ペリーと狆
ユニークな時代小説で知られる河治和香先生が今連載中の小説『どぜう屋助七』が、これまでの作品にワをかけてユニークです。
この話しは幕末ペリー来航の頃の話し、浅草駒形のどぜう屋の若旦那・助七を主人公にした小説です。
で、その脇筋として、浅草の狆屋が出てくるのです。
勿論、すき焼き「ちんや」の先祖の狆屋をモデルにしていますが、史実に完全に忠実ではありません。
むしろ、どうぞ、どんどん面白くして下さい!
と私からは和香先生に申し上げています。
狆屋は「ちんや」に転業してしまって、狆屋当時のことはほとんど良くわかりません。どうせ、分からないんだから、小説なんだし、面白く膨らませて下さい!
ということで展開中なのがこの小説です。かなりユニークです。
そもそも、どぜう屋と狆屋が辛みますイヤ絡みます発端は、狆屋がどぜうを買い占めてしまい、それでトラブルになるのです。
種つけ用のオスの狆に精をつけさせるため、どぜうを食べさせることになり⇒それで買い占める、という筋なのです。
そんな馬鹿な!
と思う勿れ。種つけのために、どぜうを食べさせたことは実際にあったようなのです。私も今回初めて知りましたが。
そうした小ネタが、この小説ではどんどん展開します。
どせう屋が営業できない位どぜうが品薄になったとか、駒形さんと狆屋がモメて、助七が住吉家に怒鳴りこんだりとか、まあ、面白いです。
また「江戸浅草筋」という、非情に希少な狆の血統を住吉家が独占していて、それで大名家などの名門に出入りしていた、という設定になっていますが、その辺も、まあ、私は分かりません。
話しは、そこからさらにさらに展開するのですが、ペリーにプレゼントする狆が必要になり、その狆は、むしろ血統としては下等な方の「黒狆」が良いということになります。
それで、住吉やすがドタバタ騒ぎの末「黒狆」を入手する、という場面まであって、読者はまたまた、そんな馬鹿な!と思うかもしれません。
しかし、ペリーが狆を貰って帰った、というのは史実のようです。
その後アメリカで狆は大事にブリーデイングされて、今日に至っています。
むしろ日本の方で、その後狆のブリーデイングは衰退の時期を迎えた、というのも事実なのだとか。
なかなか、面白いです、狆の話し。
あくまで狆は脇筋で、駒形どぜうさんが主役ですが。
月刊「ジェイ・ノベル」(実業之日本社発行)で連載中です。
追伸①
藤井恵子さん著の単行本『浅草 老舗旦那のランチ』に登場させていただきました。
不肖・住吉史彦が、「浅草演芸ホール」の席亭さんや、「音のヨーロー堂」の四代目とランチをしながら、浅草について対談する、という趣向です。
他にも20人ほどの、浅草の旦那さんたちがリレー対談で形式で登場します。
是非ご購読を! 平成24年6月3日、小学館発行。
ご購入はこちらです。 (できればレビューも書いて下さいね!)
追伸②
「日本国復興元年~1千人の笑顔計画」を実行中です。
この「計画」では、まず「ちんや」で東北・北関東の牛を食べていただきます。そして食後の飛びっきりの笑顔を撮影させていただきます。
その笑顔画像をこちらのサイトにUPして、北の産地の方に見ていただきます。
現在の笑顔数は334人です。笑顔数が1千人に達するまで継続してまいります。
皆様も、是非御参加下さい!
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.062日連続更新を達成しました。毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。