江戸日本橋商人の記録
『江戸日本橋商人の記録〈にんべん〉伊勢屋髙津伊兵衛家の古文書』
を拝読しました。
と、言っても本文は読めていません(笑)
この御本は、亨保期から文化期までの髙津伊兵衛家の古文書を翻刻したもの、つまり古文なので私が読めるのは、それを編集した学者さんが付けた解説文だけです。それでも勉強になりました。
さて髙津伊兵衛家は日本人なら知らぬ人のいない「にんべん」の鰹節を300年以上売ってきた家です。
最近創業320年を迎え、当代の高津さんが十三代目「髙津伊兵衛」を襲名されたのに合わせて、この御本も出版されました。江戸に生きた商人・町人の暮らしを映し出す貴重資料です。
歴代の中でも三代目伊兵衛幸通は、大名家の御用に応える商いから市中需要中心の商いに転換し、「にんべん」の基盤を固めた人でした。
その最晩年の書「無言語」には以下のように書いてあります。(澤登寛聡先生、筑後則先生による現代語訳です)
「昔、父と母は毎朝乞人に米を施行していましたが、これが今日我が家が繁昌する所以です」
一方私は「性格が吝嗇で、髪梳き人や浅卯などの職人が飯時に来合せると、飯を出さねばならないことを思い、怒りが顔に現れ、心中穏やかではいられませんでした」「私は家財を求めて欲を出し、たった一椀の飯を惜しみ、貧乏職人を助けようとしませんでした」
それを反省した幸通は財貨を積み、長生きもしました。
ウイルス問題の最中、いっとき現実から離れて、心洗われる貴重な時間でした。
さてまた憂鬱な日々に戻るか、な。
『江戸日本橋商人の記録〈にんべん〉伊勢屋髙津伊兵衛家の古文書』
澤登寛聡・筑後則 編
勉誠出版
ISBN978-4-585-22269-9
追伸
3日15日より「しゃくなげ和牛」のメニューをお出ししています。福島復興の一助になればと存じます。
本日もご愛読賜り、誠に在り難うございました。
弊ブログは2010年3月1日に連載スタートし本日は3.687本目の投稿でした。引き続きご愛読を。