会社を継ぐ、という人生③
母校・慶應義塾中等部(=慶應大学の付属中学校)の「キャリア講座」に出講します。
これは毎年開講されているレッキとした正規の授業でして、中学生のために、OBが自分のキャリアについて話すのです。
お引き請けしまして、私は、その演題を「会社を継ぐ、という人生」にしました。
10人の講師が出て、生徒さんは、その中から選択できるのですが、私以外は学者さんとか、弁護士さん・お医者様・アナウンサーのお姐さんとか、当然ながら非世襲組です。
当初世襲社長であることを鮮明にしたものかどうか、迷いましたが、この際ハッキリさせてお話しするすることにしました。
生徒さんの集まり具合は、どうやら10人の中で真ん中辺りのようです。
原稿が出来ましたので、UPしたいと思います。
この話しは長いので、8回に分けてUPします。今日が、その第3回です。それではどうぞ。
<以下本文>
では本当に大切な資産とは何でしょう。現金や預金、土地・建物は計上されていますが、それではありません。
一つはお客様からの信頼であり、もう一つは従業員の士気です。この二つが大切ですが、数字に表せないどころか目に見えません。だいたい皆さん、本当に大切なものは目に見えないんです。是非、そのことも覚えておいて下さい。
話しは下から順に進んでいます。ここで、表の面に戻って、もう一つの課題をやってみましょう。「どんな商品が売れる商品か、書いてみましょう。そして隣の人に見せてみましょう。
さて、課題が済んだらマーケテイングの話しをします。マーケテイングというのは、売れる商品を作って、それを売っていくことです。
良くマーケテイングの「4P」と言いますが、product=どんな商品を作って、place =どこで、promotion =どんな売り方で、price=いくらで売るか、の4つを考えるのが、マーケテイングです。
ここで気づいていただきたいのですが、私は「マーケテイングの知識」ではなく、「マーケテイングの知識・センス・マインド」と書きました。
センスとかマインドってなんでしょう。センスとかマインドは、商品をいくらで売るのか決める時にハッキリ現れます。値段は知識だけでは決められないのです。
今あなたが車のメーカーの社長だとして、新商品を300万で売るのか、250万で売るのか、はたまた285万で売るのか、相談する会議をしていると想定して下さい。
部下が市場調査や消費者アンケートを実施して、「240万なら買う」人が一番多いという結果を報告してきたら、社長であるあなたは、そのまま240万と値付けしますか。
しかし、その値段では利益は出ません。240万で利益を出すために従業員の給料を下げたり、場合にとってはリストラすなわち首切りをしないといけないのです。
さっきの課題で「品質が良くて安い商品」と答えた人はいますか。リストラをしなくてはいけなくても「安い商品」が良いですか。違いますね、そうです、商品の値段は、なるべく高くつけないといけません。可能な限り高くつけないと利益が出てこないのです。
そもそも商品の値段は、なるべく高くつけないといけないのに、世の中の経営者が皆、商品の値段を安くするような状態になってしまうことを「デフレ」と言います。Deflationの略語です。
日頃新聞を読んでいる人は、今の日本の状態がデフレだと知っていると思います。そして去年の年末に新しく出来た新内閣が「デフレ脱却」を目指していることも知っていると思います。
今あなたは会議をしています。部下が調査をしたら、新車は240万でしか、売れないことがわかりました。無理やりそれより高く値付けするとどうなりますか。売れずに在庫が残って、しかし仕入れ先には支払いをしないといけませんから、損失が出てしまいます。損が出たら、経営者は責任をとらないといけません。そう、給料の返上です。損したのに給料なんて貰えませんね。
あなたは給料を貰えませんから、夜美味しいレストランで食事をするのを止めます。そうすると、その御店も売り上げが減って困ってしまいます。このように連鎖が起こるの、デフレ・スパイラルです。
しかし、です。ここで良く考えて下さい。売り方を工夫して、なんとか250万円で売ることは出来ませんか。
<この話しは長いので、引き続き明日もUPします>
追伸①
藤井恵子さん著の単行本『浅草 老舗旦那のランチ』に登場させていただきました。
不肖・住吉史彦が、「浅草演芸ホール」の席亭さんや、「音のヨーロー堂」の四代目とランチをしながら、浅草について対談する、という趣向です。
他にも20人ほどの、浅草の旦那さんたちがリレー対談で形式で登場します。
是非ご購読を! 平成24年6月3日、小学館発行。
ご購入はこちらです。 (できればレビューも書いて下さいね!)
追伸②
「日本国復興元年~1千人の笑顔計画」を実行中です。
この「計画」では、まず「ちんや」で東北・北関東の牛を食べていただきます。そして食後の飛びっきりの笑顔を撮影させていただきます。
その笑顔画像をこちらのサイトにUPして、北の産地の方に見ていただきます。
現在の笑顔数は334人です。笑顔数が1千人に達するまで継続してまいります。
皆様も、是非御参加下さい!
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.043日連続更新を達成しました。毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。