2014年11月2日
料理の説明
ある食事会に出席しましたら、最初に料理長が料理の説明をなさると言います。
何を話すのだろうと聞いていますと、
魚は、どこそこ県の産です。
牛は、あちこち県の産です。
野菜は、やれそれ県の産です。
お米は、こりゃこりゃ県の産です。
果物あら、えっさっさー
・・・ということで、産地を言っただけでした。
産地は品書きに書いてあるのに。
私は料理人として、どういう苦心や工夫があったのかを聞きたかったのに、産地だけですか。
でも、これって珍しくはないことです。
料理の説明って、説明をする側も、される側も産地を確認して、それでお互い用が済んだ気になっていることが多いです。実に多いです、そういう展開が。
しかしですよ、それで本当にお互い合点してるんでしょうか。
分かった気に成っただけなんではないでしょうか。
その産地の肉は、他の産地と、どこがどう違うんですか?!
なんで、その産地だと、そういう肉に成るんですか?
その地方の牛は全員そういう肉なんですか?!
その地方の牛はいつもそういう肉なんですか?!
要するに、その肉は、Do-You(どういう)肉なんですか?!
・・・産地だけで肉を語れるわけはないんです。
たしかに各県の畜産試験場はそれぞれに「改良方針」を持って交配を進め、精子を配給したりしていますが、その精子を買わずに独自の路線を歩む生産者の方もいます。
産地で統一なんてできません。
むしろ料理人として、その肉を目の前にした時どういう印象を持ったのか、
その肉を美味しくするために、どういう苦心や工夫があったのか、
それを言えば良いのにと思います。
あら、えっさっさー
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.707日連続更新を達成しました。
毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。
Filed under: ぼやき部屋 — F.Sumiyoshi 12:00 AM Comments (0)