チャンス
ピンチは実はチャンスであり、チャンスは実はピンチである。
というのが拙著『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』の隠れたテーマです。
この対談本にご登場いただいたご主人さん達は、皆それぞれに悪い時代を経験なさっていますが、その悪い時代に店のレベルアップを実行しました。
業界が斜陽になれば別の業態を考える。街の景気が悪くなれば別の街へ打って出る、というのが、ビジネスの普通の発想です。しかし皆さんは苦しい時もそうなさらず、レベルアップを実行しました。皆さんのお店が立派なのは、その結果です。
だから、ピンチは実はチャンスです。
逆に景気が良さそうに見える時期=チャンスと見える時期は油断のならない時期だと思います。
例えば、弊ブログの3/30号に書きました通り、北海道新幹線が開業した今年は、北海道の方々にとっては、油断のならない時期です。
新幹線に釣られて、中央の資本家が、この地域にホテルや観光施設を開業しようとするでしょう。そうしたホテルと地元資本のホテルとは共存共栄が図れるのでしょうか。両方ともずっと充分に稼働して行けるんでしょうか。
中央の資本が作った新しいホテルはピカピカで、古臭い施設を使っている地元ホテルは、かなり見劣りします。
そして悔しいことに、新しいホテルは地元の優秀な子達を雇用するでしょう。若い子達は年輪を重ねた会社の良さがわかりませんから、勢いのありそうな会社に就職してしまうものです。残念ですね。
だから新幹線が開通した今年は、地元の方にとってはチャンスというよりピンチだと思います。
さらに申せば、円安インバウンド景気に踊る浅草も煮たような状況、いや、似たような状況だと思います。
「なんちゃって」な店が高給で人を雇うので、従来からやっている店は人材不足に陥ります。困ったことです。
今がチャンスと考える~なんと危険な発想だと、私は思います。
追伸、
拙著が発売になりました。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
題名:『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』
浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指しています。
四六判240頁
価格:本体1600円+税
978-4-7949-6920-0 C0095
2016年2月25日発売
株式会社晶文社 刊行
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