会社を継ぐ、という人生⑧

母校・慶應義塾中等部(=慶應大学の付属中学校)の「キャリア講座」に出講します。

これは毎年開講されているレッキとした正規の授業でして、中学生のために、OBが自分のキャリアについて話すのです。

お引き請けしまして、私は、その演題を「会社を継ぐ、という人生」にしました。

10人の講師が出て、生徒さんは、その中から選択できるのですが、私以外は学者さんとか、弁護士さん・お医者様・アナウンサーのお姐さんとか、当然ながら非世襲組です。

当初世襲社長であることを鮮明にしたものかどうか、迷いましたが、この際ハッキリさせてお話しするすることにしました。

生徒さんの集まり具合は、どうやら10人の中で真ん中辺りのようです。

原稿が出来ましたので、UPしたいと思います。

この話しは長いので、8回に分けてUPします。今日が最終回です。それではどうぞ。

<以下本文>

また数限りないストレスを貰いますから、精神力・精神の健康もないとやっていけません。

だいたい皆さん、ストレスは雨と一緒ですから、社長になんて成ったら、それはもう毎日のように降って来ます。放っておいても降って来て、それをあなたはコントロールすることができません。雨に向かって「降るのをやめてくれ」と言っても無駄ですからね。勿論、量も減らせません。

私の10年間の在任期間でも、会社の存続・生き死にに関わる問題が3度起きています。2001年のBSE問題、2008年のリーマンショック、2011年の大震災です。

では精神の健康を保つには、どうしたら良いのでしょう。苦しみを上回る、歓びを創り出せば良いのです。

いいですか、ここは覚えておいていただきたいのですが、苦しみは放っておいても降ってきますが、歓びはあなたが創りださないといけません。

で、ここが一番大事の所ですが、その社長の歓びとはどんなことでしょう。

=世の中の、こんな人にこんな商品を使っていただいて喜んでいただこう、そういう理念を掲げて努力し⇒結果売れる、ということです。

そしてさらに、頑張ってくれた部下に給料を払える、仕入れ先にも支払いが出せる、それが社長の歓びです。昔の日本の近江商人は「三方良し」と言いました。「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」のことですが、似た考えと思います。

その歓びの度合いが苦しみを上回れば、あなたは精神の健康を保ち、自分自身がハッピーな人生を送れるのです。

私は最初に「仕事や人生の選択は逃げずに全て自分で選択しぬくことが大事です。そうすれば継いだ職でも素晴らしい職にすることは出来ます。必ず。」と申しました。世襲の経営者であっても人生は選択できます。自己矛盾のようですが選択できます。何を選択できるのでしょう?

世襲のメリットを自己の為に活かす世襲と、世襲のメリットを世の為に活かす世襲の選択です。

前者を選んだ場合、あなたの商品はあまり売れないと思います。部下が売ってくれないからです。売れないからリストラをしないといけません。あなたはその苦しみを経験するでしょう。

そして日本経済はデフレの泥沼に沈むことになりましょう。皆さん方は、下手をすると一世代まるごと、一生丸ごとデフレの時代を生きるハメになるかもしれません。そうなって良いのでしょうか。良いはずはありません。

よし、自分が社長に成って、お客様と、部下と仕入れ先をハッピーにして、そして最後に自分もハッピーになってやる!そう考える人が、今日のこのメンバーの中から出て来ることを、私は希望します。

その為には、クドいですが、世襲のメリットを世の為に活かす世襲を選択しないといけません。それが全ての入り口です。そうすれば、継いだ職でも素晴らしい職にすることは出来ます。必ず。

時間はそんなにありません、世襲する人は35歳までに今私が言ったことをストンと腹の底まで理解していただきたいと思います。

以上が私から皆さんへのメッセージです。

この辺で終わります。最後になってしまいましたが、皆さんが良き職を得て、良き人生を送られますよう、心より祈念します。

今日は一生懸命聞いてくれて有り難う。

<この話しはこれにて終わりです。8日に渡っておつきあいいただき、有り難うございました>

追伸①

藤井恵子さん著の単行本『浅草 老舗旦那のランチ』に登場させていただきました。
不肖・住吉史彦が、「浅草演芸ホール」の席亭さんや、「音のヨーロー堂」の四代目とランチをしながら、浅草について対談する、という趣向です。

他にも20人ほどの、浅草の旦那さんたちがリレー対談で形式で登場します。

是非ご購読を! 平成24年6月3日、小学館発行。
ご購入はこちらです。 (できればレビューも書いて下さいね!)

追伸②

「日本国復興元年~1千人の笑顔計画」を実行中です。

 この「計画」では、まず「ちんや」で東北・北関東の牛を食べていただきます。そして食後の飛びっきりの笑顔を撮影させていただきます。

 その笑顔画像をこちらのサイトにUPして、北の産地の方に見ていただきます。

 現在の笑顔数は334人です。笑顔数が1千人に達するまで継続してまいります。

皆様も、是非御参加下さい!

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.047日連続更新を達成しました。毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

 

 

Filed under: 食育ナウ — F.Sumiyoshi 12:01 AM  Comments (0)