中吊り広告

寿司屋の広告かと思ったら、歯医者の広告でした。

ある日地下鉄に乗り、ぼんやり周囲を眺めていますと、

綺麗に盛られた寿司の写真と、握っている職人さんの腕の写真が目に飛び込んで来ました。

で、当然寿司屋の広告かと思ったのですが、横に付けられている文章は会話形式で、

大将:たしか硬いのは苦手でしたよね。

お客:大丈夫!インプラントにしたら美味しく食べられるようになりましてね。烏賊とアワビをお願いします。

大将:へい、喜んで。

・・・大将が「喜んで」と言うかは微妙と思いますが、この広告がインプラントの広告であることは分かりました。

肝心のインプラントについては、

大学病院の経験豊富な専門医が担当します、というだけで、後はWEBをご覧ください、という次第です。

自分が広告主の立場になると自社製品と他社製品の違いや優位性を、こと細かくPRしたくなるのが人情ですが、この広告は違います。

他者との競争より、むしろインプラントの効能そのものを訴えています。その効能として訴えているのが「寿司が美味しい」なわけです。

インプラントすることを既に決めてしまって、医者を比較検討中の客を対象にはしておらず、するかしないか迷っている状況の人を、自分の所へ誘導することを主眼に置いているわけですね。

この広告が、競争よりパイの拡大を目指している点、そこを私は高く買いたいと思います。

座蒲団1枚。

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.446日連続更新を達成しました。

毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

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Filed under: すき焼きフル・トーク — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)