旅を急ぐ
料理屋にとって、お客様が食事時間をどのくらいとって下さるか、ということは、本来とても重要なことです。1時間半なのか2時間半なのかでは、だいぶ話しが違います。
弊店の場合、予約の電話の段階で「一回=2時間半」と必ず申し上げており、サイトなどにも、そのように明記していますから、お客様もそれは御承知いただいている筈です。
しかし、それより短い時間しかとれない場合に、そのことを、こちらに言って下さらない方が実に多いです。
「時間が長いのと違って、短いのは影響ないだろう」
「それどころか、回転率が上がって店は喜ぶに違いない。」
と思っておいでなのかもしれません。面積効率のことしか考えていない経営者なら喜ぶかもしれませんが、まともにお客様に喜んでいただきたい、と考えている経営者にとって、これはとても困った事態です。
先日も、ありました。
ご観光の大勢様で、2時間おとり下さる筈が、当日になって「1時間半でやって欲しい!」ということが。
あちゃあ。
お客様御本人がそうご希望ならまだしも、添乗のガイドさんから、そういうリクエストが来ました。そうした職業の方が旅程をやたらと急ぐことは、良くある話しなのです。
係の者が尋ねたところでは、その後の旅程に、重大な行事があるわけでも無さそう、ということでした。それでも急いで欲しい、のだとか。
だいだいですよ、料理を作るのも、運ぶもの、人間です。
だから、どこかを急ぐ、しかもそれが大勢様となれば、他の席の担当を急きょ引っこ抜いて、そちらへ回さないといけません。
他の席とは、金婚式の記念のお食事であったり、ご法事であったりします。人生の中でも大事な食事ですよね。
だから私は、そういう急な配置転換をしません。
それで融通きかないね、と言われるなら、それで上等と思っています。
さて、その日もガイド氏がなかなか合点して下さらないので、私が直接お話し申すことにしました。
どうも面積効率のことしか考えていない、飲食店経営者が多いのか、「急いでくれ」と言われて「はいはい承知!」という飲食店が多いらしいのです。だからガイド氏は、強気で交渉すれば、急いでくれるに違いない、と思っています。
そういう交渉の時に、こちらの意見を通す、必殺のセリフをご紹介しましょう。
「実は、私、この店の六代目でございますが、そういう仕事をいたしますと、墓参りしました時に、ご先祖に対して申し訳ない気持ちになるのです・・・」
・・・皆さんもご活用下さい。
六代目でなくて二代目でも、
創業者の父から指導された、とか言えば通ると思いますよ。
お勧めしておきます。
追伸
「台彪会」会長として、「ニッポン全国彪友会ー台東万博!」を計画しています。
二条彪先生の門下生約200m人が集まる、一大交流会です。先生のメルマガを取っている方なら、どなたでも参加できます。
2012.4.20(金) 浅草が燃えます。
詳しくは、こちらをご覧下さい。
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて714日連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。
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