2019年9月9日
帝釈天
柴又の『川千家』さんを訪ねました。
『川千家』(かわちや)さんは、帝釈天の参道にある川魚料理(鯉、鰻)が自慢のお店です。ご創業は250年以上前の安永年間で、当代店主は十代目と聞きます。
なんでも、『川千家』さんが開業した頃、この近辺では料理屋の開業ラッシュがあったそうです。
1778年お寺の改築工事に着手したら、日蓮が自ら彫って、その後紛失していたという帝釈天像が発見され、それが世間の話題になって、参拝ブームが起きたとか。
その参拝客を当て込んで、近辺の農家が江戸川でとれる川魚料理を振る舞うようになったのだと言われています。最初は料理屋は農家の副業でした。
その柴又へ、私は浅草から京成電鉄を使って行きました。
先月京成の旧「博物館動物園」駅舎を使った映像インスタレーション展「大洲大作 未完の螺旋」を拝見した時、京成電鉄について少し調べましたが、京成は、実は成田へつながる前に最初に柴又につながっていたのです。今回その土地を訪ねることができて面白く感じました。
1912年に「京成電気軌道」は押上= 市川間を開業、支線として高砂=柴又間を開業させました。成田までつながったのは1926年のことでした。
京成というのは、帝釈天と新勝寺という、お寺を目指して開業した、とてもユニークな路線であることが分かります。京=柴と京=成だったのですね。
『川千家』さんが開業したのも、京成が開通したのも、帝釈天のおかげだったのです。
現代人には、その感覚が掴めませんが、美味しい料理が、この地にあるのは仏恩の賜物であることは間違いありません。