絶句する御質問
かく申す私も販売の現場に立っていたことがあります。22歳から27歳までです。
当時体験しましたことは、
お客様は、こちらが答え易いような質問はなさらない、
ということです。
ある商品の詳しいスペック・詳しい効能であるとか、
商品Aと商品Bの違いについての質問であれば、販売員は事前に調べてありますから、質問されれば答えられるのですが、そういう御質問はあまり来ません。
絶句するような質問が多かったと記憶しています。
どういう質問が絶句する質問かと申しますと、
例えば、今貴女は肉の販売をしていると仮定しますが、
「孫が受験を控えているので、激励のためにすき焼きをするんだけど、どの肉がお勧め?」
と聞かれたらどう答えますか。絶句しちゃいますよね。
質問が悪い!とも言えますが、そう簡単に否定せずにもう少し考えてみますると、絶句してしまう理由は、
ベネフィットとスペックとの摺り合わせが出来にくいからだ、と説明できると思います。
上の事例では、お客様が商品に求めるベネフィットは「受験に成功する」ですが、
肉という商品に本来備わっているスペックは「旨い」とか「安全だ」ですから、摺り合わせが容易に出来ません。
この間を結ぶためには、単なる肉という商品を売るのではなく、なんらかのストーリー性を持たせた商品を用意しなければならないことが分かります。
で、春になりましたら、私は「ちんや」の精肉売店でタケノコを売ることを考えています。勿論それをすき焼きに入れていただきます。
タケノコすき焼きを食べたお孫さんが、
なんで今日のすき焼きにはタケノコが入っているの?
と尋ねてきたら、こう答えましょう。
それはね、御前が「伸びる」ことを願っているからだよ。タケノコは伸びる草木の代表だからね。
さらにこうも言いましょう。
タケノコ入りのすき焼きを食べた子は、みんな慶應に入れるらしいよ!「ちんや」の社長のブログに、そう書いてあるんだ!
ああっと、嘘は止めましょう。
「ストーリー性」にとどめておかないと、サムラゴーチ化してしまいますよ、お孫さんが。
追伸、
インターネットラジオ局CROSSWAVE☆SENJUに出演します。
本日14:00~14:50、こちらのURLで法曹です、イヤ、放送です。
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毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。
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