愚直経営
いやあ、そんな大変な時期があったとは存じませんでした。
断片的には聞いておりましたけどね。債務超過で倒産寸前だったとは。
本にハッキリ書いてあることなので、ここに書いてもOKと思うのですが、倒産寸前だったのは私の知人の会社・足立市場丸勤食販企業組合さんのことです。
で、その大変だった頃のことが書かれているのは『「愚直経営」で勝つ!』という御本です。9人の社長さん達の愚直経営ストーリーが綴られていて、丸勤食販さんの件は、その中の1篇です。
さて以前の丸勤食販さんは、足立市場の近くの工場や職場に食材を納めることを仕事にしていました。今では賄い飯というと飲食店の賄いしか思い浮かべませんが、以前は工場に煮炊きする設備が在って、従業員に食事を出している所がありました。そういう所に納めていたのです。
しかし時代の流れで、そういう職場は減っていき⇒丸勤食販さんの仕事は減り⇒経営も苦しくなって行ったようです。
私の知人・渡井さんは、その経営を再建すべく、御父上から会社を引き継ぎました。と、申しますか、倒産寸前だ!ということで、他の仕事をなさっていたのに呼び戻されたというのが実態のようです。
渡井さんは、その後結局経営再建を果たしますが、最初の内は体調が悪くなる位の苦闘の日々だったようです。
財務だけでなく社内も荒れていて、10年間に50人の社員が辞めていったとか。
そんな中、渡井さんは二条彪先生の講演で聞いた、
「同業他社が面倒くさがってやらないことを、閾値(いきち)を超えるまでとことんやり尽くすと世界が変わる」という教えを実行に移すことを決意します。
20種類だけだった商品の規格をフリーにして、100g単位で顧客の必要量だけ、カット形式も好きに注文できるようにしたそうです。
わずかな量でも洗浄・殺菌・脱水し、真空パックする、という作業を大真面目にやり続ける=愚直経営を続けることで、経営再建を果たしたのです。
市場の選び方も成功しました。こうした真面目な取り組みが重要な、病院向け食材・福祉施設向け食材の市場に進出したのです。
この市場は高齢化社会で成長が期待できる市場ではありましたが、丁寧な仕事が要求され、そして何より、患者さん達のライフラインを担う仕事で責任重大です。その事業に進出する本気さを見て、次第に社風も変わっていったそうです。
思いまするに、こうした愚直さこそがブランドです。
著者の三村邦久さんが後書きに書いておいでですが、
「ブランドとは単に高級品を指すのではなく、商品・サービス、そして企業そのものに対する信頼感を指しています」
この部分が多くの人に読まれたら良いと思います。
ブランド=認知度・知名度と思っている人が多すぎます。
特に、食べ物の世界で信頼感より認知度を追っている人が、実に多いんですよね、愚痴ですが。
この御本に学んで、愚直に信頼されようとする姿勢が評価される社会にしたいものです。
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