小学館の文芸雑誌「qui-la-la」(きらら)で河治和香先生の新連載「ニッポンチ!」が始まりました。
和香先生が、「駒形どぜう」の三代目を主人公にした小説『どぜう屋助七』(2013年)にウチのご先祖を登場させて下さって以来、新しい連載が始まるのを楽しみにしておりますが、今回は明治の浮世絵師を主人公にした小説です。登場する絵師の作品がウチにあったりしますので、なおさら楽しみなことです。
登場するのは歌川国芳門下の絵師たち。国芳には歌川芳虎、芳艶、芳藤、落合芳幾、さらには月岡芳年、河鍋暁斎といった弟子がいましたが、国芳が幕府に逆らう位の人だったので、弟子達の性格も皆ユニークで。その人物描写もまた、この小説の面白いポイントだと思います。
連載2回目の9月号の中心になったのは、芳虎と芳藤でした。
芳藤はボンヤリしていて、よく迷子になったので、「藤ぼん」と呼ばれていました。「おもちゃ絵」「玩具絵」のジャンルで成功しました。
芳虎は喧嘩早く、喧嘩を解決するのに詫び証文が必要になることがあるので、事前に詫び証文を印刷して常時携帯していたとか。師匠・国芳と揉めて破門されてしまうので、国芳を記念する石碑に名が刻印されていません。
芳虎が成功したのは、武者絵、相撲絵、横浜絵で、「ちんや」では芳虎の横浜絵を一枚所有しています。
横浜絵とは、幕末に横浜に開かれた、外国人居留地の外国人を描いた作品です。外国人の風俗は、当時の日本人にとって新奇なものばかりで、人々の興味をそそり、それを受けて横浜の様子を描いた作品が、江戸の絵師たちによって、多数描かれました。
挑戦的な性格の芳虎が新しいものに向かって行ったのは、なんとなく、分かるような気がします。
今後の展開も楽しみです。
追伸
このブログは2010年3月1日に連載スタートし、本日で九年六か月となりました。日頃のご愛読に心より感謝いたします。