クロマグロの寿司は食文化?

クロマグロの国際取引全面禁止案が大差で否決されたそうです。私は、マグロをジュゴンやパンダと同列に扱う考えは、「そもそも無理があるよなー」と思っていたので、否決そのものに違和感はありません。

 でも逆に「ちょっと違和感あるぞ」と思うのは、「マグロを食べることは日本の食文化だから、外からつべこべ言わせてはいかん!」という主張です。日本人は世界のマグロの8割を食べているそうですが、そのスゴく回数の多い、食の現場が全部「食文化」と言えるような風情なのか、と聞きたい気がします。何をもって「文化」と言うのか、ということは様々な御議論がありましょうが、私個人の感覚では、心を込めて提供されて⇒食されていないものを「文化」と言うのは違和感があります。

 浅草にも24時間やっている、チェーン展開の、寿司屋さんがあって、真夜中の2時でも3時でも寿司が食えます。そこで始発電車までの時間調整をしているような、酔っぱらいが寿司を食っているのを見かけますが、それは果たして「文化」でしょうか?意識朦朧とした酔っぱらい相手に、心なんぞ込めて寿司をにぎれましょうか?

 もちろん、それができる職人さんもいるでしょう。しかし仮ににぎる側が心を込めたとしても、食す側が心を込めて食わねば、やはり文化とは言いがたい、そう言いたい気持ちです。そうまでして、日本人は便利に寿司を食う必要があるのでしょうか?そして、それを「文化」と言い張って平気なのでしょうか?疑問です。

 ここまで読んで、おいおい住吉、今日はなんでまた、「食文化」の論陣なんて張ってるんだ?ウンザリしたぞ!という方もおいででしょうが、説明させて下さい。それはというのも、このブログ自体の副題に「スキヤキ文化を広めんと奮闘しています!」と入れてしまったからなのです。

 いろんな方から「すき焼きは、日本の食文化だよねえ」などと言っていただきますが、寿司同様に、心の入っていない仕事を「ちんや」がしてしまったら、すき焼きも「食文化」を自称してはいられない、と思います。

 自戒の気持ちを入れて、あえて、「スキヤキ文化」と入れました。そうでない仕事を見つけた節は、どうぞご叱責下さい。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございます。浅草「ちんや」六代目、住吉史彦でした。

Filed under: ぼやき部屋 — F.Sumiyoshi 11:47 AM  Comments (0)