老舗の生き抜き方②
福島県酒造組合さんが運営する学校「県清酒アカデミー」で1時間ほどの講演をすることになりました。
震災以来応援している「福島の酒」ですし、聞き手は醸造を志している若い方ばかりだそうですので、一生懸命お話ししてきたいと思っています。
その原稿が準備できましたので、弊ブログでも公開して行きたいと思います。長いので8回に分けてUPしています。
御題は、老舗の生き抜き方というものをお話しせよ、ということしたので、そういう方面の話しをさせていただきます。
本来自分で「老舗」と自称するのは僭越な話しではあるのですが、他に適当な日本語がありませんので、使うことにいたしまして、つまりは浅草の、すき焼き屋ですとか、天麩羅屋ですとか、鰻屋ですとか、蕎麦屋ですとか、そういう仕事を永年して来た店が、時代の変化や危機をどのように乗り切ってきたか、をお話ししてみたいと思います。
本日は、その第2回です。おつきあいいただけましたら、幸いです。
<以下講話本文>
(予備知識②=明治・大正時代の浅草)
さて明治時代です。
この時点で浅草は天下一の盛り場でしたが、明治時代になって、さらに繁栄を謳歌します。キッカケは「公園」の整備に関する、新政府の布告です。明治6年の、この布告によりまして浅草寺境内は「浅草公園」と命名されました。この時決めた「公園」が日本初の「公園」です。
でも「公園」って聞いて?と思いますよね。浅草って公園ですかねえ。でも「公園」だったんです。
この当時の日本人は「公園」という言葉を分かっていなかったんです、この頃Parkを訳して造られた新語だったからですね。で、当時はどう解釈されていたのかと申しますと、公けに遊興して良い場所とか、遊園地と考えていたようです。
もう少し言えば、「公園」即ち盛り場っていう感じです。それで「公園」は、設立の趣旨とは違って、盛り場化する傾向にあったようです。Park本来の、西洋式の正常な発展をとげた公園は、まず上野公園位のものでした。
「公園」がそうなって行った理由ですが、当時新政府は財政が厳しくてカネがありませんでした。そこで公園経営に必要な経費を稼ぐため、敷地の一部を賃貸しするんですね。それも射的とか、玉突とか、楊弓とか、見世物なんかの店に賃貸ししてしまったのです。
浅草の場合は、賃貸ししたどころではなく、土地を掘って「ひょうたん池」という池を造り、池の周りを造成して街を用意し、そこを貸し出した、と言いますから、ほとんど不動産屋ですね、新政府は。
この時に造成された一帯こそ、明治・大正・昭和戦前に日本一の歓楽街と成る浅草公園第六区縮めて「六区」です。
今でも楽しいショーを見せてくれる「ロック座」がありますが、ロックンロールをやる座じゃないですからね。詳しいことは、女性もおいでなんで割愛しますけどね、六番目の区画だから六区なんです。ご興味のある方は、実地に御検分いただければと思います、はい。
と、このような次第で、浅草は盛り続けまして、時代が下ると今度は演劇館、活動写真館、「浅草オペラ館」などの上演が連日行われるようになります。浅草は芸能の殿堂、と言われたのが、この時代ですが、その盛り場を政府が作ったっていうところが、歴史のチト思い白いところです。
そこへ1923年、関東大震災が起こります。
大火災が発生しまして、特に浅草を含む東京東部は壊滅・ほぼ丸焼けの有り様と成りました。帝都随一の展望台だった「十二階」もあえなく倒壊しました。そして、その震災後の復興キャッチフレーズが、あの有名な
「君よ、散財にためらうことなかれ。君の十銭で浅草が建つ。」です・・・
<この話しは、長いので8回に分けてUPします。本日は、その第2回でした。>
追伸①
藤井恵子さん著の単行本『浅草 老舗旦那のランチ』に載せていただきました。
不肖・住吉史彦が、「浅草演芸ホール」の席亭さんや、「音のヨーロー堂」の四代目とランチをしながら、浅草について対談する、という趣向です。
他にも20人ほどの、浅草の旦那さんたちがリレー対談で形式で登場します。
是非ご購読を! 平成24年6月3日、小学館発行。
ご購入はこちらです。 (できればレビューも書いて下さいね!)
追伸②
「日本国復興元年~1千人の笑顔計画」を実行中です。
この「計画」では、まず「ちんや」で東北・北関東の牛を食べていただきます。そして食後の飛びっきりの笑顔を撮影させていただきます。
その笑顔画像をこちらのサイトにUPして、北の産地の方に見ていただきます。
現在の笑顔数は262人です。笑顔数が1千人に達するまで継続してまいります。
参加者の方には、特典も!
皆様も、是非御参加下さい!
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて857日連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。
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