乱食モンスター
アメリカ東岸に「うなぎ長者」が誕生している、と先日の新聞が報じていました。
ふだんはロブスターなどを獲っている漁師さんたちがそう成っているらしいのですが、その理由は、彼らに最近中国から、大量のシラスの注文が入るようになったからです。
毎晩20万円ほどのシラスの水揚げがあり、それで家を建てた人が何人もいるとか。獲れたシラスを運ぶ業者は襲撃されることを恐れて武装している、というからハンパな話しではありません。
で、そのシラスは結局中国で養殖され⇒加工され、蒲焼と成って日本へ輸出されます。
長者達は蒲焼を食べたことがなく、日本人の記者に「うまいのかい?」と尋ねて来るとか。
いやはや。
日本国内は勿論、アジアのシラス資源を枯渇させた上、アメリカへ向かう日本の食品産業の姿は、もはや乱食モンスターそのものです。
ウナギだけでなく、日本人はマグロでも同様のことをやってしまっていますね。
国内で資源が足りなくなれば、昔なら値が上がって⇒消費量が抑制されたでしょうが、今時はグローバリズムの世の中ですから、値段据え置きで、世界に食材を探し求めるようになっています。
しかし、ですよ。
ウナギって、そんなに安く、そんなに頻繁に食べたいものですか。
マグロって、そんなに安く、そんなに頻繁に食べたいものですか。
私は、そうは思わないんですよね。たまにおいしく食べたいんですけど。
ついでに申せば、24時間真夜中でもウナギやマグロを食べたいですか。
私は普通の食事時間に食べたいですね。
ハッキリ申して、日本人の消費の在り方って、おかしいんじゃないか、どうかしているって思います、私は。
さらにもう一つ申せば、見込みで大量生産し過ぎなんです。日本は世界でも食材の廃棄が多い国ですが、そうなってしまう理由は、食べて貰えるかどうか確実でないのに大量生産してしまうからです。
我々料理屋も、勿論見込みで食材を仕入れますが、最悪ダメにしてしまったとしても、数個とか十数個とか、せいぜい二桁の範囲内です。数百個とかはダメにしません。
対するに、中国の蒲焼工場で日本国内の需要を予測して生産する場合、廃棄を十数個に止めることができましょうか。
しかも、ですね、日本の加工食品流通業界には「3分の1ルール」と呼ばれる商慣習があるんです。メーカーや卸が小売店へ納品できるのは、賞味期限の最初の3分の1までとするルールですが、製品はそのルールの中で売らないといけません。
その後はどうするのかって?
決まってますがな。バッタ屋に回すと「メーカーのブランドイメージが崩れる」ので、廃棄するんです。
いやはや。
ウナギ・マグロと言えば日本国内では懐かしい伝統食ですが、外から見たら乱食モンスター日本人のシンボルに見えている、そう自覚して下さい。
追伸①
追伸①
「浅草法人会」さんの主催で講演会をさせていただくことになりました。
<演題>すき焼きを現代に活かす~商いは、楽しく・古風に・斬新に
<日時>7月2日(火曜)17時受付開始⇒17時30分~19時頃まで
<場所>浅草文化観光センター5階(台東区雷門2-18-9)
<定員>60名様(早めにお申し込み下さい)
<参加資格>どなたでも(=浅草法人会会員でなくても)参加できます。
<参加費>なんと、無料。
*参加の手続きはこちらです。
追伸②
「日本国復興元年~1千人の笑顔計画」を実行中です。
この「計画」では、まず「ちんや」で東北・北関東の牛を食べていただきます。そして食後の飛びっきりの笑顔を撮影させていただきます。
その笑顔画像をこちらのサイトにUPして、北の産地の方に見ていただきます。
現在の笑顔数は351人です。笑顔数が1千人に達するまで継続してまいります。
皆様も、是非御参加下さい!
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.180日連続更新を達成しました。
毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。