カップル
人様のことを、そのグループを構成する人数で把握しようとするのは、料理屋の性癖と言って良いでしょう。
「おひとりさん」「おふたりさん」「さんにんさん」といった、あの言い方のことです。
面積当たりの営業能率を考える立場に立てば、これは当然ではあります。でも、
「おふたりさん」と言っても色々ですよね。カップルの場合もあれば、そうでない場合もあります。
それに「カップル」という言い方も、男女の組である、という以上のことを表していない、かなりアバウトな表現方法ですよね。
良く考えると、それぞれのお客様にとって、ご満足のいく食事をしていただくには、「カップル」のお客様に、一律な応対をしていては良くないのだと思います。料理屋のサービスの質が問われるのは、ここだと思います。
年齢が親子ほどかけ離れているカップルで、女性が美形の場合、我々は、おやあ、ウォータービジネスの、プロの女性かな、と思います。でも、よくよく様子をうかがっていると、服装や所作から、そういうカップルではないと断定できる、「どうも、本当のお父さんと娘さんかな」という場合もあります。
どうしてそこにお母様が同席されていないかは、詮索しようもありませんが、そういう場合は、父娘の醸す雰囲気に添うことが、店側にとって重要でしょう。
こういうケースは、父娘二人だけの誕生会だったりするのですが、ご事情がおありかもしれないので、下手に場を盛り上げたりするのは控えて、丁寧な仕事をすることが大事です。
先週、今度はさらに年齢がかけ離れていて、孫ほど年のかけ離れたカップルが見えました。たしか一週の内にそういう「カップル」が2、3組見えました。
孫ほど年の離れた、ウォータービジネスの女性と楽しく食事する「会長さん」は、世の中に結構おいでなので、担当の者が「そういう次第かな」と様子をうかがっていると、さにあらず。孫ほど年の違うカップルではなく、本物のお爺さんと孫娘さんでした。
どうしてそこにお婆さんが同席されていないかは、詮索しようもありませんが、お爺さんが、すき焼きという食べ物を孫娘に食べさせたい、という意志をお持ちなことだけは分かります。
これは大変有り難いことですよね。「食育」と言えると思います。だから店の者も、そのお爺さんのご意志に添って働くことが大事です。そうすれば、自分達の職業の安泰につながるわけですから、ここは力の入れどころと言えましょう。
こう考えると、お客様のことを「おふたりさん」「カップル」と簡単に片付けてしまっては×だ、ということがハッキリわかります。
私自身も、「今日は、お二人さんばっかりだなあ」とか、しばしばボヤいておりますが、反省しないといけません。
え? ウォータービジネスの女性の場合は、どうなるんだって?
そんなことをここに書かせようなんて、Kさん、ヤボだなあ、今度飲んだ時に詳しくお話ししますよ。もちろん、先輩の奢りですけど。
あ、飲む場所ですけど、いつもの上野じゃない方がいいなあ。たまには六本木とか。
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。
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