百鬼夜行絵巻
創作人形劇『谷中・百鬼夜行絵巻』が、谷中の禅寺「全生庵」で上演されましたので、観て来ました。
この企画は、本年度の台東区芸術文化支援制度対象企画の1つですので、「台東区アートアドバイザー」である私にとって、公演が成功裏に終わるのか見届けるのも仕事の内なのです。
さて、会場の「全生庵」に行ってみますと、既に盛況で、観客の半分位はお子さんでした。
この様子を見て私は、中世の「付喪神」の説話を題材にした、この劇がお子さんにウケるのか、少し心配になりましたが、劇が始まりますと、それは全くの杞憂だということが分かりました。
出演した「人形劇団ひとみ座」の皆さんはプロでした。「ひとみ座」さんは「ひょっこりひょうたん島」で有名で、各地での出張公演も多いらしく、お子さんを引きつけて楽しませるのは、お手のもののようでした。
興奮して席でしきりとジャンプしている子もいたりして、大人ばかりの興業とはまったく違う盛り上がり方。あれも芸の一種ですね・・・
・・・で終わってしまっては、このブログの大人の読者の皆さんがツマラないでしょうから、ここでは「付喪神」のことを書いておきましょう・・・
中世の民間信仰「付喪神(つくもがみ)」は「九十九神」とも書きます。九十九年間使い続けられた道具には霊魂が宿ると考えれらえていたようで、古い絵巻物には「付喪神」が、道具に手足が付いたような姿で登場します。
人間が道具を大切にすれば、道具は「良い付喪神」に成るのですが、大切にしないと人間に悪さをするようになります。
今回の劇でも、人間の悪行によって生まれた「悪い付喪神」に、人間の中の悪者の泥棒が立ち向かい、「良い付喪神」の加勢を受けて戦います。
経過は色々あるのですが、結局は「良い付喪神」が呼び寄せた「護法童子」が「悪い付喪神」を退治します。
要するに仏教が、在地の神を倒すという筋ですので、
仏教=先進的・知的
在地の神=魑魅魍魎
という前提に立たないと、結末が痛快に思えないのですが、お子さん達にはその辺りは関係なく、まずは面白がってくれて、「道具を大切に」という教訓も学んでくれたようですので、まあ、良しとしましょう。
あっ!
ああっ!!
貴女が日頃八つ当たりしているマウスが、今一人でに勝手に動き出しましたよ。こっちから霊視で見えるんです。
「悪い付喪神」に成るのも時間の問題ですねえ。
追伸
一冊丸ごと「すき焼き大全」とも申すべき本が出ました。
タイトルは『日本のごちそう すき焼き』、平凡社より刊行されました。
この本は、
食文化研究家の向笠千恵子先生が、すき焼きという面白き食べ物について語り尽くした7章と、
全国の、有志のすき焼き店主31人が、自店のすき焼き自慢を3ページずつ書いた部分の二部で構成された本で、
この十年の「すきや連」活動の集大成とも言える本です。私も勿論執筆に加わっています。
是非是非お求めください。
弊店の店頭でも販売しますし、こちらからネットでも購入できます。
是非。
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.813日連続更新を達成しました。