自店紹介

今年の秋に料理業組合「芽生会」(=青年部)の全国大会が東京でありますので、東京の会員店が自店紹介の一文を書くことになりました。

当然、屋号の由来や創業譚などが必要ですが、同業同士ですので、公式サイトに載せている様な「通り一遍」の情報ではなく、もう少し突っこんだものが欲しいね!ということになりました。

しかしながら、これって意外と難しいんです。

とても立派な創業譚が在る御店さんと、そうでない所に分離する懸念がありますね。前者はたくさん資料が出てきて、後者は乏しい感じに成るでしょう。

ウチにしてからが、明治維新になって狆の商売が傾いてきたのが、そもそも料理屋にシフトした理由です。当時浅草という場所で、何か儲かる生業がないかと探して、安直にそうしたのだと思われます。

そういう次第なので、ウチは縁起とか家訓とか理念とかがまったく無いです。

創業者もハッキリ特定できない位です。

「住吉やす」という人物(女性)が重要らしく、その夫もいたはずですが、夫はあまり活躍した形跡がなく、とにかく良くわかりません。まあ、あまり良い話しではないのでしょう。

私は、若い頃、その辺りの事情を潔く認めるまで間、店の過去を聞かれるのが非常に苦痛でした。

今はもちろん開き直って、この話しも面白おかしく語ることにしていますけどね。

要するに、生業として仕方なく料理屋を始めたのであって、世間の皆さんが思っているように、所謂「老舗」店には、漏れなく素晴らしい創業譚が在るわけではないんです。

芽生会・記録部会の部会長NY川さんも、御店の屋号の由来について、先代から教えられていないと言います。どうやら、あまり良いイメージではないらしいのです。

なるほど、そういうこともありますよ。

老舗というと、とにかく立派なお話しが無いと気に入らないという人が世間には多いですけど、それって「老舗」のことをゼンゼン分かってない方々ですね。

生まれた時から立派なのは御釈迦様だけで、老舗は御釈迦様ではありません。

そういう共通認識があった方が良いんだよね~

と思いながら、自店紹介の文章をただ今書いています。

追伸

すき焼き思い出ストーリーの投稿を募集しています。

すき焼きは文明開化の昔から、日本人の思い出の中に生きてきた料理です。でも残念ながら、その思い出話しをまとめて保存したことはなかったように思います。

ご投稿くださったものは、「ちんや」創業135周年を記念して本に纏め、今後店の歴史の資料として、すき焼き文化の資料として、末永く保存させていただきます。

どうぞ、世界に一つだけの、すき焼きストーリーを是非、私に教えて下さい。

投稿〆切は9月末日です。

既にご応募いただいた、50本のストーリーはこちらです。

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.967日連続更新を達成しました。