機内誌

オリンピック誘致が決まり、外人さんに対する対応法について尋ねられることが増えました。

先日も超大手航空会社さんの機内誌の取材がありました。やりとりは、こんな↓感じでした。

Q御店として、外国人客に対し、日本人客とは異なった特別な配慮ならびに接客スタイルなどがございましたらお教えください。

A英語ですき焼きを紹介するパンフレットを作成してあります。玄関にも常備してあり、外国の方がすき焼きについて良く分かっていただいた上で、ご入店いただくようにしています。

接客スタイルは、外人さんだからと言って基本的には変えず、むしろ日本体験を楽しんでいただきます。

「日本の普通の姿に触れたい」という意識の方が多いですから、外人だというだけでナイフ・フォークをいきなり出すと、不快がられることすらあります。

注文も、なるべく外人さんに日本語を話していただいています。

日英対照表を作って配っていますが、そこには

Excuse me! とSumi-masen! を並べてありまして、

外人さんが、それを見ながらSumi-masen!と言うわけです。楽しいですよ。

 

Qすき焼きという料理に関して、外国人客からこんな反応、感想があったという例を、具体的に教えてください。味だけではなく、店(部屋)のしつらえ、などに関することでもかまいません。

A今では日本でも靴を脱いで店が減りましたから、まずそこを面白がって下さいます。靴を預かるためには人手もスペースも必要ですが、この形態は維持していきたいです。

すき焼きは、熱源が客席に在り、ライブ感が感じられるものですから、ハイテンションに喜んでいただける方がいらして嬉しいものです。

 

Q生卵を溶いて、それにくぐらせて食べるというスタイルに戸惑いを見せる外国人客や、逆に初めてそれを体験してトリコになるかたもいらっしゃると思います。そのあたりの面白い事例があれば、お教えください。

A英語のパンフレットで生卵を使うことをお知らせしてますので、戸惑ってしまうことはあまりないと思います。さらに現場で念のため生卵がOKか確認してから提供します。

醤油+砂糖+動物性の脂+卵というのは完璧な味覚ですので、初体験でも気にいっていただけます。

 

Qすき焼きに関して(あるいは接客に対しての反応で)国別に特徴があればお教えください。「アメリカ人はこうだけれど、フランス人はこうだ。なのでこんな対応を心掛けている」とか、そういったことがあれば。

A特に国別対応はしていませんね。

「国別」というほどではないですが、お帰りの時の「ありがとうございました」を色んな国の言葉で言うようにしています。

クレジットカードで国籍が分かる場合がありますので、その場合なるべくサンキューではなくダンケシェーンとかメルシーボクーとか申します。

予約の段階で国籍が事前に分かっている場合は、卓上にその国の小旗を用意しておきます。単純ですが、これは喜ばれますよ。

 

Q10年前、20年前と比べ、近年の外国人観光客は、こんな新しい傾向がみられるという事柄があればお教えください。具体的な事例があればありがたいです。

A箸が持てて、和食経験のある方が増えているのは間違いないと思います。

それから、日本人が観光地と考えていない所へ行きたがる方が増えているようです=回転寿司、銭湯、パチンコ、満員電車など。SNSやブログを使って個人が情報発信できるからでしょう。

 

Q今後、東京オリンピックを迎えるにあたり、ますます増えるであろう東京来訪の外国人客に対して、御店の対応プランがございましたら、お教えください。

Aオリンピックとなれば、色々な国の、色々の食習慣の方々が見えるのでしょうから、その方々の「御不便を取り除く」ことを、もっと進めないといけないでしょう。

禁煙・喫煙

禁忌対応

アレルギー対応などの、図解が必要ですね。

例えばアレルギー対応では、甲殻類とか蕎麦とか、そういう食材を絵にしたシートを玄関に備え付けておき、外人さんがチェックを入れてから、中へお通しするようにしようと思って、計画中です。

 

Q日本食は世界文化遺産に選定されました。この点について、住吉さんからのご提言、思うところがあればお聞かせください。

A「和食が・・・」という以前に、「食」は世界の文化遺産なのだ、という点を噛みしめないといけないと思います。登録は目出度いは目出度いですが、楽観はできないと思いますよ。

・一般家庭の日本人は、どんどん味覚や調理技術を失っている。それを世界から指定されて、果たして本当に大丈夫なのか、と思う。

・素晴らしい料理屋さんの、素晴らしい料理だけを指定して貰った方が良かったのでは・・・とすら思う。

(今回遺産登録されたのは、日本人の四季の暮らしに根差した和食なのであって、料理屋の料理じゃありません、念のため。登録を推進したのが京都の料理屋さん達だったので誤解している人がいるかもしれませんが、違いますのでね。)

・日本人が「安さ」「利便性」(=いつでもいくつでも買えること)という価値を、「正しい味覚」や和食の特徴より、価値として上位に置いている限り、世界遺産登録されたからと言って、にわかに状況が良くなるとは思えない。

・食が文化であるどころか、ヒトの餌と化しているのが日本の現状でしょう。

あ、外国人受け入れの話しに関係ないですね、これは。

食を文化として継承するには教え方も変えないといけないでしょう。単なる技能として教える時代は終わらせないといけません。

工芸科や染織科が東京芸大に在るように、食の教育も変るべき時です。

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.430日連続更新を達成しました。

毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

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Filed under: すき焼きフル・トーク,今日のお客様 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)