天下に知れた「和田金」さん

 第11回「すきや連」を、松阪市の「和田金」さんで開催しました。

 天下に知れた「和田金」さんですが、今回もたしかに素晴らしく、そして有り難いことに、その素晴らしい理由・プロセスに直に接することが出来ました。得難い経験だったと思います。有り難いことです。

 さて、その詳細をここに書くと、やたらと長くなるので、私が注目した点だけを書くことにします。

 「和田金」さんの特徴は、何と言っても、肉の全量を自社牧場から供給していることです。昭和40年代から牧場経営に取り組まれ、御苦労の末に、次第に体制を築かれたそうです。

 まず牛の血統の件。現在の「松阪牛」は各地から仔牛を導入していますので、血統がバラバラですが、「和田金」さんは、但馬の仔牛の血統にコダワり続けています。但馬の血統で、しかも長期間育てた牛だけが、「特産松阪牛」を名乗ることができますが、驚くべきことに、一般に流通している「特産松阪牛」の3倍の頭数を、「和田金」さんが単独で育て、消費しているのです。

 ひええ、です。

 育て方も「和田金」流で、「理想肥育」を自称しています。肥育30か月前に出荷される牛が多い中、36か月以上育てておられます。「すきや連」当日に頂戴した牛は、40か月でした。その分、当然味わいが濃くなります。

 これだけ長期に育てますと、その途中に病気・事故をゼロにするのが、大変難しいわけで、それで普通の農家さんは、早く出荷したがるわけですが、「和田金」さんは違います。

 ベテランの牧場スタッフと獣医さんが、人力で牛の様子を丹念に見て回り、育て上げます。2.000頭もの牛が居ますが、自動給餌機の導入は、あえて見送っておられます。スゴイことです。

 昭和40年代の牧場開設に関わった方が、今も牧場長として在勤されており、この方の解説は、実に勉強になりました。肥育の詳細のことより、働き方・生き方についての御発言が耳に痛く、見学者一同粛然と成りました。

 技術的なことを1点だけ申しますと、「和田金」さんは、牛脂の融点を下げることをテーマにしておられます。世間では脂の入り方だけが話題になり、見た目でA5だのB4だのと言いますが、本当の味わいや食後の胃腸の感覚は、等級の上下とかなり異なります。

 そのようにパッと見より、実質にフォーカスできるのも、自社牧場で全量を生産しているからです。マネができない所ですね。

 以上概略だけを書いてみました。

 どうです?

 主催する自分が言うのもなんですが、勉強になりますね、「すきや連」。

 その勉強の機会を下さった、「和田金」のM専務には、本当に感謝の一言です。

 え? 本当に勉強だけして来たのか って?

 そ、そりゃあ、そうですよ。そうに決まってます。勿論。ゼッタイ。

 追伸

 「台彪会」会長として、「ニッポン全国彪友会ー台東万博!」を計画しています。

 二条彪先生の門下生約200人が集まる、一大交流会です。先生のメルマガを取っている方なら、どなたでも参加できます。

 2012.4.20(金) 浅草が燃えます。

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 浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

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ドンマイ

 今日はちょっとした問題提起です。

 震災以来、東電の「情報公開が不充分だ」「隠ぺい体質だ」と批判されています。今回の事故につながっているかもしれない事実を、どうもまだ隠している感じがしてなりません。

 東電サイドとしては民間企業だから、「そこまで公開しなくても」と思っているのかもしれませんが、あれだけの事故を起こしたわけですし、そもそも上場企業なので、民間といっても外から見て透明にすることは重要と思います。

 では、お尋ねしますが、「ちんや」のような純々民間企業の場合は、どうでしょう。

 「ちんや」でも、まあ、事故は起こります。

 例えば、数あるコース料理のアイテムの内の一つを出し忘れる!といった事故が起こることがありますね、残念ながら。

 その場合の「原因究明」「責任追及」や「再発防止対策」は、どうすべきでしょう。外部に対して透明にすべきでしょうか。

 結論から先に申しますが、私は「原因究明」「責任追及」は、滅多にしません。「再発防止対策」も、あまりしませんね。

 事故の相手先つまりお客様から御要望=クレームがあっても、しません。

 中には、怒り狂って、そういう形式のクレームを出してくる方もおいでです。でも、しません。

「あのセクションの責任者には、どの位の権限が与えられているんだ?」「改革が必要なんじゃないのか!」・・・なんていう追及を受けたりすることがあります。

 しかし、私は必要以上に、この店を透明にしようとは思っていません。

 だってですよ、働く者の身にも成ってみて下さい。ミスをすれば「原因究明」「責任追及」がされる職場で、のびのびと働けますかね。

 勿論、同じ原因のミスが複数回続くようなら、「再発防止対策」はしますけど、たいていのミスは、ある瞬間にアンラッキーにも、用事が集中してしまうことが原因で起こります。それは防止できません。私が社長を辞任して、その担当に成ってもミスるでしょう。

 だから、私は必要以上の「原因究明」「責任追及」は、しません。「再発防止対策」も、あまりしませんね。

 でも、今時そういうことを実施して、その上で「自分に報告しろ」っていうクレームが増えたような気がします。

 そういう場合、私はミスは謝りますが、その後は、

「一生懸命やって参ります」とか、

「頑張ります」とかいう具合にお話し申し上げます。だって、そうなんですから。

 そうすると「曖昧だ!」「不誠実だ!」とか言われますが、意に介しません。一層怒り出したりしますが放置です。人の単純ミスを、わざわざ複雑な問題に仕立てようとする人とは交際しません。

 そして、ミスした本人には、

 まあ、ドンマイだよ。次は頼むよ、と言います。本人が一番落ち込んでますからね。

 つまり私が、外からの「原因究明」「責任追及」の防波堤に成ろう、と思っています。

 だって追及追及じゃあ、暗い会社・暗い日本に成っちゃうじゃありませんか。

 もっと、この国を楽しくした方が良いと思いますけど!

 そう思いませんか? ニッポンの、東電以外の社長の皆さん。

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汚染肉

 新聞を読んでいて、久しぶりに「汚染肉」という見出しを見つけ、

 またかあ!

と思いましたが良く見ると、それはスポーツ欄。スポーツ界で汚染肉が問題になっていて、しかもそれがドーピング問題だ、というのです。

 以下は全くの受け瓜イヤ受け売りですが、解説しますと・・・

 問題の薬物の名前はクレンブテロールと言うそうです。この薬物は肉体を増強させることができるので、競技前にドーピングする選手がいて、自転車のスター選手・アルベルト・コンタドールが、この薬物を使った疑惑で処分されたそうです。

・ツール・ド・フランスの優勝の剥奪、及び

・2年間の競技ライセンス停止

というから厳しいです。

 ここでヤヤコシイのは、このクレンブテロールを家畜に投与している業者がいることです。目的は、勿論、家畜の増体です。

 そこに目をつけ、コンタドール選手は、自分はクレンブテロールを使っておらず、自分が食べた肉にクレンブテロールに含まれていた、と主張していたそうです。

 実際、中国やメキシコで行われたスポーツ大会では、選手からクレンブテロールが続々と検出され、これは流石におかしい、と思った主催者が調査したところ、選手が食べた肉に含まれていた、ということがあったそうです。

 で、コンタドール選手の場合はどうだったか、というと、結論から申しますと国際スポーツ仲裁裁判所まで持ち込まれたものの、

⇒黑判定でした。

 コンタドール選手の国・スペインではクレンブテロールを家畜に投与することが、以前から禁じられているからです。人体に良くないから禁じられているわけで、日本でも禁止です。

 そういう薬物を勝負のために摂取するわけですから、スポーツの世界は恐ろしいもんだ、と思いますし、また今でも、それを家畜に与えている国が存在するわけですから、これまた恐ろしい話しです。

 何かの祟りがありませんように。

 南無観世音菩薩。

  なお東京食肉市場で取引される肉は、全て、放射線量を計測しており、放射能に汚染された肉が一般に流通することはありません。

追伸

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工房見学委員会

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 この会は、二条彪先生の門下生約200人が集まる、一大交流会です。先生のメルマガを取っている方なら、どなたでも参加できる、初めての大イベントです。

 その準備のため、「台彪会」のメンバーがいくつもの委員会を作って活動していますが、その中で準備が最も周到なのは、「工房見学委員会」です。

 「全国彪友会」のメイン・イベントである、二条先生の講演と懇親会は、4/20の夕刻からですが、当日の午後プレ・イベントとして「工房見学」があります。台東区と言えば、地場産業の土地柄ですが、そうした工房の内の8軒を、全国から見える皆さんに見学していただくわけです。

 で、今行われているのは予行見学です。見学受け入れを立候補した8社が、相互に予行演習を受け入れているのです。それから本番に臨む、という段取りです。その段取りも景況で、先日は仏壇・仏具の販売の「内田商店」さんを見学してきました。

 「内田商店」さんは、浅草と上野の間にあります。

 この辺りには、江戸幕府の政策で御寺が集められていて、自然に仏壇屋さんが多い所です。これも一つの地場産業と言えます。

 さて、そうした所へまいりまして⇒説明をして下さったのは、なぜか女系が続くこの御店の、「五代目見習い」H恵女史。

 仏壇や仏具は身近にあるのに、初めて聞く「目から鱗」的な話しも多く、

 へええ、そうだったんだ!

の連続でした。

 仏壇・仏具の形状や作り方には、ちゃんと意味があり、その説明を聞くうち、

「先祖の前では、嘘のない綺麗な心になれる気がします。自分が自分と対話出来る場所とも思えました。」と感想をメールして来られた、参加者の方もいました。

 地場の皆さんから、直に話しを聞ける体験は、実に有り難い、そう思えました。

 なお、その他の見学受け入れ会社は、下記↓の通りです。既に満員のところもありますので、お気をつけ下さい。

1「サトウサンプル」(食品サンプル)

「もはや“ロウ細工”ではありません。料理の“旬”を再現する、進化した技術をご堪能ください。」

2「竹村漆器店」(蕎麦道具・漆器の販売)

「江戸漆器店の三代目です。蕎麦道具作りの為に蕎麦打ち技術を学び、江戸蕎麦マスターソバリエの資格を取得。蕎麦と蕎麦打ちの道具について会話させて頂きます。」

3「飯田」(調理器具・食器の販売)

「本年創業100年目。料理を愛する全ての人に贈る料理道具屋」

5「末光」(本革靴の製造・販売)

「美味しい料理も心に響く音楽もすぐに、簡単にはできません。あなただけの一足、想いを込めて、手間をかけてお作りします。」

6「種亀」(最中種(皮)の製造・販売)

「最中の皮一筋160年。“最中”の生い立ちから、“最中種食べ比べ”。この機会を逃せばまず聞けない、ディープな最中ワールドをご案内致します。」

7「フダヤドットコム」(手作り木札の製造・販売)

「金型彫刻4代目から、その技術や感性を活かしつつ木札製造販売に転身し8年目の現在に至るまでを余すところなく熱く語ります!」

8「中江」(桜肉(=馬肉)料理と馬油化粧品製造販売の飲食店)

「東京の伝統的郷土料理「桜鍋」の秘密と国の有形文化財に登録されている店舗を創業から106年間の中江の生い立ちとともに大公開します!」

 くわしくは、こちらです。

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セクハラ

 酒を嗜む女性が増えました。

 ワイン会には美女がズラリ。

 日本酒の会でも、元気に手を上げて質問をなさるのは女性が多いですね。

 しかし、お気をつけ下さいよ。

 何に気をつけるって、セクハラにです。

 会のメンバーに、そういう男が混ざっているって意味じゃあ、ないですよ。

 帰ろうとした時、タクシーの運ちゃんが「セクハラ」と言われることを警戒して、酩酊した女性を乗せないのです、最近は。

 乗車後の車内で、女性が眠り込んでしまった場合、当然降ろさないと行けませんが、口頭で呼びかけても、動かないことがありますね。そういう場合、どうしますか。力づくでも降ろさないといけませんよね。

 それが、「セクハラ」なんです、触りますから。

 そうした行為が問題になったことがあるらしく、「セクハラ」事件に発展することを警戒して、酩酊した女性を乗せないのです、最初から。

 だから、帰りたいのに帰れなくなってしまうのです。

 運よく乗り込めた場合でも安心してはいけません。

 運ちゃんが、貴女の肢体に触れずに貴女を降ろすことが出来ない場合、車は最寄りの警察署に向かいます。実話ですからね、これは。

 世をあげて「コンプラ」「コンプラ」ですが、無粋な世の中に成ったもんですな。

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料理写真

 「レストランで料理の写真を撮るのはマナー違反では」―こんな指摘が雑誌に掲載され、インターネット上で物議を醸しているそうです。

 きっかけの雑誌とは、意外にも「女性セブン」。

 2月23日号に「レストランでカシャ!あなたはどう思いますか?―料理やデザートの撮影急増」という記事が掲載されたそうで、それによると・・・

 イギリスからの観光客は「レストランの中で写真を撮るなんてマナー違反」と、

 アメリカ人女性は「一緒にいた友達を撮らずに料理だけをアップにしてたから驚いた。記念にしたいなら普通友達や自分を撮るでしょう」と話したといいます。

 東京では、レストランで料理写真を撮るのは、当たり前のようになっていますが、飲食店で料理の写真ばかりを撮るのは日本人特有の行為なんでしょうか。

で、私の認識は、と申しますと、「マナー違反」とまでは言い切れないのかなあ、と思います。他の人への迷惑度がそれほどでもないからです。

 ただ、そういう撮影ばかりに夢中な人は、やはり、どうなんだろう?と思います。

 そういう人は、たぶん常にFBで「いいね!」してもらえるような画像に飢えていて、外食は、その絶好の機会なので、写真を撮りまくっているのだと思います。料理以外にも、実にいろんなものを撮っています。「ちんや」のレトロな内戦電話イヤ内線電話などは、頻繁に撮られています。

 その間、相手の人は放置無礼ですよね。

 店に対してマナー違反とは言えないものの、やはり相手の方に対しては、どうなんだろう?と思います。アメリカ人女性に同感です。

 一方、おやめいただきたいのは、芸者さんを無断で撮ることです。

 人間なんですから。FBで自慢して「いいね!」してもらえる画像の1アイテムではありません。

 相手が自分の知人だったら「写真を撮って、ボクのFBにUPしていい?」

と聞いて確認してからUPしますよね。そうしないと、友達でなくなったりします。

 芸者さん達にも、同じように接して欲しい、と思います。

 一言断ればOKしてくれることが多いと思いますが、いきなり撮って⇒ネットに流すのは、良くないと思いますよ。

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 2012.4.20(金) 浅草が燃えます。

 プレイベントの工房見学はだいぶ席が埋まってきてますよ。

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旅を急ぐ

 料理屋にとって、お客様が食事時間をどのくらいとって下さるか、ということは、本来とても重要なことです。1時間半なのか2時間半なのかでは、だいぶ話しが違います。

 弊店の場合、予約の電話の段階で「一回=2時間半」と必ず申し上げており、サイトなどにも、そのように明記していますから、お客様もそれは御承知いただいている筈です。 

 しかし、それより短い時間しかとれない場合に、そのことを、こちらに言って下さらない方が実に多いです。

「時間が長いのと違って、短いのは影響ないだろう」

「それどころか、回転率が上がって店は喜ぶに違いない。」

と思っておいでなのかもしれません。面積効率のことしか考えていない経営者なら喜ぶかもしれませんが、まともにお客様に喜んでいただきたい、と考えている経営者にとって、これはとても困った事態です。

 先日も、ありました。

 ご観光の大勢様で、2時間おとり下さる筈が、当日になって「1時間半でやって欲しい!」ということが。

 あちゃあ。

 お客様御本人がそうご希望ならまだしも、添乗のガイドさんから、そういうリクエストが来ました。そうした職業の方が旅程をやたらと急ぐことは、良くある話しなのです。

 係の者が尋ねたところでは、その後の旅程に、重大な行事があるわけでも無さそう、ということでした。それでも急いで欲しい、のだとか。

 だいだいですよ、料理を作るのも、運ぶもの、人間です。

 だから、どこかを急ぐ、しかもそれが大勢様となれば、他の席の担当を急きょ引っこ抜いて、そちらへ回さないといけません。

 他の席とは、金婚式の記念のお食事であったり、ご法事であったりします。人生の中でも大事な食事ですよね。

 だから私は、そういう急な配置転換をしません。

 それで融通きかないね、と言われるなら、それで上等と思っています。

 さて、その日もガイド氏がなかなか合点して下さらないので、私が直接お話し申すことにしました。

 どうも面積効率のことしか考えていない、飲食店経営者が多いのか、「急いでくれ」と言われて「はいはい承知!」という飲食店が多いらしいのです。だからガイド氏は、強気で交渉すれば、急いでくれるに違いない、と思っています。

 そういう交渉の時に、こちらの意見を通す、必殺のセリフをご紹介しましょう。

 「実は、私、この店の六代目でございますが、そういう仕事をいたしますと、墓参りしました時に、ご先祖に対して申し訳ない気持ちになるのです・・・」

・・・皆さんもご活用下さい。

 六代目でなくて二代目でも、

 創業者の父から指導された、とか言えば通ると思いますよ。

 お勧めしておきます。

追伸

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縁起物

 「助六」の御主人が、

『江戸の縁起物―浅草仲見世助六物語』

という御本を出されました。

 「助六」さんは江戸末期の慶応2年に創業された、江戸趣味小玩具の御店です。日本で唯一、小玩具がご専門で、ミニチュアの可愛いくて、縁起の良いものばかりを扱っておいでです。

 間口一間の小ぢんまりした店内には、そうした豆玩具が3000点以上、所狭しと並んでいます。ダイアナ妃やヒラリー国務長官も訪れたことがある、江戸情緒あふれる御店です。

 その御店の五代目である、当代の御主人は、学校の先輩でもありまして、日頃御指導いただいておりますので、早速御本を拝見しました。

 拝見しますと、この御本では、そうした玩具が100点あまり、写真とともに紹介されています。フルカラーで贅沢な見やすい御本です。全点英文付きですが、日本の伝統に疎い人は、その英文の方が理解しやすいかもしれせんね。

 そんな御本で、私が一番面白かったのは、実は最後の章です。この章は、玩具の説明ではなく、当代を含めた歴代店主と、そのご家族の物語です。

 大正・戦前の、浅草の良き時代のこと、戦災のこと、ご先祖様の名セリフ、人間国宝に推薦されながら断った職人さんの話し・・・

 結構知らなかった話しもたくさん載っていて、へええ、と唸りながら読みました。

 驚きましたのは、終戦直後の極度の物資不足の時代のこと、皆が闇商売に走る中、「助六」の先代だけは、江戸趣味小玩具しか売らなかったそうです。7年間全く売れなかったのに闇商売をせず、玩具だけを店に並べ続けたそうです。

 うーん。

 脱帽ですね。

 亜紀書房より刊行。ISBN978-4-7505-1128-3

追伸

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ふぐクイズ

 国会では、田中ナオキ防衛相を攻撃するため、自民党が「クイズまがい」の質問を連発しているそうです。

 これには身内の自民党からも苦情が出て、

 「クイズはやめた方が良いと思う」(マチムラ元外相)

 ありゃあ。やっちゃいましたけど、「ふぐクイズ」。

 2/10に「浅草うまいもの会」の新年会がふぐの「三浦屋」さんでありまして、その余興で、「ふぐクイズ」をやりました。

 「うまいもの会」のKM子会長は、新年会では「勉強になって、なおかつ楽しい余興をしたい」というお考えで、こうした余興は4回目=4年目です。

 一昨年、そういう余興を企画するように命じられた私が、考え出しましたのが、「すき焼きクイズ」でした。続いて昨年が「どぜうクイズ」。第3弾が「地域ブランドクイズ」です。で、今年が第4弾で「ふぐクイズ」です。

 それでは、皆さんも、どうぞ。

<「ふぐクイズ」>

〇か×かでお答え下さい。10問あります。

①明治時代、日本初のふぐ料理免許を取得した御店は、下関市の「しゅんぱんろう」でしたが、その「しゅん」は春秋の春、「ぱん」は長州藩の藩、「ろう」はシルクロードの楼蘭の楼である。〇か×か。お答え下さい。せいの、どん。(正解:×。「春帆楼])

②ふぐ毒で死んだ有名人と言えば、歌舞伎の八代目坂東三津五郎ですが、この時調理人に下された判決は業務上過失致死罪で禁固刑ただし執行猶予付き、という内容であった。〇か×か。(正解:〇)

③ふぐを食べることを禁止した人と言えば、豊臣秀吉ですが、その後も明治時代まで、ふぐ食は禁止されておりました。さて、その禁止令を解いたのは、明治の元勲・木戸孝允侯であった。(正解:×。伊藤博文公)

④ふぐ毒を乳酸菌で漬物にすることで分解し、おいしく食べる珍味と言えば、「ふぐの卵巣の糠漬け」ですが、その漬物が全国で最も盛んなのは、石川県である。(正解:〇)

⑤天然ふぐの水揚げ高第一位は福岡県、第二位は山口県ですが、養殖ふぐの水揚げ高第一位は佐賀県である。(正解:×。長崎県である。)

⑥関西では、ふぐ鍋のことを「てっちり」と言うことがありますが、「てつ」の語源は、ふぐが哲学者のような風貌をしているからである。(正解:×。鉄砲のように当たると死ぬからである。)

⑦肉の旨味成分と言えばアミノ酸ですが、フグ肉の場合、そのアミノ酸が最大となるのは、フグの死後24時間から36時間が経過した頃である。(正解:〇)

⑧ふぐ料理はふぐ調理師でないと取り扱うことができませんが、その免許制度は都道府県によって、資格取得の条件や難易度が異なっている。(正解:〇)

⑨ふぐと言えばヒレ酒ですが、おいしいヒレ酒をつくるコツは、ヒレを水に漬けておき、決して乾燥させないことである。(正解:×。漬けた後、天日干しをする)

⑩当・三浦屋さんには「ふぐの五箇条」が制定されていますが、その五箇条の内、第三条は「ふぐ料理は、好きなものを好きなだけ食べるべし」である。(正解:〇)

 優勝者には景品があり、一方、点数の低い方には罰ゲームとして「ふぐの顔」をしていただき、その画像をFBにUPすることにしました。

 なかなか傑作でしたよ、「ふぐの顔」。

追伸

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波乱万丈

 2/7二条彪先生の「台東区若手経営者サポートセミナー」の最終講がありました。

 最終講はゲスト講師の講演で、日本電鍍工業・社長の伊藤麻美さんという、私より少し若い女性社長でした。

で、お話しを聞いてビックリ。

 波乱万丈というか、壮絶というか。

 この方は、父上が創業した会社が、後継社長の放漫経営によって倒産しかかっていたのを再建された方なのですが、そもそも会社を継ぐ気はまったく無く、社長に成った時点で、社業のメッキのことは勿論、経営についても完全な素人だったのだそうです。

 その素人さんがピンチということで呼び戻されて、32歳で社長に成ったのだそうです。

 まず、いくら親の作った会社でも、倒産しかかっていている会社の社長に成ること自体が驚きです。

 当然巨額の負債を個人で連帯保証させられますが、自己破産しても命は取られない、

ということで決意されたそうです。

 しかも、継ぐ理由は「従業員を守るため」。会社を継ぐ気がまったく無かったので、守ろうとしている従業員さん達とも面識がないのですが、しかし父の育てた人達だから、父に感謝する意味で守ろう、と決心なさったそうです。

 倒産しかかっていている会社なので、社長就任後も、毎月の資金繰りは綱渡り。銀行交渉などでは屈辱の連続だったそうです。

 しかし、やれないことはない、と凌ぎ切って6年。正常化に成功されました。

 今は社員を愛し、幹部に育てることがテーマなのだとか。

 その経緯をここにくわしくと長くなります。ネットにもあちこち登場されていますので、そちらをご参照いただくことにしますが、なにしろ印象に残ったのは、言い切る力です。しかも、人間の本質に関わることを、小気味良いくらいにポンポン言い切られます。

 例えば、

「決意する」

「感謝する」

「守る」

「愛する」

 言い切ったら当然、そこから逃げられませんから、避けて通る人間が多い中、こういう方もおいでなのだなあ、しかも私達と同じバブル世代にこういう方もおいだったのだなあ、と感心しました。

 私はと言えば、このブログをスタートさせた時、実は「1年間は連続更新するぞ」と「決意」していたのですが、自信が無かったので公言はしませんでした。格好良くないですね。

 爪の垢を貰っておけば良かったです。

追伸

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