下仁田ネギ
「百味」12月号が届きました。
「百味」には、向笠千恵子先生の『続すき焼き ものがたり』が連載されています。この連載は今年の5月号より始まったもので、今回で第八回です。この連載を、私が早速読むだけでなく、「ちんや」では全従業員が読んでいます。
さて、今回向笠先生は群馬県の下仁田へ行かれたようです。ネギと蒟蒻が有名な所です。ここに「すきや連」常連メンバーKさんのネギ農場があるので、訪問されたようで、そのことが書かれています。
文中に「下仁田ねぎは異形のねぎである」とありますように、下仁田ネギは他のネギと品種が違い、その太さと甘味が特徴です。(正確に申しますと、煮た時の甘味が特徴です。生の状態では、非常に辛いネギです。)
下仁田は出荷時期が真冬に限定されるので、「ちんや」をはじめ、一年中すき焼きを提供している店では、「下仁田ネギ」より「千住ネギ」を使う場合が多いと思いますが、下仁田がとても美味いことは、あらためてここに書くまでもありません。
ネギに関して少々ややこしいのは、品種名として地名が使われているところです。だから、その産地以外で生産されたネギについても、その地名入リの品種名が使われます。
例えば、「千住ネギ」というのは、ネギの品種の名前ですので、他の産地のネギ、例えば、有名な「深谷ネギ」も品種で言うと「千住ネギ」に分類されます。
しかし一方「千住ネギ」には、「東京都足立区の千住市場で取引されたネギ」という、もう一つの意味もあります。これは一種のブランド名です。つまり、一つの言葉が品種名を言っている場合と、ブランド名の場合とがあるのです。ややこしいでしょう。
これと同様に「下仁田ネギ」も、この土地の特産=ブランドという意味で言っている場合と、品種の意味で言っている場合の両方があって、気をつけないといけません。
混同を避けるために、品種名としては「下仁田ネギ」とは言わず「加賀太ネギ」という場合もあります。
関西に行けば、もう一つの品種「九条ネギ」(=青ネギ)が、多く使われています。
このようにネギに関して、つべこべ書いておりますのは、すき焼きにおいて、ネギが肉の次に重要と思うからです。今回の連載『続すき焼き ものがたり』で向笠先生も、「すき焼きの準主役であるねぎ」と書いておられます。
特にネギは冬、これからの季節が旬ですので、是非とも、ネギを味わうために、すき焼き屋へお出かけいただきたいと思います。
それに、お連れの方にウンチクを語るのに、このブログの、この部分はネタとして最高と思いますよ。
あのサー、カノジョ、知ってた?
「千住ネギ」というのはネ、ネギの品種の名前だからサー、「深谷ネギ」もサー、品種で言うと「千住ネギ」なワケ。分かる?
でもネ、「千住ネギ」には、「東京都足立区の千住市場で取引されたネギ」という、もう一つの意味もあってサー、これは一種のブランド名なワケよ。
つまりイー、一つの言葉が品種名を言っている場合と、ブランド名の場合とがあるんだヨ。どう?カノジョ、分かるかナー、ややこしいだろオ。
でも勉強になったロ?覚えときなヨ。
必ずやモテることを、私が、やす請け合い致します。
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて271連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。
「ちんや」創業130年記念サイトは、こちらです。「すき焼き思い出ストーリー」の投稿を募集しています。
Twitterもやってます。こちらでつぶやいています。