友達だったら
今日は、店員とお客様のコミュニケーションの仕方について、です。
例えば商品説明という行為が必ず行われますが、「大鰐温泉もやし」を例にとって説明しましょう。
「大鰐温泉もやし」は、
・歴史が大変古く、津軽藩三代藩主・津軽信義侯の頃から、少なくとも300年以上生産されている。
・もやしを栽培する土の周囲に温泉を循環させ、その熱を利用して育てている。
・非常に珍しい土耕栽培(他のもやしは水耕栽培)
・無農薬、無化学肥料栽培
・豆の種類は、門外不出の「小八豆」
・実は近年生産者が5軒まで減ってしまった。そこで地元では協議会を設立し、これまで栽培技術を一子相伝で伝えてきたのを改めて生産の復活を目指しておられる。
店員は、これをお客様に説明します。仕事ですからね。
で、どうですか?買いたくなりましたか?
買いたくなる方もおいででしょう。
でも、ピンとこないなあ、という方も多いと思います。
上に書いた情報はメニューに書かれていて、読めば分かるからです。ネットでも読めます。
その店員さんが、この商品について本当にどう思っているか、リアルに感じられないから、ピンと来ないのです。
では相手がお客様ではなくて、友達だったらどう言うか、考えてみましょう。
このもやしね、とにかくビックリする位立派なのよ。
これはね、この時季の名物でね、「ちんや」に来てこれを頼まないと「ちんや」に来た気がしない!っていう人が多いんだって。
「ちんや」に来て、温泉もやしを頼まないなんて、信じられない!なんで頼まないの?!
どうですか?買いたくなってきましたね。買いたくなったのは、
・「ビックリする位」という個人の感覚が入っているから。
・これを頼まないと「ちんや」に来た気がしない!っていう人が多い、という個人が見聞きした情報が入っているから。
そう、友達と話すと時は、本で知ったことや・ネットで調べたことを、そのまま話すとだんだん相手にしてもらえなくなります。
それなのに相手がお客様だと、何故調べたことを、そっくりそのまま言ってしまうのでしょう。
それは、おそらく会社の公式見解に囚われ過ぎて、違うことを言ってはいけないと信じ込んでいるからです。真面目過ぎると言っても良いでしょう。
私は、弊店で働く人たちが個人の感じ方をお客様に言ってしまっても、それが公式見解の真逆でない限りOKだと思っています。
その方が、きっと売れます。口調はもちろん変えないといけませんけどね。
「相手が友達だったら」~試してみませんか?
追伸①
今年も「ミシュランガイド東京2017」に載せていただきました。 3年連続掲載です。ありがとうございます。
追伸②
拙著は好評(?)販売中です。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
題名:『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』
浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指しています。
東京23区の、全ての区立図書館に収蔵されています。
四六判240頁
価格:本体1600円+税
978-4-7949-6920-0 C0095
2016年2月25日発売
株式会社晶文社 刊行
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.496連続更新を達成しました。