で営業している理由は?>

・「ちんや」では、ハンバーグ、ロールビーフなどの挽き肉を使った料理も、すき焼き用の高級な熟成肉の端材を使って作っています。そのため品切れになりがちです。昼のみ営業が、物量的に塩梅が良いのです。

(無理に夜の分も用意しようとすると、「挽き肉用の肉」を仕入れざるを得ず、それは美味しくないです)

・すき焼き「ちんや」のメニューは重たいものばかりなので、昼間営業していてもスタッフ(=仲居さん)は手持ち無沙汰になりがち。そこで昼は「ちんや亭」で働いてもらい、御客様と顔馴染みになれるようにします。

御客様は日頃慣れない「ちんや」へ、記念日の日などに上がった場合緊張してしまいがちですが、スタッフが顔見知りであれば、安心して食事が出来ます。これにより同一人物に「ちんや」と「ちんや亭」の両方を使っていただけます。夜は「ちんや」の営業に専念します。

・昼時は予約せずにフラリと見える方も多いので、「ちんや」が大勢様などで満席の場合に、その方を収容する店がもう一軒必要だった。(夜のお客様はたいてい予約を入れてから見えるので、そうした心配があまりない)

<ロールビーフを始めた理由は?>

・「ちんや」のハンバーグは牛豚合挽きなのですが、牛挽き肉だけのメニューが欲しい、という御客様の声があったのを、現場の担当者が聞いて⇒メニューにしました。

<常連さんが召し上がるメニューは?>

・近隣の方は、やはり価格的に安いハンバーグ、ロールビーフ、サイコロステーキが多いです。(サイコロステーキは所謂「成型肉」ではなく、形が小さい精肉を使ったステーキ)

・その他に毎回特定のメニューばかり食べに遠方から見える常連さんもおいでになります。

「毎回一人すき焼きの常連さん」「毎回一人フィレステーキの常連さん」がおいでになる。

・・・という次第でございまして、席数が少なく、材料も限られるので、ほとんど宣伝してないんですね。

で、メイン道路なのに「穴場」なんです、はい。

実際テレビに出た後大変混み合っています。

弊ブログの読者の皆さんは、出来れば落ち着いてからお出かけ下さい。よろしくお願い申し上げます。

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.431日連続更新を達成しました。

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機内誌

オリンピック誘致が決まり、外人さんに対する対応法について尋ねられることが増えました。

先日も超大手航空会社さんの機内誌の取材がありました。やりとりは、こんな↓感じでした。

Q御店として、外国人客に対し、日本人客とは異なった特別な配慮ならびに接客スタイルなどがございましたらお教えください。

A英語ですき焼きを紹介するパンフレットを作成してあります。玄関にも常備してあり、外国の方がすき焼きについて良く分かっていただいた上で、ご入店いただくようにしています。

接客スタイルは、外人さんだからと言って基本的には変えず、むしろ日本体験を楽しんでいただきます。

「日本の普通の姿に触れたい」という意識の方が多いですから、外人だというだけでナイフ・フォークをいきなり出すと、不快がられることすらあります。

注文も、なるべく外人さんに日本語を話していただいています。

日英対照表を作って配っていますが、そこには

Excuse me! とSumi-masen! を並べてありまして、

外人さんが、それを見ながらSumi-masen!と言うわけです。楽しいですよ。

 

Qすき焼きという料理に関して、外国人客からこんな反応、感想があったという例を、具体的に教えてください。味だけではなく、店(部屋)のしつらえ、などに関することでもかまいません。

A今では日本でも靴を脱いで店が減りましたから、まずそこを面白がって下さいます。靴を預かるためには人手もスペースも必要ですが、この形態は維持していきたいです。

すき焼きは、熱源が客席に在り、ライブ感が感じられるものですから、ハイテンションに喜んでいただける方がいらして嬉しいものです。

 

Q生卵を溶いて、それにくぐらせて食べるというスタイルに戸惑いを見せる外国人客や、逆に初めてそれを体験してトリコになるかたもいらっしゃると思います。そのあたりの面白い事例があれば、お教えください。

A英語のパンフレットで生卵を使うことをお知らせしてますので、戸惑ってしまうことはあまりないと思います。さらに現場で念のため生卵がOKか確認してから提供します。

醤油+砂糖+動物性の脂+卵というのは完璧な味覚ですので、初体験でも気にいっていただけます。

 

Qすき焼きに関して(あるいは接客に対しての反応で)国別に特徴があればお教えください。「アメリカ人はこうだけれど、フランス人はこうだ。なのでこんな対応を心掛けている」とか、そういったことがあれば。

A特に国別対応はしていませんね。

「国別」というほどではないですが、お帰りの時の「ありがとうございました」を色んな国の言葉で言うようにしています。

クレジットカードで国籍が分かる場合がありますので、その場合なるべくサンキューではなくダンケシェーンとかメルシーボクーとか申します。

予約の段階で国籍が事前に分かっている場合は、卓上にその国の小旗を用意しておきます。単純ですが、これは喜ばれますよ。

 

Q10年前、20年前と比べ、近年の外国人観光客は、こんな新しい傾向がみられるという事柄があればお教えください。具体的な事例があればありがたいです。

A箸が持てて、和食経験のある方が増えているのは間違いないと思います。

それから、日本人が観光地と考えていない所へ行きたがる方が増えているようです=回転寿司、銭湯、パチンコ、満員電車など。SNSやブログを使って個人が情報発信できるからでしょう。

 

Q今後、東京オリンピックを迎えるにあたり、ますます増えるであろう東京来訪の外国人客に対して、御店の対応プランがございましたら、お教えください。

Aオリンピックとなれば、色々な国の、色々の食習慣の方々が見えるのでしょうから、その方々の「御不便を取り除く」ことを、もっと進めないといけないでしょう。

禁煙・喫煙

禁忌対応

アレルギー対応などの、図解が必要ですね。

例えばアレルギー対応では、甲殻類とか蕎麦とか、そういう食材を絵にしたシートを玄関に備え付けておき、外人さんがチェックを入れてから、中へお通しするようにしようと思って、計画中です。

 

Q日本食は世界文化遺産に選定されました。この点について、住吉さんからのご提言、思うところがあればお聞かせください。

A「和食が・・・」という以前に、「食」は世界の文化遺産なのだ、という点を噛みしめないといけないと思います。登録は目出度いは目出度いですが、楽観はできないと思いますよ。

・一般家庭の日本人は、どんどん味覚や調理技術を失っている。それを世界から指定されて、果たして本当に大丈夫なのか、と思う。

・素晴らしい料理屋さんの、素晴らしい料理だけを指定して貰った方が良かったのでは・・・とすら思う。

(今回遺産登録されたのは、日本人の四季の暮らしに根差した和食なのであって、料理屋の料理じゃありません、念のため。登録を推進したのが京都の料理屋さん達だったので誤解している人がいるかもしれませんが、違いますのでね。)

・日本人が「安さ」「利便性」(=いつでもいくつでも買えること)という価値を、「正しい味覚」や和食の特徴より、価値として上位に置いている限り、世界遺産登録されたからと言って、にわかに状況が良くなるとは思えない。

・食が文化であるどころか、ヒトの餌と化しているのが日本の現状でしょう。

あ、外国人受け入れの話しに関係ないですね、これは。

食を文化として継承するには教え方も変えないといけないでしょう。単なる技能として教える時代は終わらせないといけません。

工芸科や染織科が東京芸大に在るように、食の教育も変るべき時です。

 

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