今昔すき焼き噺①

雑誌『味覚春秋』の6月号(通巻519号)に向笠千恵子先生が、

「今昔すき焼き噺―浅草ちんや会長・住吉滋夫さん」と題して私の父のことを書いて下さいました。誠にありがとうございます。

発売直後の原稿ですので、ここに全文転載するわけには行きませんが、一部をここに載せまして、最後まで読みたい方は『味覚春秋』をお買い上げいただければ、と存じます。では、どうぞ。

<以下転載>

最近とみに「肉」が目立ってきた。肉フェス、肉博(フェステイバルや博覧会の意)など、多種多彩な肉メニューが一堂に会する催事が定着したし、巷では肉寿司の看板が目立つ。生肉や炙り肉がネタなのだ。もちろん焼肉は一番人気で、若者の最高の好物はこれに決まり。これらの共通項は、小遣いでたらふく食べられること。だからこそ、肉食女子の胃袋までしっかりつかんだのだ。

一方で、すき焼きの話題は、群馬が「すき焼き県」宣言をしたとか、銘柄和牛や特産ねぎ等々を用いる「地産地消すき焼き」が注目されていることぐらい。すき焼き屋とすき焼き愛好者を繋ぐ活動をしている「すきや連」旗振り役としては、いささか忸怩たる思いである。

「すき焼きが高くなり過ぎたんです。ここらで、肉食が解禁になった明治初期の原点に立ち戻り、牛鍋から進化してきたすき焼きの魅力を再構築しなければいけませんね」

と穏やかに語るのは、住吉滋夫さん。昭和11年(1936)生まれの81歳で、雷門「ちんや」五代目。黒毛和牛の雌のみを熟成させる、最初にねぎから焼く、甘いのにくどくない割下などの種々のオリジナル流儀を工夫し、すき焼きの多い浅草で独自のステイタスを築いてきた。今は長男・史彦さんに六代目を託し、大所高所から店や業界を見守っている。

さて、六代目の住吉史彦さんは地元老舗九軒の旦那、女将にインタビューした『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』(晶文社)という本を最近出されたが、シャイなことに父と店には言及なし。そこで、わたしが五代目に聞こうと押しかけた。

<・・・この続きは、明日の弊ブログで>

追伸、

拙著が発売になりました。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

題名:『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』

浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指しています。

東京23区の、全ての区立図書館に収蔵されています。

四六判240頁

価格:本体1600円+税

978-4-7949-6920-0 C0095

2016年2月25日発売

株式会社晶文社 刊行

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