地域団体商標制度

さて皆さん、「ちんや」という名詞は普通名詞ですか、固有名詞ですか。

「ももんじや」という名詞は普通名詞ですか、固有名詞ですか。

両方とも、普通名詞でもあり固有名詞でもあります。

「ちんや」は元々は狆屋でしたが、料理屋に転進した後も「ちんや」を使い続けました。料理屋なのに狆屋だなんて、アリエンテイーな名前を使う者が他にいるはずもなく、商標登録は問題無く出来たようです。

前職の名前をそのまんま使っている、という意味では、金沢に「鍔甚(つばじん)」さんという料亭さんがあります。

「鍔甚」の御先祖は、前田利家がまだ尾張にいた頃から仕えていたという鍔師です。鍔から料理に転じたのは1752年と言いますから、大変な歴史です。

先日業界の会合で、その御主人と隣席になりましたので、

「鍔甚」と「ちんや」って、ヘンな屋号の双璧だと思いますけど、他にこういう例をご存知ですか?

とお聞きしましたら、

いやあ、たぶん、無いと思うよ~

と笑っておられました。

この破天荒なネーミングに匹敵する会社は、コンピューターなのに林檎(=アップル)と名乗っている、彼の会社位なものでしょう。六代目の私に至るまで、「ちんや」というネーミングの恩恵を享けていますから、やはり商いには、どこか破天荒な要素が在った方が良い、そう申すことができましょう。

では、「ももんじや」ですが、これも元々は「百獣屋」と書いて普通名詞でした。

百獣屋とは、江戸時代に猪や鹿といった野山の獣を鍋にして食べさせていた店のことで、勿論当時はアングラです。

その内の一軒の、1718年創業の「ももんじや豊田屋」さんが、明治時代になって商標登録をしたことで、普通名詞でもあり固有名詞でもある状態に成ったのです。

普通名詞を商標登録するなんて図々しい!

と思われる方もおいでかもしれませんが、事情は違いまして、明治になって「ももんじや」という、アングラ営業時代の呼び方が廃れて、他に名乗る人もいなくなってしまったので登録が出来た、というわけです。結果、天然記念物的な御店として両国に現存しておいでです。

ではでは、宇都宮ギョーザは普通名詞ですか、固有名詞ですか。

富士宮ヤキソバは普通名詞ですか、固有名詞ですか。

これを、B1関係者の皆さんは固有名詞にするべく努力なさっているようですが、どうなりましょうか。

その地でしか作り得ないギョーザとかヤキソバなら固有名詞かもしれませんが、どうなんでしょうか。

「地域団体商標制度」の登録条件が緩和され、登録が容易になると報道されていますが、経過が注目されるところです。

「浅草すき焼き」も出願してみようかな。

 追伸①

 「浅草法人会」さんの主催で講演会をさせていただくことになりました。

<演題>すき焼きを現代に活かす~商いは、楽しく・古風に・斬新に

<日時>7月2日(火曜)17時受付開始⇒17時30分~19時頃まで

<場所>浅草文化観光センター5階(台東区雷門2-18-9)

<定員>60名様(早めにお申し込み下さい)

<参加資格>どなたでも(=浅草法人会会員でなくても)参加できます。

<参加費>なんと、無料。

*参加の手続きはこちらです。

追伸②

「日本国復興元年~1千人の笑顔計画」を実行中です。

 この「計画」では、まず「ちんや」で東北・北関東の牛を食べていただきます。そして食後の飛びっきりの笑顔を撮影させていただきます。

 その笑顔画像をこちらのサイトにUPして、北の産地の方に見ていただきます。

 現在の笑顔数は351人です。笑顔数が1千人に達するまで継続してまいります。

皆様も、是非御参加下さい!

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.176日連続更新を達成しました。

毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

 

 

 

 

Filed under: ぼやき部屋,憧れの明治時代 — F.Sumiyoshi 12:01 AM  Comments (0)