テーマはラブラブ
小売業の現場で良く行われていることに、客の属性=性別とか年齢あるいは所得のデータを把握して、購買履歴との関連性を分析しようとすることがあります。
関連性を調べるためにはデータを集めないといけません。「ちんや」も肉の小売りをしている以上、レジ入金の際に性別とか年齢とかも入力したりした方が良いのでしょうか。
現在はそういうことをしていませんが、それって、怠慢なのでしょうか。
申し上げにくいんですけど、私はですね、そういうデータ収集って、大して効果が無いと思うんですよね。手間がかかるわりには、意義が薄いと思います。
「ちんや」の肉を食べたいと思うかどうかって、性別とか年齢とか、そういう客観的に計測できるデータと本当に関係があるのか、疑問だと思うんです。
「40歳代の女性のお買い上げ額が多い」って分かったところで、なんか意味があるんでしょうか。
むしろ「ちんや」の肉を食べたいと思うかどうかは、計測できない味覚や価値観と関係があると思います。
たとえば夫婦仲が良いかどうか、の方が「ちんや」の肉を食べたいと思うかどうかに、数字より余程関係があると思います。
夫婦仲が良くて、家族揃っての行事を頻繁に行っている御家庭なら、「お父さんの誕生日にすき焼きをしたい」とか「お子さんが運動会で1等に成ったから、お祝いにすき焼きをしたい」とか考える筈です。
愛情が深ければ深いほど、家族の笑顔が見たくて美味しいものを買う傾向がありましょうが、愛情も計測できません。
逆に、夫婦仲が悪い場合、家族ですき焼き、は避けたいところでしょう。
そう、だから、計測できるデータなどよりも、心の在り様が余程関係あると信じます。
で、3月からの「春の御縁キャンペーン」のテーマを「夫婦ラブラブ」に決定しました。
キャンペーン期間中、「夫婦ラブラブ」な方に限って「ちんやメンバーズカード」の新規入会金を5円(=御縁)にします。通常は500円ですから、なんと、99%引きですね!
では、どうやってラブラブ度を確認するか、ですが、記念日の種類で判定させていただきます。
「ちんやメンバーズカード」に入会していただきます際に、お客様それぞれの「記念日」を自由に登録することができまして、その日は割引率が普段の倍になるという制度があるのですが、その「記念日」として二人の結婚記念日を登録なさった場合だけ、500円を5円にさせていただきます。
そういうことを思いついたキッカケは、去年の暮れに新聞の読者投稿欄で見つけた「すき焼き 新婚の思い出」という、65歳の女性からの投稿でした。引用しますと、
「きょう、12月1日は私たち夫婦の結婚記念日だ。ちゃんとした式も挙げられず、婚姻届を提出しただけのスタートだったが、初めての夕食は鍋料理、すき焼きで祝った。」
「買ってきたのは安い牛肉だった。おまけに料理が得意ではなかったので、味付けが濃すぎる失敗作となったたが、夫が「大丈夫おいしいよ」と言ってくれたことは忘れられない」
「以来、結婚記念日には「初心を忘れないように」と、鍋料理を作って来た」・・・
昭和な美談ですよね。
こういう方にこそ、「ちんや」の肉ですき焼きをしていただきたい、そう思います。
販促の基本になるのは、心の在り様なのであって、データではない。それが「ちんや」の販促です。
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.441日連続更新を達成しました。
毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。
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