ニッポンチ!最終回
小学館の文芸雑誌「qui-la-la」(きらら)での、河治和香先生の連載「ニッポンチ!」が最終回を迎えました。
和香先生が、「駒形どぜう」の三代目を主人公にした小説『どぜう屋助七』(2013年)にウチのご先祖を登場させて下さって以来、新しい連載が始まるのを楽しみにしておりますが、今回は明治の浮世絵師を主人公にした小説です。登場する絵師の作品がウチにあったりしますので、なおさら楽しみな連載でした。
登場するのは歌川国芳門下の絵師たちと娘の芳。国芳には歌川芳虎、芳艶、芳藤、落合芳幾、さらには月岡芳年、河鍋暁斎といった弟子がいましたが、国芳が幕府に逆らう位の人だったので、弟子達の性格も皆ユニークで。その人物描写もまた、この小説の面白いポイントでした。
最終回では、時代が関東大震災後まで進んでいて、その時点から芳の人生を回想する形になります。
芳も弟子達も、江戸時代の画工が、そのまま生きているような人達ですので、御一新後の時世に翻弄され、写真とか新しい技術にも翻弄されつつ、なんとか、そこまで生き延びました。孫弟子・曾孫弟子世代には、水野年方、鏑木清方、伊東深水などが出たりしました。一方生き延びなかった弟子もいました。
なんか、コロナ後の料理屋に重なります(泣き)
そんな人達を語る中で最終回では、絵師だけでなく、摺り師や彫り師の話しになります。そうした職人達は、最後にどこで亡くなったのか、生没年や、名前が本当の名だったのかすら分からない人が多いとか。
最晩年の国芳のように、病床に臥せって力ある絵が描けない人の作品でも、売れるように仕上がったのは摺り師や彫り師の腕のおかげでしたが、忘れ去られました。芳は、こう言います、
「明治になってから、立身出世や世間に名を売ることが大事なような風潮になりましたけれど、江戸っ子というのは、もっと奥ゆかしいものでございましたよ」
秋には単行本化するそうで楽しみです。
追伸
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本日もご愛読賜り、誠に在り難うございました。
弊ブログは2010年3月1日に連載スタートし本日は3.771本目の投稿でした。引き続きご愛読を。