公開出禁

ほお、出禁にしましたか!

それもネットで知れ渡る形で。これは新しいパターンと申せましょう。

出禁(=できん。出入り禁止のこと。店の利用を断ること。)を実行したのは秋田市の繁華街・川反の老舗和食店「T」さんで、出禁にされたのは2人組の歌手「スキマスイッチ」さんです。報道では「T」さんは、

「今回の問題を受け、店側は興行会社に抗議するとともに、今後のアーティストの利用を断った」

と書かれていましたが、それを業界で「出禁」と申します。

「今回の問題」すなわち出禁の理由は、「スキマ」が秋田県民会館で行われた公演のトークの時間で、この料理店のことを店名をあげて貶したからです。

「すき焼きの野菜が残っていたのに下げられた」

「ハタハタをもっと食べたかったのに1匹しかなかった」という趣旨だったとか。

ところが、この時実は「スキマ」が予約時間を大幅に遅刻した来たことや、出した料理は注文されたものと相違なかったことから、大問題になりました。興業会社が直前に予算を@6.500円から@5.000円に削ったのでハタハタの数が減ったのだそうな。

まず店の女将の娘さんがツイッターで「スキマ」を攻撃、それを見た多数のネット民も参戦して、「スキマ」のアカウントは大炎上と成った模様です。

「スキマ」の所属事務所は、

「お世話になりました御飲食店様からは、適切なサービスのご提供を頂きましたにも関わらず、ライブのMC内で誤解を招くような表現をしてしまったため、御飲食店様、及び関係者の皆様へ大変ご迷惑をお掛けしましたことを深くお詫び申し上げます」と公式謝罪したものの、

そのタイミングが大変遅く、また、この謝罪文を公表するより先に、「スキマ」の知人のお笑い芸人がツイッターでこの騒動を笑いのネタにしたことから、Tさん側は大いにヘソを曲げてしまいました。

で、珍しい「公開出禁」となった次第です。

料理屋が態度の悪い客の利用を断るのは、ごく自然なことですが、普通は本人に告げるだけで、世間に知れ渡る形にはしないものです。

今回は、有名人が公開の場で、店名をあげて貶したので、店側もそれに報復するため「公開」となった模様です。

今後は、こうした事例=「公開出禁」が出て来ることでしょう。有名な方にはキツい状況ですねえ。

いやはや、後悔しても遅いです。

なんちって。

追伸

『日本のごちそう すき焼き』は、平凡社より刊行されました。

この本は、

食文化研究家の向笠千恵子先生が、すき焼きという面白き食べ物について語り尽くした7章と、

全国の、有志のすき焼き店主31人が、自店のすき焼き自慢を3ページずつ書いた部分の二部で構成された本で、

この十年の「すきや連」活動の集大成とも言える本です。私も勿論執筆に加わっています。

是非是非お求めください。

弊店の店頭でも販売しますし、こちらからネットでも購入できます。

是非。

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて、あと二日で満五年です。

Filed under: ぼやき部屋 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)