生レバ食文化

 7/1よりスタートした「生レバー」禁止には、賛否両論あるようですね。

 提供してきた焼き肉屋さんが反発しているのは分かりますが、一般消費者の方からも「生レバー」擁護論が根強いようです。放射線を照射すれば食える、という論まであるそうで驚きます。

 この件で私が気にしますのは、一般消費者の方が食中毒に関する情報に日頃充分接しているかどうか、です。

 「生レバー」による食中毒は1998~2010年の間に116件も発生しています。普通の生牛肉の場合は、同じ期間に5件です。

 肉の場合は組織の内部に食中毒菌が入りこむことは、ほとんどないので、こういう結果になります。それに「肉が5件」と言っても、多分挽き肉か成型肉でしょう。挽き肉は、練り込む時に内部に菌が入ってしまいやすいので、たまに食中毒が起きます。それでもレバーに比べると、相当安全であることが、すぐ分かります

 このような食中毒のニュースって、ハッキリ申して面白いニュースではありませんから、一般の方があまり接していないのでは?思います。だから、

 みんな食べているし、おいしいのに何で禁止するの?

という意見が出てきます。

 民主主義を否定する気はありませんが、こういう問題では、専門家の指導に従った方が良いように思います。

 レバーの中のO-157を減らす研究もなされているようですが、なにしろO-157は数個存在するだけで食中毒を引き起こしますから、安全にするのは、相当ハードルが高いと思われます。

 それから、もう一言。「食文化」を、こういう形で規制するのはオカシいという御意見もあるようですが、私辺りの感覚では、「生レバー」は「食文化」と称して良いほど成熟した食べ方ではないように思います。 

 日本には、もっとデンジャラスなものを食す文化があります。それは・・・

「河豚の卵巣の糠漬け」です。

 石川県のごく一部の地方で作られている郷土料理=珍味です。

  ご存じの通り、河豚の卵巣には肝などと同様に、致死性の高い「テトロドトキシン」という毒素が多く含まれているため、そのままでは食用にできません。しかし、その卵巣を2年以上にもわたって塩漬け⇒さらに糠漬けにする事で、毒素を消失させ珍味として食しているのです。

 日本の「食品衛生法」は、河豚の卵巣を食用することを禁止していますが、全国で石川県の美川・金石・大野地区で作られた、この漬物だけは、許可されているのです。これは、大変な食文化です。

 出来上がった漬物は、石川県予防医学協会による毒性検査を受け、毒素が消失したことを確認した後に出荷されている、と言いますから、ここまでの体制を組んでいれば、文化と称しても、許されましょう。

 以前河豚の肝を食べて亡くなった歌舞伎役者さんがいたそうですが、その行為が食文化なのでは決してなく、無毒化して安全に食べられる体制を組んでいることが、食文化なのです。

 2005年に輪島の朝市で、一件食中毒事件があったそうですが、それは無免許業者によるもので、漬け込み期間も浅く、勿論、すぐに追放されたそうです。

 これに比べると、生の牛肝を何の工夫も無く、そのまま提供して、事故を起こし続けている「生レバ食文化」って、本当に文化なの?っていう疑問が湧いて来ますよね。

 「・・・」な「食文化」を、私は文化と認定したくありませんね。

って、今日はチト辛口でしたかね。

 スイート住吉に戻さなきゃ。

追伸①

 藤井恵子さん著の単行本『浅草 老舗旦那のランチ』に載せていただきました。
 不肖・住吉史彦が、「浅草演芸ホール」の席亭さんや、「音のヨーロー堂」の四代目とランチをしながら、浅草について対談する、という趣向です。

 他にも20人ほどの、浅草の旦那さんたちがリレー対談で形式で登場します。

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追伸②

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 この「計画」では、まず「ちんや」で東北・北関東の牛を食べていただきます。そして食後の飛びっきりの笑顔を撮影させていただきます。

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 現在の笑顔数は237人です。笑顔数が1千人に達するまで継続してまいります。

 参加者の方には、特典も! 

 皆様も、是非御参加下さい!

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて855日連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

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Filed under: すき焼きフル・トーク,ぼやき部屋 — F.Sumiyoshi 12:01 AM  Comments (0)