閉店

 浅草の、明治時代から続いた和装屋さんが閉店しました。

 私は閉店のことを事前に知らず、閉店してしまって数日たってから、たまたま御店の前を通りかかって、告知文を見つけました。

 そして、あまりのショックに、数秒間身動きできなくなってしまいました。

 閉店なさった、最後の日の夜に、その御店の方々が「ちんや」に食事にいらしていたからです。

 なのに、私は何も声をかけて差し上げませんでした。知らないこととは言え、残念で残念で堪りません。

 その御店の方とは、個人的にはまったく面識がありませんでした。御顔も存じませんでした。

 私は和装に詳しくないので、ああ、そういう店が浅草にあるな、くらいの認識でしたが、他の街の和物通の知人から、地味だが良い店と聞かされたことがありました。

 来店された時、

「私が主人です」と部屋に入って行って名乗り、挨拶すれば良かったのですが、その日はたまたま忙しく、知人が来店していて、その応対でバタバタしていたので、結局、御挨拶にうかがいませんでした。

 それが御店の最後の日だったとは・・・

 今和装は、ごく一部の方の間で趣味として、流行っているようですが、普通の日本人は着なってしまいました。その状況で、後を継ごう、という方に恵まれなかったようです。

 店舗は、現在そのままですが、後に何ができるのでしょうか。

 結構良い場所にありますので、おおかたチェーン店か外食産業でしょう。

 悲しいです。

 悔やまれます。

 この文章を書きながらも泣けてきます。

追伸

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 2012.4.20(金) 浅草が燃えます。

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 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて704日連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

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Filed under: ぼやき部屋,浅草インサイダー情報 — F.Sumiyoshi 12:01 AM  Comments (0)