客種

 すき焼き「ちんや」と同じ建物の地下で、「ちんや亭」というカジュアルなレストランをやっています。

 ハンバーグとかサイコロ・ステーキとかをやっています。ハンバーグ定食の値段は1.200円で、「ちんや」に比べるとカジュアルです、当然。

 この店の特徴は、

・カウンター席だけの店

・昼時だけの営業

だ、ということです。

・カウンター席だけの店ですので⇒調理してから3秒以内に召し上がっていただけます。私は、何しろ料理は温度が重要と思っていますので、この特徴をとても気にいっています。

 もう一つの特徴ですが、

・昼時だけの営業ですので⇒メニューは全て定食形式です。「ちんや」と同じグレードのすき焼き・しゃぶしゃぶもやっていますが、定食式です。

 そして昼時だけの営業ですので⇒夜は「ちんや」ですき焼きを作っている仲居さんが、昼は「ちんや亭」のサービスに入ります。「ちんや」はどうしても夜席主体の店ですので、このシフトは合理的と言えます。

 さて、この「ちんや亭」と「ちんや」で、どう棲み分けるのか、という議論を今、社内でしています。

 以前は、

 客種(=キャクダネ)が違う、

ということで、ほぼ別口に運営していました。私の代になって、だんだん、味の面でもサービスの面でも相違点を少なくしてきた所です。

 そして今年ついに、

 同じお客様に2店舗を回遊していただく、

という取り組みを本格化させたいと思っています。

 「ちんや」の方は、創業130年を機に、

 「心に残る思い出を!」路線を進めていまして、それは勿論、私が本心からやりたいことなので変えるつもりはないのですが、結果として、普段の食事に使いにくいムードになってきたことは事実と思います。

 ですので 「心に残る思い出」の食事を「ちんや」でなさった方が、次回ふらりと浅草へやって見えた時には、他の店へ行ってしまうのでなくて、

 「ちんや亭」へ行けば良いんだ!

と思い出していただかないといけません。

 昨年から「ちんや」と同じグレードのすき焼きも、「ちんや亭」でお出しするようにしましたので、そのことも知っていただきたいのですが、従来がほぼ別口運営だったので、こうした流れが、まだ上手くできていません。ここが課題です。

 孫を連れて墓参り、の後は「ちんや」で、

 婆さんと二人だけ、の時は「ちんや亭」で、という具合です。

 さらに逆の流れも作りたいです。

 例えば、来月アメリカの友人が来日するから、浅草ですき焼きを食べさせたい!

と思った場合、お客様としては一度店の下見をしたいですね。でも下見のために、まともに「ちんや」の料金一人前を支払うのは御負担でしょう。

 それに、それ以前に御一人様では入りにくいですよね、「ちんや」へは。別に御断りしてるわけではなく、入れるんですけどね。

 そういう方には「ちんや亭」の仲居さんが「ちんや」の仲居さんでもあることを、もっと積極的にお知らせして行こう、と思っています。

 御接待・御法事・御宴会の御相談を、私がうかがいます!

という感じで。勿論、「ちんや」の方のメニューを用意しておいて差し上げます。

 肉の味は「ちんや亭」でも確認できますので、後は「ちんや」の様子を知れば下見官僚イヤ下見完了です。

 実は今までも、そうやっていたのですが、文字情報としては、どこにも書いてなかったのです。今ここに初めて書きました。

 何しろ、キャクダネが違う、という前提でしたので。

 嫌ですよね、この言葉。

 この、人を見下した表現を皆が使っているのですが、お客様には聞かせられません、ゼッタイ。

 これからは、「ちんや亭」のお客様も「ちんや」のお客様も同じであって、食事の状況が違うだけ、という前提にして行きます。

 キャクダネは禁句にします。

 私の精神衛生も、これで必ず向上します。

 こういう世の中だからこそ、大震災を経験したからこぞ、本心からやりたいことを!

 当分は、これに集中しようと思っています。

追伸

 浅草寺本堂横で「江戸町奥山風景」が開催されています。

会期は本日5/7までですよ!

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて799日連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

 Twitterもやってます。こちらでつぶやいています。

 

 

 

 

Filed under: すき焼きフル・トーク — F.Sumiyoshi 12:01 AM  Comments (0)