さとうきび機能研究所
11/21に「沖縄さとうきび機能研究所」のT社長が来店されました。
本日11/29これから、開催する「第七回すきや連」で、「すき焼きにあう砂糖とは」という題で講話をしていただく予定なのですが、その打ち合わせの為の、ご来店です。
「打ち合わせ」と申しましても、ひらたく言うと、すき焼き屋という人種が、有機化学をどの程度理解できるものなのか、リサーチに見えたのです。リサーチの対象は他でもなく、私・住吉史彦です。
T社長自身も元々は文系人間で、実は将棋の学生名人だったのですが、大学卒業後、製紙会社に入り、今はすっかり理系に成っておられます。そこを脱サラして、企業されたのが、今の、さとうきびの会社です。さて、そのTさんの御砂糖ですが・・・
いいですか? 住吉さん、ウチの会社の「粟国生なり糖」にはですね、フラクトースとグルコースが含まれていてですね・・・
この時点で、既に吐きそうになった方もご安心下さい。私がわかりやすく説明いたします。勿論、私が理解できた範囲で、ですがね。
まずは有機化学を離れ、イメージから入っていきましょう。 東西東西!
「沖縄さとうきび機能研究所」さんの「生なり糖」は、
*おじい・おばあが齧っていた、さとうきびの成分をなるべく残したまま、砂糖にした、「アンチ・エージングの砂糖」だそうです。
*だからと言って、原始的な手法で造ったわけではなく、新開発のフィルターを使って、有用でない成分は取り除いてあるそうです。
通常の砂糖は純度を高める為に、遠心分離機にかけますが、この時に色々な成分が砂糖から分離されます。それが蜜です。この方法により、砂糖の純度は高まりますが、面白味のない味に成っていきます。
Tさんの御砂糖は、遠心分離機にかけないところが特徴で、フィルターにかけて葉緑素などを取り除いただけなので、さとうきびの元々の味に近い味を実現しています。
従来からある「黒糖」の場合も、Tさん同様遠心分離機にかけませんので、天然の成分にかなり近いのですが、葉緑素も残っているので、酸化しやすいのが難点です。
またPH値をアルカリ方向へ調整するため、石灰を投入しており、黒糖にはその成分が残っています。この石灰が黒糖のアクの元です。
Tさんの御砂糖は、そういうPH調整がされていないため、さとうきび本来の酸味が感じられます。普通に味わうと酸味を特に感じるかもしれません。ここは、好き嫌いの分かれる点です。
さらに、原料のさとうきびを砕く時の手法にも特徴があるそうです。
製紙会社のノウハウで、きびを砕くので、細胞のセルの中にあった「結合水」が溶け出します。「結合水」は細胞を自由に出入りする「自由水」と違って、ほとんど出入りしない水なので、いろいろな成分が溶けていて、これにより「おじい・おばあが齧っていた」味になるのです。
「齧っていた」という所がポイントです。齧ることにより出て来た成分は、動物で言えば、豚骨スープのようなもので、ポリフェノール・ミネラルといった大変有用なものです。
「アンチ・エージング」は上品には実行できず、とうきびの組織をうまく壊すところがポイントなのだそうです。
以上で、おわかりいただけたと思いますが、Tさんの御砂糖は、精製糖でも黒糖でもない「第三の砂糖」と言うべきもので、おじい・おばあが齧っていた、「アンチ・エージングの砂糖」なのです。ちょっと、酸っぱいですけどね。
さらにTさん「まだ大きい声では言えないが、美肌効果もある」とおっしゃいます。それで、この砂糖を入れて焼いたパンを、セレブ主婦が争って買っているとか。
ほほお、美肌効果ですか。
でもTさん、そこまで言っちゃうと、眉ツバと言われかねないから、実証しない内に「美肌効果」を広言するのは、やめた方がいいと思いますよ。
え? まだ自分じゃ広言してないのに、ブログに書かれたら困るって?
ああ、それはそうです、早速実証しましょう。
ウチには、女のスタッフがいっぱいいますし、浅草の女将さん方に配布してみる、というのはどうでしょうね。ご紹介しますよ、喜んで。
追伸
本日11/29に開催される、第七回「すきや連」では、T社長の砂糖のお話しに続いて、小伝馬町の「伊勢重」さんにて、すき焼き大宴会です。
既に、松阪の「和田金」さん・米沢の「登起波牛肉店」さんなど、全国の、すき焼き関係者が50人のご参加が決まっていて、満員札止めです。
この催しは、「旗振り役」兼事務長の私にとって、毎回結構な手間がかかるのですが、盛り上がること間違いないので、楽しみですね。
後日、このブログでも報告いたします。
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて274日連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。
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