まあまあ、舐めるだけ

 集団で飲食する場合、つまり宴会でどれだけ個人の好みを言って良いものでしょうか?

 例えば、「とりあえずビール!」に参加せず、他のドリンクを注文しても構わないでしょうか?

 以前は「とりあえずビール!」は絶対でした。飲めない人も、

「まあまあ、舐めるだけ舐めて、乾杯した後でお茶を頼みましょう」

というのが一般的でした。一人だけ別の注文をすると、その分配膳に時間がかかり、早く乾杯したい皆さんが白けてしまうからですね。ビールを酌されながら、

「舐めるだけですから、3mmだけにして下さい!」

などと言っている人を良く見かけました。

 やがて時代は移り、飲めない方(=アセトアルデヒド分解酵素を体内にお持ちでない方)は、「とりあえずビール!」に参加することを免除されるようになりました。

 日本人の約10%は、そういう遺伝的体質の方で、この方々は少量でも酒を飲めば、吐き気・動悸・頭痛が起こってしまうので、まあ、たしかに3mmであっても気の毒と言えましょう。

 「とりあえずビールとウーロン茶!」体制の成立です。

 ウーロン茶の分配膳に時間がかかり、早く乾杯したい皆さんが少し白けはしますが、ビールと冷たいウーロン茶の2種類だけで、その人数も、全体が30人なら確率的に3人位ですから、まあ、さほどの時間もかからないと思います。

 さて問題は、さらに細かい個別注文が可能か、です。

 冷たいウーロン茶じゃなくで、暖かい茶が良い方もおいででしょう。でも、湯で茶を煎じたら時間がかかりますね。瓶詰のウーロン茶を電子レンジでチンする方法もありますが、どうしてもその間全員が乾杯を待つことになります。

 そして「来るべきものが来ました・・・」

と、先日お訪ねした、すき焼き屋さんがボヤいておられました。

 そのすき焼き屋さん、30人ほどの、PTAのお母さん方の会合を受注したようなのですが、女将さんが、

 とりあえずビールとウーロン茶でよろしいですか。

と幹事さんに尋ねると、

 いえ!皆さん、ひとりずつ注文を決められます!

と言われてしまったそうなのです。

 で、女将さん、仕方なく注文を聞いてまわると、私はチューハイ、私はコーラとバラバラ。

 注文をすぐ決めてくれれば、まだ良いのですが、なかなか決められない人がいたり、決めた後で変更する人がいたりして、どうにも往生したそうです。

 この場合、どのドリンクがどの机の左からN番目の方か、キチンとメモして間違わないようにしないといけません。

 やっとこさ配膳して、結局、乾杯まで20分を費やしたそうです。

 その間、お母さん方は楽しそうに御歓談。

 ただ一人の男性客である、PTA会長だけが豊前としたイヤ憮然とした表情で、乾杯をするべく立ち尽くしていたそうな。

 末法の世ですな。

 南無観世音菩薩。

追伸①

 藤井恵子さん著の単行本『浅草 老舗旦那のランチ』に載せていただきました。
 不肖・住吉史彦が、「浅草演芸ホール」の席亭さんや、「音のヨーロー堂」の四代目とランチをしながら、浅草について対談する、という趣向です。

 他にも20人ほどの、浅草の旦那さんたちがリレー対談で形式で登場します。

 是非ご購読を! 平成24年6月3日、小学館発行。
 ご購入はこちらです。 (できればレビューも書いて下さいね!)

追伸②

 「日本国復興元年~1千人の笑顔計画」を実行中です。

 この「計画」では、まず「ちんや」で東北・北関東の牛を食べていただきます。そして食後の飛びっきりの笑顔を撮影させていただきます。

 その笑顔画像をこちらのサイトにUPして、北の産地の方に見ていただきます。

 現在の笑顔数は270人です。笑顔数が1千人に達するまで継続してまいります。

 参加者の方には、特典も! 

 皆様も、是非御参加下さい!

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて872日連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

 Twitterもやってます。こちらでつぶやいています。