デフレ酉の市
鷲神社の「酉の市」の日の、「ちんや」店内の雰囲気が、ここ数年上品です。
なぜか酉の日に、弁護士・会計士・行政書士・設計士といった、士業の事務所の皆さんが来店されるのです。考えてみれば、士業の事務所も中小企業のようなものですから、お酉様に繁盛を祈願に行かれるのでしょう。
11/19の「二の酉」の日は金曜日でしたので、5〜6人の事務所から30人くらい所属している事務所まで、大中小の宴会を「ちんや」でしていただき、しかもこうした職業の方々は、酔って大騒ぎしたりしないので、有り難かったです。
その昔は、こうではありませんでした。昔は、酉の日というと町工場(こうば)御一行様がお得意様でした。
社長さん(=と言っても、工場のお父さん)が先頭に立って、工員さん全員を率いてお酉様に行き、その帰りに寄っていただいていました。これは勿論、有り難いことは有り難いのですが、工員のおじちゃん達が、酒に酔って事件を起こすことがありました。
大企業とか役所なら、「全員動員」はせず「課長級以上のみ参加」とか仕切りがあると思いますが、町工場の場合、そういうヤボをするハズもありません。
社長に動員されて、「今日は好きなだけ飲めよ」と言われたら、本当に好きなだけ飲んでしまうのが、おじちゃん達です。酉の日というと、おじちゃん達の動静が気がかり、というのが御約束でした。
しかしその後、世は移り、台東区の地場産業の工場の内、相当数が海外に移転し、寂しくなりました。円高が、その引き金を引いたことは、ここで指摘するまでもありません。
それにつれて、「ちんや」の雰囲気も上品になりました。それはそれで嬉しいのですが、これで良いのか?!とも思います。
工場の企画部門・デザイン部門は、この辺りに残っていても、おじちゃん達の働き口だった生産ラインは、今はもう海外です。働き口=雇用をなくした、あの酔っぱらいの、おじちゃん達はどこへ行ったのでしょう。
今デフレが酷い、と連日報じられていますが、それは雇用が無いからだろう、と思います。かつて地場産業が栄えた地で、すき焼き屋をしていて、そう私は感じています。
今日はジョークに出来ませんね。
なんとかなりませんかね、チョーさん。
追伸
昨日放送のTV番組『紳助の「深イイ話」アートスペシャル』(日本テレビ)で紹介された、彫紙アーテイスト林敬三さんのブログは、
こちらです⇒http://blog.choshi-art.com/
林さんは、弊店のパンフレットをデザインしてくれた方でもあります。是非ご覧ください!
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて268日連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。
「ちんや」創業130年記念サイトは、こちらです。「すき焼き思い出ストーリー」の投稿を募集しています。
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*「酉の市」の縁起については、このブログの11/7号をご覧ください。