なぜ46億円も払えるのか

 「米国はなぜダルビッシュに46億円も払えるのか」という、雑誌「プレジデント」の記事を読みました。

 ダルビッシュだけでなく、アメリカの一流アスリート・一流芸能人・企業経営者は、日本の同業者と比べると、信じられないほど高額の年俸を得ていますね。

 たとえばディズニー社の前会長マイケル・アイズナーの年俸は約5億ドルだったとかで、円換算すると年約600億円ということですから、アン・ビリーバボーですね。

 しかし一方、日米の一人当たりGDP(=付加価値)を比較してみると、日米ともに5万ドル弱で、ほとんど差がないことが分かります。だからその付加価値を、企業の関係者に平均的に配分すれば、日米の暮らしぶりは同じような姿になるはずです。

 しかし勿論、そうはなっていません。

 平均すれば日本と同じなのに、アメリカのCEOやスタープレーヤーに破格の年俸が支払われているということは、当然、その他大勢の人々の取り分が、その分少ないわけです。

 実際、アメリカのプロ野球チームは二軍・三軍・四軍まで持っているのが普通で、最も下位のシングルAの選手の年俸は、かなり低いようです。つまりアメリカでは貰う人と、貰わない人とのギャップがものすごく大きい、ということですね。

 で、そういう結果に成っている理由として、この記事の著者である小宮一慶さんは、アメリカのマニュアル文化をあげておられます。

「ここから先は私の推論になるが、多民族国家であるアメリカでは、多くの職種でマニュアルが高度に発達している。異なる文化を持つ人々の集団に仕事を教え込もうと思ったら──日本のように阿吽の呼吸など期待できないのだから──徹底的に論理的なマニュアルを作る以外に方法はない。」

「マクドナルドが象徴的だが、アメリカ人が作るマニュアルは世界中どこでも、誰がやってもオペレーションができるような、高度な論理性を備えている。」

「つまりアメリカでは、ルーチンワークのほとんどが日本人の想像を絶するレベルでマニュアル化されているのである。だから、誰がやってもほぼ同じ成果が出せる。そして、同じ成果を出す人材は、イコール代替可能な人材だから、そうした人材の給与は低く抑えられるということになる。」

「反対に、余人をもって代え難い、能力差が成果に大きく反映するような仕事、たとえば企業の経営者や野球選手や営業職、トレーダー、さらには研究者などには、高額の報酬が支払われることになるのではないか。こう推理をしていけば、ダルビッシュが6年間で50億円近いべらぼうな年俸を受け取ることも理解できる。」

 まあ、大筋では、私もそうだろう、と思います。

 でも、ルーチンワーカ―と一流有名人の間の、中間的な位置の人のことも、論じて欲しかった、と私は思います。 

 一流有名シェフではないけれど、ハンバーグを美味しく作ろう、と思っている人が、この世にいます。

 マックに入社してしまえば、マニュアルに従わないといけませんが、個店にいれば、日々自分でマニュアルを修正しながら=自主性を持ちながら、ハンバーグを作れますね。

 例えば「ちんや亭」でお出ししているハンバーグは、タマネギを生の状態で挽き肉と練り合わせるところが、養殖屋さんイヤ洋食屋さんのハンバーグと違います。

 それを「変だ!」と言われたこともありましたが、自分で食べて旨いので、そのまま放置しておりましたら、先日「Mr食育」こと服部幸應先生が食べに見えて、

 自分も、その方が旨いと思う、

と言って下さいました。

 ほら、マニュアルと違いましたよね。

 「ちんや」の肉に合った、「ちんや」のマニュアルで作れば良いんです。それも日によって変わることがあっても良いんです。

 ハンバーグを作る人=ルーチンワーカ―

と看做すことに、私は反対しておきます。マックでハンバーグを作る人だけが=ルーチンワーカ―なのであって、ハンバーグを作る人全員ではありませんよね。

 ルーチンワーカ―と看做して⇒その人達の賃金を下げ、その結果余った資金でしかダルビッシュのギャラが払えないのであれば、ダルビッシュには、そのままアメリカに居て貰えば良いと思います。

 まず、漢字と感じを変えませんか。

 ハンバーグを創る人、に。

追伸①

 7/23から7/27まで「ちんや」は夏休みをいただきます。悪しからず、御諒承下さいませ。弊ブログは予約投稿により、更新してまいります。御愛読をお願い申し上げます。

追伸②

 藤井恵子さん著の単行本『浅草 老舗旦那のランチ』に載せていただきました。
 不肖・住吉史彦が、「浅草演芸ホール」の席亭さんや、「音のヨーロー堂」の四代目とランチをしながら、浅草について対談する、という趣向です。

 他にも20人ほどの、浅草の旦那さんたちがリレー対談で形式で登場します。

 是非ご購読を! 平成24年6月3日、小学館発行。
 ご購入はこちらです。 (できればレビューも書いて下さいね!)

追伸③

 「日本国復興元年~1千人の笑顔計画」を実行中です。

 この「計画」では、まず「ちんや」で東北・北関東の牛を食べていただきます。そして食後の飛びっきりの笑顔を撮影させていただきます。

 その笑顔画像をこちらのサイトにUPして、北の産地の方に見ていただきます。

 現在の笑顔数は270人です。笑顔数が1千人に達するまで継続してまいります。

 参加者の方には、特典も! 

 皆様も、是非御参加下さい!

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて879日連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

 Twitterもやってます。こちらでつぶやいています。

 

 

 

Filed under: ぼやき部屋 — F.Sumiyoshi 12:01 AM  Comments (0)