予備機
会社の姿勢・考え方が顕れるのは、実は客から見えない部分なのではないか って思います。
「見えない部分」とは予備の部分のことです。
「予備機は用意しない」という見出しが付いた、LCC航空会社の社長さんのインタビュー記事を読んでいて、そう思いました。
LCC航空は、運行の遅れが相次ぎ問題になっていますが、その社長さんのP社は「就航率が99%」だとかで、遅れがあったとしても、「計画通り」就航してはいるのだそうです。
「欠航回避のため、大手と同様に予備の飛行機を用意しないのか」と記者に追及された、社長さんの回答は・・・
「そういう考えはない。コストが上がるからだ。365日低運賃を提供するのが約束だ」と言い切っておられました。
まあ、万が一欠航となってしまっても、他に航空会社はありますから、振替え輸送は出来ましょう。鉄道だってありますしね。
しかし、です、「ちんや」の振替えはありません。浅草にすき焼き屋さんは勿論ありますが、割り下の味が違います。だから「振替えのすき焼きを用意します」っていうわけには行かないですね。
予約の時間に御席を必ず確保できているか、つまり遅れ率が0%に成っているか、私は日頃何よりそれを心配しています。
特に正月は、浅草に不慣れな御客様が大勢様見えますので、ご到着時間が前後しがちです。前の御客様の御到着が遅れて、まだ食べ終わらない内に、後の御客様が随分早く見えてしまう、という事態を避けるため、「ちんや」では予備の時間を設けています。また食事時間そのものも2時間30分確保しています。
予備の時間は収益を産まない時間です。そして御客様には見えない時間です。
しかし、無駄な時間とは思いません。
そこは揺らがない積りです。
しかし気になるのは、デフレが長期化する中で、目に見える部分と値段の吊り合いでしか物事を評価できない人が増えているように見えることです。
所謂「コスパ」という言葉が、その吊り合いのこと指しています。
イヤですねえ、この言葉。
この言葉を発する人間の、底の浅さが顕れています。
「ブラック企業」という言葉に続き「ブラック消費者」という言葉も登場したそうですが、「コスパ」追求の行き着く先は「ブラック消費者」なのではないか って思います。
そんな気持ちを抱きながら、念のため、Yahoo!知恵袋で「コスパ」の意味を確認してみますと・・・
「コスパとは、コスプレダンスパーティーまたはコストパフォーマンスの略。」「年代によって意味が異なる(いずれも平成~)」となっていました。へええ。
と、いうことはコスプレダンスパーティーのコストパフォーマンスが悪い場合は、「コスパのコスパが悪い」と表現するのですね。
いやはや、なんでもコスパでウンザリですな。
追伸①
藤井恵子さん著の単行本『浅草 老舗旦那のランチ』に登場させていただきました。
不肖・住吉史彦が、「浅草演芸ホール」の席亭さんや、「音のヨーロー堂」の四代目とランチをしながら、浅草について対談する、という趣向です。
他にも20人ほどの、浅草の旦那さんたちがリレー対談で形式で登場します。
是非ご購読を! 平成24年6月3日、小学館発行。
ご購入はこちらです。 (できればレビューも書いて下さいね!)
追伸②
「日本国復興元年~1千人の笑顔計画」を実行中です。
この「計画」では、まず「ちんや」で東北・北関東の牛を食べていただきます。そして食後の飛びっきりの笑顔を撮影させていただきます。
その笑顔画像をこちらのサイトにUPして、北の産地の方に見ていただきます。
現在の笑顔数は334人です。笑顔数が1千人に達するまで継続してまいります。
皆様も、是非御参加下さい!
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.049日連続更新を達成しました。毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。