縁起物

 「助六」の御主人が、

『江戸の縁起物―浅草仲見世助六物語』

という御本を出されました。

 「助六」さんは江戸末期の慶応2年に創業された、江戸趣味小玩具の御店です。日本で唯一、小玩具がご専門で、ミニチュアの可愛いくて、縁起の良いものばかりを扱っておいでです。

 間口一間の小ぢんまりした店内には、そうした豆玩具が3000点以上、所狭しと並んでいます。ダイアナ妃やヒラリー国務長官も訪れたことがある、江戸情緒あふれる御店です。

 その御店の五代目である、当代の御主人は、学校の先輩でもありまして、日頃御指導いただいておりますので、早速御本を拝見しました。

 拝見しますと、この御本では、そうした玩具が100点あまり、写真とともに紹介されています。フルカラーで贅沢な見やすい御本です。全点英文付きですが、日本の伝統に疎い人は、その英文の方が理解しやすいかもしれせんね。

 そんな御本で、私が一番面白かったのは、実は最後の章です。この章は、玩具の説明ではなく、当代を含めた歴代店主と、そのご家族の物語です。

 大正・戦前の、浅草の良き時代のこと、戦災のこと、ご先祖様の名セリフ、人間国宝に推薦されながら断った職人さんの話し・・・

 結構知らなかった話しもたくさん載っていて、へええ、と唸りながら読みました。

 驚きましたのは、終戦直後の極度の物資不足の時代のこと、皆が闇商売に走る中、「助六」の先代だけは、江戸趣味小玩具しか売らなかったそうです。7年間全く売れなかったのに闇商売をせず、玩具だけを店に並べ続けたそうです。

 うーん。

 脱帽ですね。

 亜紀書房より刊行。ISBN978-4-7505-1128-3

追伸

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 2012.4.20(金) 浅草が燃えます。

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 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて713日連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

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Filed under: 浅草インサイダー情報 — F.Sumiyoshi 12:01 AM  Comments (0)