春菊卵②
昨日に続いて「春菊卵」の件です。
新たな「変わり卵」として開発中の「春菊卵」を、先日開催しました「この辺りでもう一度肉のことを考えてみる会」に出してみました。
だいたい好評で安心しました。
保存性が悪いので、すぐに営業に使うことは考えないといけないのですが、可能性は確認できました。
ところで今日は何でまた、こんなことを考えたのか、です。
春菊の苦みで味にアクセントを付けるというのが第一の趣旨ですが、もう一つの趣旨もありまして、それは、今時の春菊を活かす方策でもあるからです。
最近の品種改良で春菊は、やわらかく+苦くなくなりました。迫力が無いのです。
私などは苦みも足りなく感じますし、鍋に入れるとすぐ縮んでしまって、存在感が希薄です。
NPO法人野菜と文化のフォーラムさんが取りまとめた「野菜のおいしさ検討委員会」というサイトでも、
「最近の野菜は概して本来の野菜らしさがなくなった」という声が多数寄せられています。
・苦味が評価されにくくなっている。
・本来野菜が持っている苦味や辛みや甘味が薄れ、ただ単に甘味の強い野菜が増えて来ている。
・臭いや苦味、辛さが減少し、甘さが増している。
・かたいものが嫌われている。
・総じて軟化し煮えやすくもなったがしっかりした歯ごたえ、噛みごたえのあるものがなくなった。
・煮えやすくなったのは時間的には助かるが、組織の結着力が脆弱で、野菜の力強さがなくなり、栄養成分にも影響があるのではないかと気になる。
・食べやすさを追求することが野菜らしさを失わせていると思う。
まったく、そうだと私も思います。
春菊にはホウレン草ほどではないものの、アクの成分であるシュウ酸が含まれていて、これを嫌う人がいるため、万人ウケするよう改良されてきたのです。
でも、それって、「らしさ」を失わせることでもありますよね。
A5等級にするために血道をあげ、肉らしさを失わせてしまった畜産業と酷似しています。
「らしさ」というキーワードで「適サシ肉宣言」と「春菊卵」はつながっています。
この食べ方を普及させたいものだと思います。
追伸、「適サシ肉の日」
が日本記念日協会さん公認の記念日に成りました。
昨年私が「適サシ肉宣言」をした1月15日です。お見知りおきを。
「記念日制定の由来」は以下の通りです。
「2017年1 月15日に、東京浅草の老舗すき焼き店「ちんや」の六代目当主・住吉史彦が、自店で過剰な霜降肉(A5等級)を使うことを止め、「適サシ肉」すわなち適度な霜降の入った肉だけを使うと宣言した。本件は各種メデイアやインターネットで大きな反響を呼び、「A5信仰が終焉した日」として日本の食肉業界・飲食業界に記憶された。なお「適サシ肉」という言葉は住吉による造語で、株式会社ちんやは後にこの言葉を商標として登録した。」
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.900日連続更新を達成しました。すき焼き「ちんや」六代目の住吉史彦でした。