VIP?の八王子訪問

 4/27は火曜日で休みでしたので、八王子の料亭「坂福(さかふく)」さんを訪ねました。「坂福」さんは、すき焼きをメイン料理にしている、料亭さんでして、かねて興味を持っておりましたが、その話しを、国際観光日本レストラン協会の総会で御一緒した、「八王子エルシイ」のO会長にしましたところ、「坂福さんは、良く知っているから、是非ご紹介しましょう。」と有り難いお言葉。善は急げ、で早速お訪ねすることにしました。

 八王子は、明治時代後半・大正・昭和の頃、織物業が盛んで繁栄したそうです。それで財を成した旦那衆が遊ぶ花柳界が出来たり、牛鍋屋ができたりしました。明治45年創業の「坂福」さんも、その内の1軒だそうで、ホームページを見たところ、歴史の風情を感じられそうな御店です。

 そういうわけでの今回の訪問です。まずは「坂福」さんを訪ねる前に、Oさんご経営の御店「八王子エルシイ」にご挨拶にうかがいました。Oさんは、八王子観光協会の会長を務めておいでで、八王子の、重鎮中の重鎮なのですが、さすがに、そういう方の御店は、立派な構えです。

 「エルシイ」さんで、コーヒーをご馳走になり⇒館内を見学させていただき、「坂福」さんへ向かおうとすると、Oさんが「では、「坂福」さんまでご案内しましょう!」とおっしゃいます。

 いやいや、そんな恐れおおいです。連絡をとって下さっただけで有り難いのに、同行して下さるなんて。世話焼きの方とはうかがっていましたが、それは恐縮です、と申すと、

 「いいんです。「坂福」のD君も、頑張っている、元気な社長で、きっと仲間になれるから、是非直にご紹介しますよ。」

 と、いうわけで、地元の重鎮・業界の大先輩にエスコートしていだいて、鳴り物入りで、現地入りし、結構なすき焼きをいただきました。牛は「いわて南牛」、ザクに玉ねぎが入っていて、麩が細長い焼き麩でした。

 食後にコーヒーをいただきながら、D社長から、八王子のこと、すき焼きのこと、向笠千恵子先生の「すき焼き通」は端から端まで熟読して、そこに載っているすき焼き屋は、のきなみ訪問したことなどをうかがいました。

 怒涛の勢いで語る、D社長の語り口は、講釈のように切れ味があります。そのわけを聞くと、なんと「講談人力車」として有名な、浅草の車夫・O氏に弟子入りして、やり方を伝授されたのだそうです。そして、さらに驚きなのは、D社長自らが講釈しながら、客を乗せて曳く、人力車が店にある、というのです。

「 住吉さん、お帰りの時は、車夫の装束に着替える間チョッとだけ待っていていただければ、駅まで人力でお送りしますよ!」

 いやいや、それは遠慮しておきます。住吉風情は、ゼンゼン、VIPじゃありませんから、駅まで歩いて行きます。それと、次回の「すきや連」には、Dさんも是非お誘いしたいと思っていますが、是非気楽におつきあいいただければ、と思ってます。

 ええ、本当に結構です、恥ずかしいですから、じゃなくて、時間がなくなってきましたので。長居いたしまして、スミマセン、もう帰ります。すたこらさっさ。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

*「坂福」さんについては、こちらです。

*「八王子エルシイ」さんについては、こちらです。