B級開国

浅草の街でかなり目立ちますので、お客様や知人からよく言われます・・・

いやあ、あれはインバウンド・ビジネスの大成功事例ですね。街が賑やかに成って、きもの再興にも貢献して素晴らしいですね!と。

皆さんがそうおっしゃるのは、レンタル着物のことです。

先日京都の花見小路に行ったら、大勢の外国人がレンタル着物で歩いていて、あちらでも成功しているようでした。

で、ここで考えたいのは、「きもの再興に貢献している」か、です。

あのビジネスを、

・素材

・デザイン

・作り手

・担い手

の4つの面から考えた場合、まず素材と作り手は従来からの着物と全く別物です。生地は化繊ですし、おそらく日本では作っていないでしょう。デザインも古典的ではないです。

生地とデザインが違うので、遠目でも一目でレンタルと判別できます。

京都人は京都人以外がやっている店を「外資系」と言うそうですが、レンタルの担い手も、まあ、「外資系」です。

だから、手放しで歓迎できないのですが、それでも着物であることは事実なので、「きもの再興にも貢献している」と言う人がいても間違いとは申せません。

私は、この話しは「牛丼チェーン・天婦羅チェーンが和食に貢献している」と考えるのと似ていると思っています。

「ちんや」が在る雷門通りには「てんや」さんの店がありますが、外国人で大賑わいです。

思えば、2.000万人もの外国人が日本に来る時代です。インテリばかりとは限りません。彼らが日本のB級なものに向かって行くのは自然なことです。

昨今は「B級開国」の時代だと考えるのが適切なような気がします。

A級に関わっている皆さんは、あまり外国人に期待しない方が良いのでは?私はそう考えています。

追伸、

拙著が発売になりました。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

題名:『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』

浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指しています。

東京23区の、全ての区立図書館に収蔵されています。

四六判240頁

価格:本体1600円+税

978-4-7949-6920-0 C0095

2016年2月25日発売

株式会社晶文社 刊行

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Filed under: 浅草インサイダー情報 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)